YOJOで取り扱っている煎じ薬の紹介(効果・副作用など)

煎じ薬

こちらの記事では、YOJOで取り扱っている煎じ薬の漢方薬について、それぞれの配合生薬や効果などを薬剤師が解説いたします。

煎じ薬とは

漢方生薬

漢方で使用される薬は「漢方薬」と呼ばれ、植物、動物、鉱物などの天然素材を加工した「生薬(しょうやく)」を組み合わせて作られています。伝統的な漢方薬の形は、決められた分量や割合で調合された生薬を水から煮出して作る「煎じ薬」です。
煎じ薬は作るのに手間がかかるため、より簡便な「エキス剤」「散剤」「丸剤」「錠剤」などの形で広く利用されています。しかし、生薬そのものを煮出して作る煎じ薬は、他の剤形よりも効果を感じやすいと言われています。

煎じ薬のメリット・デメリットや、エキス剤との比較、煎じ薬の作り方や飲み方について詳しく知りたい方は、こちら▼の記事で解説しています。

YOJOで取り扱っている5種類の煎じ薬

こちらでは、具体的にYOJOで取り扱っている5種類の煎じ薬について、効果や副作用などを解説いたします。

温経湯(うんけいとう)

手足の血流量を調整することで冷え性を改善し、月経異常や不妊症などの婦人科系の疾患に悩む女性によく用いられます。比較的体力の低下した冷え性の人に合う漢方薬です。
漢方でいう「血(けつ)」の量が不足した「血虚(けっきょ)」を改善します。

[1]

わずかに辛くて渋い

配合生薬 [2]

半夏(はんげ)、麦門冬(ばくもんどう)、当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、芍薬(しゃくやく)、人参(にんじん)、桂皮(けいひ)、阿膠(あきょう)[ゼラチン]、牡丹皮(ぼたんぴ)、甘草(カンゾウ)、生姜(しょうきょう)、呉茱萸(ごしゅゆ)

どのような症状に効果があるか

冷え性で手のひらがほてり、唇が乾燥しやすい人の次の諸症:月経不順、更年期神経症、更年期障害、帯下(子宮からの分泌物)、月経過多、月経痛、腰痛、頭痛、皮膚の乾燥、貧血など

副作用・注意点など

甘草が含まれているため、複数の漢方薬を併用する際には偽アルドステロン症などの副作用(むくみ、低カリウム血症、血圧上昇など)が出やすくなる可能性があります。
著しく胃腸が虚弱な人では、煎じ薬の服用後に胃もたれや悪心などが起こることがあります。
妊娠又は妊娠の可能性がある人は、服用前に薬剤師にご相談ください。

温経湯については、こちら▼の記事で詳しく解説されています。
妊活と漢方薬の効果とは?不妊症の原因や妊活法も解説

人参養栄湯(にんじんようえいとう)

病後や産後などで体力が低下した人の栄養状態の改善や免疫力を高めるために用いられます。
漢方でいう「気」も「血」も不足している「気血両虚(きけつりょうきょ)」の人に用いられ、滋養強壮作用や血行をよくする生薬、精神を安定させ、咳を緩和する生薬が配合されています。

[1]

渋くて甘い

配合生薬 [3]

地黄(じおう)、当帰(とうき)、蒼朮(そうじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、桂皮(けいひ)、芍薬(しゃくやく)、遠志(おんじ)、陳皮(ちんぴ)、黄耆(おうぎ)、人参(にんじん)、甘草(かんぞう)、五味子(ごみし)

どのような症状に効果があるか

疲労倦怠感、顔色が悪く発熱や悪寒がある、咳、食欲不振、貧血、寝汗、冷え性、皮膚のかさつきなど

副作用・注意点など

甘草が含まれているため、複数の漢方薬を併用する際には偽アルドステロン症などの副作用(むくみ、低カリウム血症、血圧上昇など)が出やすくなる可能性があります。
胃腸が虚弱な人では、煎じ薬の服用後に食欲不振、胃のむかつきなどが起こることがあります。
肝機能障害が報告されているので、皮膚のかゆみや発疹などが現れた場合はすぐに中止し、薬剤師に相談してください。
妊娠又は妊娠の可能性がある人は、服用前に薬剤師にご相談ください。

こちら▼の記事に人参養栄湯と貧血について詳しく解説されています。ぜひご覧ください。
【薬剤師監修】貧血の症状に用いられる漢方薬とは?おすすめ市販薬や食養生も解説

五積散(ごしゃくさん)

冷えのぼせ(上半身はほてり、下半身は冷える)を訴える人の腰痛症、坐骨神経症に有効です。[1] 冷え性・貧血気味で胃腸が弱く体力は中程度の人で、寒冷や湿気の影響を受けて腰痛、下腹部痛、関節痛などを訴える人に用いられます。夏ではクーラー病にも使用されます。
水分代謝をよくするもの、胃腸の働きをよくするもの、血行をよくするものなど多くの生薬が配合されています。

[1]

わずかに甘くて辛い

配合生薬 [4]

蒼朮(そうじゅつ)、陳皮(ちんぴ)、茯苓(ぶくりょう)、白朮(びゃくじゅつ)、半夏(はんげ)、当帰(とうき)、厚朴(こうぼく)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、白芷(びゃくし)、枳穀(きこく)、桔梗(ききょう)、生姜(しょうきょう)、桂皮(けいひ)、麻黄(まおう)、甘草(かんぞう)、大棗(たいそう)

どのような症状に効果があるか

冷え性、貧血、冷えのぼせがあり胃腸が弱い人の次の諸症:胃腸炎、腰痛、神経痛、関節痛、月経痛、月経不順、頭痛、更年期障害、リウマチなど

副作用・注意点など

甘草が含まれているため、複数の漢方薬を併用する際には偽アルドステロン症などの副作用(むくみ、低カリウム血症、血圧上昇など)が出やすくなる可能性があります。
麻黄が含まれているため、交感神経興奮作用(眠気が覚めるなど)があります。咳止めや気管支拡張剤には似たような働きがあるのでそれらの医薬品との重複には注意が必要です。また、前立腺肥大のある患者さんには尿閉が起こる可能性があるので服用はおすすめできません。
妊娠又は妊娠の可能性がある人は、服用前に薬剤師にご相談ください。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

貧血、更年期障害、月経不順、不妊症、妊娠中の不調などに使用される漢方薬です。比較的体力の低下した女性に用いられます。婦人科系の疾患でよく用いられるので、女性三大漢方薬のひとつとして知られています。
漢方でいう「血(けつ)」の不足を補い、「水(すい)」の巡りも良くすることにより体を温める漢方薬です。

味 

わずかに渋い

配合生薬 [5]

当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、芍薬(しゃくやく)、茯苓(ぶくりょう)、蒼朮(そうじゅつ)、沢瀉(たくしゃ)

どのような症状に効果があるのか

冷え性で貧血の傾向があり疲れやすい人の次の諸症:更年期障害(頭痛、めまい、肩こりなど)、月経不順、月経異常、月経痛、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、不妊症、妊娠中の諸症状、しみなど

副作用・注意点など

胃腸が虚弱な人では食欲不振、胃のむかつきなどが起こることがあります。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

自律神経症状や精神神経症状を伴う更年期障害などの婦人科系の不定愁訴によく使用される漢方薬です。比較的体力が低下した女性で疲れやすく精神不安などがある人に向いています。
女性三大漢方薬のひとつで、漢方でいう血の巡りが悪い「瘀血」を改善し、「気逆」からくる神経の高ぶりや「気うつ」からくる抑うつや気分の落ち込みにも効果があります。

[1]

わずかに苦い

配合生薬 [6]

当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、柴胡(さいこ)、甘草(かんぞう)、牡丹皮(ぼたんぴ)、山梔子(さんしし)、生姜(しょうきょう)、薄荷(はっか)

どのような症状に効果があるのか

虚弱体質で疲れやすく、頭痛、頭重感、のぼせ、めまい、動悸、肩こり、イライラなどの神経症状がある人の、更年期障害、月経不順、更年期神経症、不眠症など

副作用・注意点など

甘草が含まれているため、複数の漢方薬を併用する際には偽アルドステロン症などの副作用(むくみ、低カリウム血症、血圧上昇など)が出やすくなる可能性があります。
肝機能障害が報告されているので、皮膚のかゆみや発疹などが現れた場合はすぐに中止し、薬剤師に相談してください。
山梔子が含まれているため、長期服用(多くは5年以上)により、腹痛、下痢、便秘、腹部膨満感などが繰り返し現れる腸間膜静脈硬化症が起こることがあります。[2]
著しく胃腸が虚弱な人では、食欲不振や吐き気などの症状が起こることがあります。
妊娠又は妊娠の可能性がある人は、服用前に薬剤師にご相談ください。

YOJOでは、体質に合った漢方薬の選び方や生活習慣を改善するためのアドバイスなども薬剤師から受けることができます。なかなか改善されない不調に悩んでいる方は、YOJOの薬剤師に相談するのも良いでしょう。

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【参考文献】

[1]伊藤美千穂編著,エビデンス・ベース漢方薬活用ガイド
[2]ウチダの漢方製剤添付文書 温経湯
[3]ウチダの漢方製剤添付文書 人参養栄湯
[4]ウチダの漢方製剤添付文書 五積散
[5]ウチダの漢方製剤添付文書 当帰芍薬散
[6]ウチダの漢方製剤添付文書 加味逍遙散