【漢方の基礎知識】漢方の気血水と五臓とは?

漢方生薬

漢方の言葉や概念は難しいイメージがあるかもしれませんが、一つひとつの意味が理解できると、自分の体質や症状に合った漢方薬を選びやすくなります。
この記事では、まずは漢方の基本である、「気血水」と「五臓」の役割について確認します。

ご自身に合った漢方薬や選び方について知りたい方は、YOJO薬剤師に相談してみましょう。

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渡辺賢治 医師 監修
慶應義塾大学医学部卒業、慶應義塾大学医学部漢方医学センター長、 慶應義塾大学教授を経て2019年より修琴堂大塚医院院長。

漢方の「気・血・水」とは?

気血水

気・血・水は、心身の不調の原因を知る目安となるものさしです。
漢方ではこの3つの要素がバランス良く巡ることで健康を維持できると考えられています。

・気(き)
身体や心を動かす生命エネルギーです。

気虚(ききょ):気が不足している状態で、疲れや無気力を感じやすくなったり胃腸の機能も落ちて食欲が低下したりします。

気滞(きたい):気の巡りが悪くなっている状態で、イライラや不安感、不眠などの症状が起こります。

・血(けつ)
血液や血液の中に含まれる栄養です。からだ全体に栄養分と潤いを運びます。

血虚(けっきょ):血が不足している状態で、貧血や生理不順のほか、立ち眩みや肌の乾燥などの症状が出やすくなります。
瘀血(おけつ):血の流れが滞っている状態で、強い生理痛や血塊、頭痛、シミなどにつながります。

・水(すい)
リンパ液、汗、涙、だ液など、血液以外の体液です。からだ全体にうるおいを運んでくれる役割をもちます。

水滞(すいたい):水の巡りが悪い状態です。むくみや冷え性、めまいなどを引き起こすだけでなく、過剰な水分が溜まることで関節痛を起こす場合もあります。
陰虚(いんきょ):水が不足している状態です。からだの熱を冷ますことができずにのぼせや口渇、ニキビなどの原因になります。

漢方の「五臓」とは?

漢方では、自然の要素を「木・火・土・金・水」の5つの要素に分けて考えます。そしてヒトもまた自然界の一部であると考え、人体の働きを自然と同じ5つに分けたものを五臓「肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)」といいます。

ただし「五臓」は、西洋医学で考える臓器と同じ役割ではありません。
例えば、肝は肝臓という意味ではなく、血を蓄えたり自律神経を調節したりする臓器のことを指します。

五臓の役割とは

「肝」:気を巡らせて、血を蓄えます。自律神経や感情のバランスを整えます。
「心」:血を巡らせて、精神をコントロールします。からだ全体を統括する役割もあります。
「脾」:食べ物の消化吸収を通して気血を作り出す役割を担っています。
「肺」:呼吸を調節して、気や水を全身に行き渡らせます。皮膚や免疫機能、水分代謝などとも関わりがあります。
「腎」:水分代謝の働きを担うほか、ヒトの成長・発育・生殖を保つ生命エネルギー(腎精)にも関わりがあります。

漢方薬の選択に迷った場合は薬剤師に相談しよう

このように、漢方医学ではその人の体質やからだの状態を独自のものさしで判断します。
一般に西洋医学は「病気」に着目するのに対し、漢方医学は「人」そのものに着目をするとされています。そのため同じ病気の人でも、体質や併発している症状によって服用すべき漢方薬が異なります。

漢方薬の選択に迷った場合は、医師や薬剤師などの専門家に相談することがおすすめです。

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