煎じ薬を飲んでみたいけど詳しく知らない、煎じ薬のメリット・デメリット、エキス剤(顆粒剤)との違いは?など煎じ薬について多くの疑問をお持ちではないでしょうか?
こちらの記事では、
煎じ薬のメリット・デメリット
煎じ薬とエキス剤との比較
煎じ薬の作り方・飲み方
これらについて薬剤師が詳しく解説いたします。
エキス剤は服用しているけど、なかなか体調の改善がみられない方は煎じ薬を試してみるのも一つの方法です。ぜひ一度YOJOの薬剤師にご相談ください。
煎じ薬とは
漢方で使用される薬は「漢方薬」と呼ばれ、植物、動物、鉱物などの天然素材を加工した「生薬(しょうやく)」を組み合わせて作られています。伝統的な漢方薬の形は、決められた分量や割合で調合された生薬を水から煮出して作る「煎じ薬」です。
煎じ薬は作るのに手間がかかるため、より簡便な「エキス剤」「散剤」「丸剤」「錠剤」などの形で広く利用されています。しかし、生薬そのものを煮出して作る煎じ薬は、他の剤形よりも効果を感じやすいと言われています。
煎じ薬の特徴とメリット
煎じ薬は、生薬そのものを水から火にかけて有効成分を抽出する方法です。液状であるため吸収が良く、効果が高く、効き目が早いのがメリットです。また、生薬を煎じている時や飲む時に感じる香りには、揮発性成分が含まれており、これも効果をもたらします。
さらには、煎じる行為自体が治療への参加意識を高め、治療継続のモチベーションにつながる場合もあります。
煎じ薬のデメリットと副作用
煎じ薬のデメリットとして、毎日煎じる手間がかかることが挙げられます。また、香りや味が強いため、飲みにくいと感じる人もいます。しかし、自分の体質に合ったものだと美味しく感じるのが漢方薬の特徴です。
さらに、生薬の品質が天候や産地によってばらつきがあり、安定しないことがあります。また、煎じ薬の作り方によって効果に差が出る可能性もあります。効果が強く出るため、胃腸障害などの副作用も強く出ることが考えられます。
煎じ薬とエキス剤のメリット・デメリット比較
ここでは、煎じ薬とエキス剤のメリット・デメリットを比較して説明いたします。自分にどちらが合っているかを考える際の参考にしてください。
エキス剤は、インスタントコーヒーと同じ製法で作られています。煎じ液を濃縮・乾燥させて顆粒状にしたものです。
煎じ薬 | エキス剤 | |
メリット | ・生薬そのものを煮出すので効果が高い(添加物もない) ・香りや揮発成分も効果になる(アロマテラピー様効果) ・液状であるため吸収が良い ・煎じる行為自体が治療継続のモチベーションになる | ・持ち運びやすく、飲みやすい ・品質が安定しており、いつでも一定の効果が得られる ・健康保険で処方できる種類が多い |
デメリット | ・煎じるのに手間がかかる ・香りや味が強いので苦手な場合がある ・持ち運びにくく、飲みにくい ・生薬の品質にばらつきがある ・煎じ薬の作り方によって効果に差が出る場合がある ・効果も強いが副作用も強く出る場合がある ・なまものなので、保管方法により注意が必要 | ・煎じ薬と比較して有効成分の含有量が少ない場合がある ・香りや揮発成分による効果を得にくい ・添加物で乳糖が加えられているため乳糖不耐症の人は服用できない ・顆粒剤であるため、煎じ薬と比較して吸収が劣る ・便利さゆえに服薬がおろそかになる場合がある |
漢方薬を服用したいけど、自分にはどの剤形が合っているのかわからない方は気軽にご相談ください。生活習慣などに応じて煎じ薬と錠剤やエキス剤(顆粒剤)などを、使い分けることもできます。詳しくはYOJOの薬剤師にご相談ください。
煎じ薬の作り方
ここでは、煎じ薬の具体的な作り方について説明します。また、煎じ方に関する質問にもお答えします。
1.1日分(1袋)を袋のまま鍋や容器に入れて煎じます。その時に使用する鍋などの材質には生薬と相性が悪いものがあるので、注意する必要があります。以下を参考にしてください。
◎ 土瓶、ホーロー、耐熱ガラス製
◯ アルミ、ステンレス製
✕ 鉄製、銅製など→煎じ薬はタンニンを含むものが多く、サビと化学反応を起こすものがあるので使用しないでください。
*テフロン加工などコーティングされたお鍋も使用可能です。その他にも煎じ薬を煎じる専用の煎じ器もあります。
2.約600mlの水を入れてください。(お湯を入れるのではなく、必ず水から煮出すことで生薬に水が浸透しやすくなります)
沸騰してからとろ火で約30分〜40分間煎じ、約300ml(半分)になるまで煮詰めます。お鍋で煮詰める時は、吹きこぼれることがあるので蓋はしない方がおすすめです。
ポイント
・とろ火とは、弱火よりもさらに弱い最小の火加減のことで、沸騰状態は保つようにしましょう。
・出来上がり量は変動します。リラックスして煎じましょう。
・お薬の効果を十分に引き出すため、煎じる時間を守りましょう。タイマーをかけるのがおすすめです。
3.できあがった煎じ薬は熱いうちにコップなどに移してください。このとき、やけどに注意しながら、スプーンなどでパックを押して薬液を絞り出してください。この薬液が1日分です。
薬液は1日に2回(または3回)に分けて飲みます。1回目を飲んだ後、残りの薬液はラップをして冷蔵庫に保存し、次に飲むときは電子レンジなどで温め直してから服用してください。
煎じ薬の作り方に関するよくある質問
ミネラルウォーターでも良いですか?
生薬中の成分は金属と反応しやすく吸収を妨げる可能性があるため、硬度の高いミネラルウォーター使用しないでください。水道水や軟水であれば使用可能です。
煮詰めすぎて全部蒸発させてしまったら、またお水を足して煮出して良いですか?
煮詰めすぎて煎じ液が濃くなってしまった場合は、再度煮出す必要はなく、お水を足して薄めて服用してください。もし全部蒸発させてしまって煎じ液が残っていない場合は、効果はもう残ってないので、再度新しいお薬を開けて煎じ直してください。
なぜ温め直す必要があるのですか?
①温めることで煎じ薬の吸収が良くなる、②煎じ薬は香りもお薬の効果のうちなので、温めることで香りが立つためです。湯気が立つくらい温めてゆっくりと服用するのがおすすめです。
作り置きしたものは、時間が経つと効果がどんどん下がるのですか?(質が悪くなりますか?)
煎じ薬は食品と同じような「なまもの」であるため、効果が下がるかどうかははっきりとわかりません。また、傷みやすいので2日以上は作り置きしないようにしましょう。
煎じ薬の基本的な飲み方
煎じ薬の1袋が1日分で、煎じ液(煮汁)を1日2回〜3回に分けて飲みます。最低でも4時間以上は開けて服用しましょう。飲むタイミングは食前1時間前または食間(食事と食事の間)空腹時で、温かい状態で飲みましょう。
煎じ薬の飲み方に関してよくある質問
細粒などと同様に食前や食間の服用が難しい場合は、4時間もしくは6時間間隔で良いですか?
1日2回服用の指示の場合は6時間以上、1日3回服用の指示の場合は4時間以上は間隔を開けて服用してください。
温め直して飲めない場合は冷たいままで飲んでも良いですか?
外出先などでどうしても温め直して飲めない場合は、冷たいまま服用しても構いません。ですが、煎じ薬は温かい状態で飲むことで、においや味も感じやすく効果が高まりますので、できるだけ温め直して飲むことをおすすめいたします。また、煎じ液が傷みやすいため、外出時にはステンレス製の魔法瓶に良く冷えた状態で保存するか、温かい状態で持ち歩く場合は半日くらいにとどめ、長時間は保存しないようにしましょう。
煎じ薬をおいしく飲む方法はありますか?
はちみつをティースプーン1杯程度煎じ液に溶かして服用すると飲みやすくなります。その他には、お砂糖、ココアなどもおすすめです。また、自分の体質に合っていると漢方薬はおいしく感じられるといいます。どうしても飲めない場合は、体質に合っていない可能性も考えられるので、再度医師や薬剤師にご相談ください。
煎じ薬の服用は食前でなければいけませんか?
胃腸が弱い人では、煎じ薬の種類によっては服用すると胃にもたれたり吐き気などを感じる方がいます。そういう場合は、食後に服用していただくことで胃腸の副作用を軽減できる場合があります。
その他の煎じ薬に関するよくある質問
ここでは、煎じ薬の作り方・飲み方以外によくある質問についてお答えいたします。
効果は煎じ薬の方が出やすいですか?
効果の発現が早い、効果が強いと感じる方が多くいらっしゃいます。今までエキス剤を服用していて、効果をあまり感じなかった方が煎じ薬に変更することですごく効果を感じるようになった例もあります。
煎じ薬(煎じる前の生薬)の保管方法は?
直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい所に保管してください。冷蔵庫の中は湿気が溜まっている場合があり生薬がカビてしまう恐れがあるため、冷蔵庫での保管は控えましょう。
煎じ薬の出がらしを食べても良いですか?
煎じ液に有効成分は抽出されているため、出がらしを食べるのは避けてください。食べることで思わぬ症状を引き起こす可能性があります。
YOJOでは、体質に合った漢方薬の選び方や生活習慣を改善するためのアドバイスなども薬剤師から受けることができます。なかなか改善されない不調に悩んでいる方は、YOJOの薬剤師に相談するのも良いでしょう。
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