【薬剤師監修】貧血の症状に用いられる漢方薬とは?おすすめ市販薬や食養生も解説

立ちくらみする女性

貧血の症状には、胃腸機能を高めたり貯血能力を高めたりすることで、血(血液や栄養素)を補う効果のある漢方処方が用いられます。代表的な漢方薬としては、以下のようなものがあります。

十全大補湯(じゅうぜんたいほとう):病後・術後などで衰弱している方に
・人参養栄湯(にんじんようえいとう):疲れて顔色が悪く、息切れや咳が出る方に
・加味帰脾湯(かみきひとう):心身が疲れ、不眠や不安感もある方に
六君子湯(りっくんしとう):胃がもたれて食欲不振がある方に
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷え性で疲れやすくめまいや生理不順のある方に
・八味地黄丸(はちみじおうがん):下肢の倦怠感や脱毛、尿トラブルが伴う方に

この記事では、貧血に効果の期待できる漢方薬やその選び方について、薬剤師が詳しく解説します。体質や症状に合った漢方薬の選択に悩まれている方はYOJOの薬剤師にも相談できますよ。

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貧血と治療法とは

血液の中に含まれるヘモグロビンと酸素の結合の図

貧血とは、血液の量が不足しているのではなく、血液成分の赤血球に含まれるヘモグロビン(Hb)の濃度が低下した状態を指します。
Hbは血液中の酸素と結合し、全身へ酸素を運搬する役割を担っているため、Hbの濃度が低下すると必要な酸素を供給できずに体が酸欠状態になってしまうのです。

貧血は、採血をしてHb値が成人男性で13g/dL未満、成人女性で12g/dL未満の場合に診断されます[1]
厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」によると、貧血の治療薬を服用していない方のうちHb値が基準を下回る割合は男性に10.4%、女性に約13.3%で見られ、およそ10人に1人は貧血であることが報告されています。

貧血の症状

貧血の状態になると、一般に以下のような症状が見られます。

・疲れやすいと感じる
・めまいや立ちくらみがする
・動悸や息切れがする
・食欲が出ない
・顔色が悪い
・寒気がする、体が冷える

ただし、貧血は徐々に進行することが多く、体が慣れてしまい症状に気付かないケースも見られます。

西洋薬での主な治療

貧血の多くはHbの構成成分となる鉄分が不足することにより起こる鉄欠乏性貧血であり、治療には経口・静注の鉄剤が用いられます。
鉄分は体内で合成できない栄養素であるため、鉄剤の摂取で不足した鉄分を効率的に補い、Hbの合成を促進します。[2]

東洋医学の考え方と漢方治療

東洋医学では貧血を、血(けつ:血液やその栄養分)の不足である「血虚(けっきょ)」の状態ととらえます。血虚では以下のような症状が見られます。

・顔色や舌の色が青白い
・疲労感があるのに眠れない
・爪が割れやすい
・肌や髪が乾燥する
・生理不順がある
・動悸がする

血虚の状態になる原因としては、飲食物から栄養を作り出す「脾(ひ)」の働きが低下したり、血を蓄える「肝(かん)」や造血能力のコントロールの一端を担う「腎(じん)」の働きが衰えたりすることが考えられます。
そのため、東洋医学で貧血の症状を改善する場合には、脾・肝・腎の失調に応じて、その働きを高めるような処方が選択されます。

女性で生理周期による貧血や心身の不調が気になる方は、こちら▼の記事もお読みください。

PMS(月経前症候群)に漢方は有効?選び方や生活アドバイスも解説

貧血に効果の期待できる漢方薬6選

漢方生薬

ここでは、貧血に効果の期待できる具体的な漢方薬6選と、体質や症状に応じた選び方や服用の注意点についてお伝えします。

【病後・術後などで衰弱している方に】十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)

十全大補湯は、病後や術後に体力・気力ともに衰弱した方の気血を補う働きがあります。滋養強壮作用のほか血行や水分代謝を改善する10種類の生薬が配合されています。貧血や食欲不振を改善することから、抗がん剤の副作用対策としても用いられることのある漢方薬です。[3]

臨床試験では以下のような報告もあります。

婦人科悪性腫瘍のために術前に自己血貯血をした症例(120例)を、鉄剤単独群(17例)、鉄剤+エリスロポエチン(EPO)投与群(52例)、鉄剤+EPO+十全大補湯投与群(51例)で比較した。その結果、貯血による赤血球とヘマトクリット値の減少幅が、鉄剤単独群に比べてEPO併用群の方が有意に少なく、さらに十全大補湯併用群の方がEPO併用群に比べて少なかった。
(参照)青江尚志,Pharma.Medica.,2007,25,11-14

服用がおすすめの方
体力虚弱で、貧血で顔色が悪く、皮膚の乾燥や倦怠感、手足の冷えが伴う方におすすめの漢方薬です。病後・術後で全身消耗している場合にも向きます。

服用上の注意
複数の漢方薬を服用する場合は注意ましょう
配合生薬の「甘草(かんぞう)」が重複し、偽アルドステロン症、ミオパチーなどの副作用が起こりやすくなる可能性があります。
胃腸の弱い方は注意ましょう
「地黄(じおう)・当帰(とうき)」が配合されているため胃腸に負担をかけて胃もたれや胸やけなどの副作用が起こる場合があります。
肝機能障害の副作用に注意しましょう
無症状のまま血液検査で判明することも多いですが、発熱、全身の倦怠感、吐き気・嘔吐、黄疸などが出た場合には、服用を中止しすみやかに受診するようにしましょう。

配合生薬
黄耆、桂皮、地黄、芍薬、蒼朮または白朮、川芎、当帰、人参、茯苓、甘草

【疲れて顔色が悪く、息切れや咳が出る方に】人参養栄湯(にんじんようえいとう)

人参養栄湯は、十全大補湯と同様に衰弱した方の気血の不足を補い体力を回復させる作用があります。

十全大補湯から「川芎(せんきゅう)」が除かれ、精神を安定させる作用のある「遠志(おんじ)・五味子(ごみし)」と、肺気を補い脾(胃腸)を健やかにする「陳皮(ちんぴ)」が加えられた処方です。[4]

服用がおすすめの方
衰弱して顔色が悪く、疲れて息切れや咳症状も伴う方におすすめの漢方薬です。消化器症状の出現で十全大補湯の継続服用が困難な場合や、意欲の低下や睡眠障害などの精神症状が合併している場合にも推奨されます。

服用上の注意
複数の漢方薬を服用する場合は注意ましょう
配合生薬の「甘草(かんぞう)」が重複し、偽アルドステロン症などの副作用が起こりやすくなる可能性があります。
胃腸の弱い方は注意ましょう
「地黄(じおう)・当帰(とうき)」が配合されているため胃腸に負担をかけて胃もたれや胸やけなどの副作用が起こる場合があります。

配合生薬
人参、地黄、当帰、蒼朮または白朮、茯苓、桂皮、芍薬、黄耆、甘草、遠志、陳皮、五味子

【心身が疲れ、不眠や不安感も伴う方に】加味帰脾湯(かみきひとう)

加味帰脾湯は、胃腸の働きを助けながら不足している血を補い、貧血や落ち込みやすさを改善する作用があります。

配合生薬の「酸棗仁(さんそうにん)・竜眼(りゅうがん)・遠志(おんじ)」が精神を安定させ不安や憂うつを和らげます。そのほか「人参(にんじん)・白朮(びゃくじゅつ)・生姜(しょうきょう)」などの胃腸機能を強くする生薬が配合されています。

服用がおすすめな方
体力虚弱で、不眠や不安感が強く顔色の悪い方
におすすめの漢方薬です。のぼせやほてり、イライラ、出血傾向がある場合にも向きます。

服用上の注意
複数の漢方薬を服用する場合は注意ましょう
配合生薬の「甘草(かんぞう)」が重複し、偽アルドステロン症などの副作用が起こりやすくなる可能性があります。
腸間膜静脈硬化症の副作用に注意しましょう
「山梔子(さんしし)」を含む漢方薬を長期(5年以上)服用すると、起こる場合があります。腹痛・下痢・便秘・腹部膨満などの症状がくり返し現れる場合は医師に相談しましょう。

配合生薬
人参、蒼朮または白朮、茯苓、甘草、生姜、大棗、酸棗仁、竜眼、遠志、当帰、黄耆、木香、柴胡、山梔子

【胃がもたれて食欲不振のある方に】六君子湯(りっくんしとう)

六君子湯は、気を補い巡りを良くすることで、胃腸の働きを高める作用のある漢方薬です。
食欲亢進や消化管運動に関わるホルモンである「グレリン」の分泌を高めることで、食欲不振を改善する作用があります。[5]
また臨床では、二次性貧血や消化器症状を伴う貧血に有効である可能性が報告されています。[6]

服用がおすすめな方
胃腸機能が低下している虚証タイプで、食欲不振やみぞおちのつかえがあり、疲れやすく手足が冷えやすい方
におすすめの漢方薬です。

服用上の注意
複数の漢方薬を服用する場合は注意ましょう
配合生薬の「甘草(かんぞう)」が重複し、偽アルドステロン症などの副作用が起こりやすくなる可能性があります。
肝機能障害の副作用に注意しましょう
無症状のまま血液検査で判明することも多いですが、発熱、全身の倦怠感、吐き気・嘔吐、黄疸などが出た場合には、服用を中止しすみやかに受診するようにしましょう。

配合生薬
半夏、人参、蒼朮または白朮、茯苓、陳皮、大棗、甘草、生姜

食欲不振に効果の期待できる漢方薬について、さらに詳しく知りたい方はこちら▼の記事もお読みください。

【薬剤師監修】食欲不振に効果の期待できる漢方薬5選!おすすめの養生法も解説

【冷え性で疲れやすく、めまいや生理不順のある方に】当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

当帰芍薬散は、血の不足を補い水の巡りを良くすることで、必要な栄養分を行き渡らせて全身を温めます。肝の失調が原因で、血を蓄える能力が低下して起こる貧血に効果が期待できます。
加味逍遙散や桂枝茯苓丸とともに、「三大婦人漢方薬」と呼ばれる漢方薬の一つです。
臨床では以下のような報告があります。[3]

低色素性貧血を有する子宮筋腫のある女性23例を、当帰芍薬散10例と経口鉄剤投与群13例で比較した結果、当帰芍薬散群は経口鉄剤群に比べて、臨床症状のうち、手足の冷えや顔面蒼白、スプーン状爪、めまいが有意に改善し、副作用もなかった。
(参照)Akase T.et al,薬誌,2003,123,817-824

服用がおすすめな方
体力虚弱で、疲れやすく冷え症の方
におすすめの漢方です。性周期に伴う不調にも向きます。

服用上の注意
胃腸が弱い方は注意しましょう
副作用で食欲不振、吐き気などの消化器症状が起こる場合があります。

配合生薬
当帰、川芎、芍薬、蒼朮または白朮、沢瀉、茯苓

めまいに効果の期待できる漢方薬について、さらに詳しく知りたい方はこちら▼の記事もお読みください。

めまいに効く漢方薬は?原因やおすすめの市販薬も解説

【下肢の倦怠感や脱毛、尿トラブルが伴う方に】八味地黄丸(はちみじおうがん)

八味地黄丸は、腎虚の代表的処方であり、加齢などで腎の働きが低下することで起こる症状に多く用いられる漢方薬です。
主薬の「地黄(じおう)」が補血・強壮作用で体を温め、「山茱萸(さんしゅゆ)・山薬(さんやく)」がその働きを助けます。利尿作用のある「茯苓(ぶくりょう)・沢瀉(たくしゃ)」などの8種類の生薬が配合されています。[7]

服用がおすすめの方
体力中等度以下で、四肢の冷えや疲れやすさ、尿量減少または多尿があり、ときに口渇がある方におすすめの漢方薬です。

服用上の注意
附子の副作用に注意しましょう
配合生薬の「附子(ぶし)」は、過剰に摂取すると中毒症状(ほてり・熱感・悪心嘔吐・しびれ・不整脈・めまい)を起こす可能性があるため、注意が必要です。
妊娠中は服用を中止しましょう
配合生薬の「牡丹皮(ぼたんぴ)」が流早産のリスクを高めたり、「附子」による副作用が起こりやすくなったりする可能性があります。

配合生薬
地黄、山茱萸、山薬、茯苓、沢瀉、牡丹皮、桂皮、附子

ご自身の体質や状態に合った漢方薬の選択でお悩みの方は、YOJOの体質チェックも参考にすることができます。

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市販で購入できる貧血におすすめの漢方商品

ドラックストアにいる薬剤師とお客様

ここでは、病院を受診する時間のない方や、まずは手軽に漢方薬を試してみたい方向けに、市販で購入できる漢方商品をご紹介します。

十全大補湯エキス錠クラシエ

十全大補湯エキス錠クラシエ
引用元:クラシエHP

体力が落ちて疲労倦怠感や貧血のある方に

分類 第2類医薬品
効能効果 体力虚弱なものの次の諸症:病後・術後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血
形状 錠剤
用法・用量 1日3回食前または食間に水または白湯にて服用。
成人(15歳以上):1回4錠
15歳未満7歳以上:1回3錠
7歳未満5歳以上:1回2錠
内容量 180錠

ツムラ漢方108人参養栄湯エキス顆粒

ツムラ漢方108人参養栄湯エキス顆粒
引用元:ツムラHP

気力や食欲が落ちて貧血の方に

分類 第2類医薬品
効能効果 体力虚弱なものの次の諸症: 病後・術後などの体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血
形状 顆粒剤
用法・用量 1日2回食前に水またはお湯で服用。
成人(15歳以上):1回1包
15歳未満7歳以上:1回2/3包
7歳未満4歳以上:1回1/2包
4歳未満2歳以上:1回1/3包
内容量 10包

加味帰脾湯エキス顆粒クラシエ

加味帰脾湯エキス顆粒クラシエ
引用元:クラシエHP

心身が疲れて顔色も悪い方に

分類 第2類医薬品
効能効果 体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪く、ときに熱感を伴うものの次の諸症:貧血、不眠症、精神不安、神経症
形状 顆粒剤
用法・用量 1日3回食前または食間に水または白湯にて服用。
成人(15歳以上):1回1包
15歳未満7歳以上:1回2/3包
7歳未満4歳以上:1回1/2包
4歳未満2歳以上:1回1/3包
内容量 45包

ツムラ漢方43六君子湯エキス顆粒

ツムラ漢方43六君子湯エキス顆粒
引用元:ツムラHP

胃がもたれて食事が摂れない方に

分類 第2類医薬品
効能効果 体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症: 胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐
形状 顆粒剤
用法・用量 1日2回食前に水またはお湯で服用。
成人(15歳以上):1回1包
15歳未満7歳以上:1回2/3包
7歳未満4歳以上:1回1/2包
4歳未満2歳以上:1回1/3包
内容量 10包

ルビーナめぐり®

ルビーナめぐり
引用元:アリナミン製薬株式会社HP

胃腸が弱く冷え性で貧血傾向の方に

分類 第2類医薬品
効能効果 体力虚弱で胃腸が弱く、冷え症で貧血の傾向があり、疲労しやすく、ときに 下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などの訴えがあるものの次の諸症:むくみ、月経痛、頭重、足腰の冷え症、月経不順、月経異常、産前産後 あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、更年期障害、 めまい・立ちくらみ、肩こり、腰痛、しみ、耳鳴り、しもやけ
形状 錠剤
用法・用量 1日3回食前または食間に服用。
成人(15歳以上):1回3錠
15歳未満7歳以上:1回2錠
内容量 60錠/120錠

「クラシエ」漢方八味地黄丸料エキス錠

 「クラシエ」漢方八味地黄丸料エキス錠
引用元:クラシエHP

加齢に伴い疲労感や体の機能低下が気になる方に

分類 第2類医薬品
効能効果 体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で、ときに 口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、 排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、 頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ
形状 錠剤
用法・用量 1日3回食前または食間に水または白湯にて服用。
成人(15歳以上):1回4錠
15歳未満7歳以上:1回3錠
内容量 540錠

貧血のときに取り入れたい食養生とは

ホウレンソウ

上述のように、貧血の多くは鉄欠乏性貧血であり、食事を工夫することでも貧血の予防や改善が期待できます。ここでは食事のポイントをお伝えします。

鉄分を多く含む食品を毎日摂取しよう

食品中に含まれる鉄分には、主に動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、主に植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」があります。鉄分は体内での吸収率が悪く、ヘム鉄で15~20%、非ヘム鉄で2~5%の吸収率です。
そのため、厚生労働省「日本人の食事摂取基準 2020年版」により、1日の鉄摂取量は、20~49歳の成人男性で7.5mg、月経のある女性で10.5mg(月経のない女性は6.5mg)が推奨されています。
以下を参考にしながら、毎日の食事からきちんと鉄分を摂取するようにしましょう。[8]

ヘム鉄を多く含む食品(主に肉類・魚介類)
・豚レバー
…6.5mg/50g
・鶏レバー…4.5㎎/50g
・かつお…1.0㎎/50g
・くろまぐろ……0.8㎎/50g
・あさり水煮…3.8㎎/10g

非ヘム鉄を多く含む食品(主に海藻類・豆類・野菜類)
・調整豆乳
…2.4mg/200g
・納豆…1.7㎎/50g
・小松菜…1.6㎎/75g
・ほうれん草…0.7㎎/75g
・ひじき……0.2~1.4㎎/50g

鉄分の吸収率を高めるビタミンCも摂取しよう

ビタミンCは鉄分の吸収率を促進する働きがあることが分かっています。
ビタミンCは以下のような食品に多く含まれます。[9]

ビタミンCを多く含む食品(主に果物類・野菜類)
・アセロラジュース
…120mg/100ml
・レモン…100㎎/1個
・オレンジ…78㎎/1個
・柿…70㎎/2分の1個
・ブロッコリー…84㎎/70g
・黄パプリカ…68㎎/45g
・かぼちゃ…52㎎/120g

また、柑橘類や酸味の強いものをよく噛んで食べて胃酸の分泌を促すことでも、鉄分の吸収を高めることができます。

鉄分の吸収を阻害する飲食物の摂取は控えよう

タンニンや不溶性食物繊維、リン酸塩を多く含む食品は、鉄分の吸収を阻害してしまうため、貧血の時にはなるべく控えるようにしましょう。[10]

タンニンを多く含む飲み物
以下のような飲み物を食事中や食直後に摂取すると、タンニンが鉄と結合して吸収を低下させる可能性があります。
・緑茶

・紅茶
・コーヒー
・ウーロン茶

不溶性食物繊維を多く含む食品
以下のような食品を摂取することで鉄が不溶性食物繊維と一緒に排せつされやすくなる可能性があります。
・玄米

・おから
・小麦ふすま

リン酸塩を多く含む食品
以下のような食品を摂取すると、含有するリン酸塩が鉄の吸収を阻害する可能性があります。
・加工食品(ハムやソーセージ、練り物など)

・清涼飲料水
・スナック菓子

YOJOでは貧血に効果の期待できる漢方薬の相談だけでなく、生活習慣上のアドバイスなども受けることができます。なかなか改善しない症状に悩まれている方は、一度YOJOの薬剤師に相談してみるのもよいでしょう。

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【参考文献】
[1]日本臨床検査医学会,貧血
[2]東名古屋病院 貧血とその治療薬
[3]伊藤美千穂編著,エビデンス・ベース漢方薬活用ガイド
[4]室賀一宏,人参養栄湯(2018),Phil漢方No.69
[5] 朝日公一ら(2023)機能性ディスペプシアに対する漢方治療-六君子湯を中心に他の方剤との使い分け,日病総診誌19(5)361-366
[6]関義信(2005)経口鉄剤不応性の貧血に対する六君子湯による治療の試み,日東医誌Vol56.No2.275-279
[7]高山宏世編著,漢方常用処方解説
[8]厚生労働省e-ヘルスネット,貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう
[9]国立がん研究センター東病院,貧血がある方のお食事
[10]公益財団法人長寿科学振興財団 貧血予防に良い食事・食べ物・調理方法とは