漢方薬は、一般的に効果が穏やかな印象があるため、体に優しい、副作用を気にせずに続けられる、安全だと思われることが多いですよね。
ですが、漢方薬も「薬」ですので、効果があると同様に副作用も生じえます。
副作用の発生頻度、種類、程度は、薬の種類や人によっても異なります。
漢方薬の副作用の多くは、通常量よりも多量に服用することで生じるものが多いです。なので、使用量を守って服用していただければあまり副作用が起こることはありません。
何かいつもと違うと感じる点があったら、お気軽にYOJOのLINEで薬剤師にご相談ください!
生薬ごとの主な副作用は?
今回は漢方薬に入っている、生薬一つ一つをピックアップして、どの様な副作用を起こす可能性があるのかを挙げてみました。
漢方薬は生薬という植物や鉱物が組み合わさって、一剤の薬として処方されます。
それぞれの生薬が互いの効果を高めあったり、補助することで、薬それぞれの効果を示します。
そのため、その生薬が入っているからといって必ずその成分が薬の主要成分として残っているはわかりません。
経験則によって用いられることが多い漢方薬ですが、現在は様々な研究者が、エビデンスを明らかにしようと漢方薬の主要成分や薬の体内での薬理機序について実験を続け、論文が増えてきています。そのうち、どのような成分によって効果がどのようにあるのかすべて解明される日も近いです。
甘草(カンゾウ)
関与成分グリチルリチン酸によっておこります。
漢方に甘みを付けるために使用されることが多いです。そのため様々な漢方薬に使用されています。
多量に服用することによって副作用が起こることがあり、一剤に使用されている含量ではあまり副作用に繋がる恐れはあまりありません。
甘草配合の漢方製剤の併用に注意が必要です。
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症状:体のむくみ、血圧上昇、脱力感、筋肉痛、血液中のK値の低下(偽アルドステロン症)
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多く含まれている漢方製剤:小青龍湯、芍薬甘草湯
※これらを服用しているからと言って副作用が起こるとは限りません。
麻黄(マオウ)
関与成分エフェドリンによっておこります。
エフェドリンは風邪薬などによく入っていますね。
何かと併用することによって過多となり副作用を生じる可能性があります。
交感神経を興奮させる作用がある生薬なので、心臓が弱い方や高齢者、高血圧の方は慎重に投与する必要があります。
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症状:交感神経を興奮させることで、不眠、発汗過多、頻脈、精神興奮
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多く含まれている漢方製剤:葛根湯、小青竜湯
※これらを服用しているからと言って副作用が起こるとは限りません。
コーヒーに入っているカフェインなどもエフェドリンに化学構造が似ているため、交感神経を興奮させます。それにより眠気を覚ます効果があります。
附子(ブシ)
関与成分アコニチンによっておこります。
トリカブトなどに含有されている成分で、多量に使用することで昔は矢尻の毒に使用されていたりしました。
前述したエフェドリンなどに比べると、あまりなじみのない成分ですよね。
もちろん、毒として使用されていたからと言っても正しく使用することにより立派に薬としての機能を果たします。
そのため一剤を効かないから・・・などの理由で多量に服用すると副作用が生じる可能性があります。
新陳代謝を活性化させ、利尿を促すような漢方薬に入っていることが多いです。
体液量を減らす作用がある生薬なので、高齢者の高血圧にも使用することが出来ます。
逆に、対表面積の小さい小児には慎重に投与する必要があります。
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症状:新陳代謝の活性化による、舌のしびれ、悪心、のぼせ
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多く含まれている漢方製剤:八味地黄丸、牛車腎気丸
※これらを服用しているからと言って副作用が起こるとは限りません。
大黄(ダイオウ)
関与成分センノシド類によっておこります。
下剤などとして使用される漢方薬によく配合されています。
つまり、下半身を締め付ける作用があるため、妊娠中の方には注意が必要です。使用を続けてしまうと流産・早産の危険性があります。また、授乳移行しやすいので、出産後の授乳期の使用も注意が必要です。
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症状:食欲不振、腹痛、下痢(乳幼児の下痢)
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多く含まれている漢方製剤:大黄甘草湯、防風通聖散
※これらを服用しているからと言って副作用が起こるとは限りません。
山梔子(サンシシ)
長期服用時(3、5年~)に生じる可能性があります。
アトピーや更年期障害時に使われる薬にも配合されているので、成分に山梔子が入っていて長く服用している場合は、大腸検査などの定期的な検査を行うことが望ましいとされています。
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症状:腸間膜静脈硬化症
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多く含まれている漢方製剤:黄連解毒湯、加味逍遙散
※これらを服用しているからと言って副作用が起こるとは限りません。
副作用を避けるために
副作用は、薬に効果がある以上起こりえるものです。
正しい薬による効果を得るためにも以下のことに気を付けて日々過ごしてみましょう。
・用法容量を守る
・常に飲み合わせに気を配る
・少しでも疑問があればすぐに医師、薬剤師に相談(YOJOにご相談ください!)
正しく使用すれば、薬はあなたの健康をサポートする上で非常に役に立ちます!
過剰に副作用におびえるのではなく、上手に薬を使っていきましょう。
最後に
いかがだったでしょうか。
漢方薬でも多量に服用したり、飲み合わせによっては副作用が起こる可能性があります。
そのため、服用している薬以外でも、日ごろから飲んでいるサプリメントや健康食品を薬剤師に伝えることは大切です。情報が多ければ多いほど薬剤師や医師が判断する基準が増え、あなたの健康を守ることに繋がります。
なにかいつもと調子が違うなど、体調に変化があったり、新しく薬を飲み始めたのだけれど飲み合わせは大丈夫かしらなど、気になる点がありましたらYOJOのLINEで薬剤師に相談してみてくださいね。