ニキビの種類と原因とは?ニキビ跡や場所別のおすすめケアも解説

「生理前になるとニキビが増える」「乾燥しているのにニキビができる」
年齢を問わずニキビで悩む方は多いです。ニキビの発症には過剰な皮脂分泌やホルモンバランスの乱れ、偏った食生活などさまざまな原因があり、ニキビの段階によっても必要なケアが異なります。
この記事では、

・ニキビの原因と種類
・ニキビができた場所別の原因と対策
・ニキビ跡を作らないためのスキンケア
・ニキビの予防法

について詳しく解説します。

ニキビができる仕組みとは

鏡でニキビを確認する女性

ニキビは 医学用語で尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう) と呼び、慢性炎症性疾患の一つに位置付けられています。[1] 思春期に好発し、成人以降は次第に減少しますが、女性ではしばしば中年を過ぎるまで続くこともあります。
ニキビができる仕組みは以下の3点であると考えられています。

過剰な皮脂の分泌

思春期には男女共に男性ホルモン(テストステロン)の分泌量が増加します。テストステロンは、皮脂腺に存在する酵素(5α還元酵素)によって活性の高いジヒドロテストステロンへと代謝されたのち、皮脂腺にある受容体に結合して皮脂分泌を促進する作用があります。[2]
女性の血中テストステロン値は男性の1/10~1/20程度ではありますが、卵巣や副腎でコレステロールを原料にして合成され、思春期のからだの成長に伴って分泌量が増加することが知られています。

また、生理前や妊娠初期には卵胞ホルモン(エストロゲン)よりも黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が多くなります。黄体ホルモンには男性ホルモンと同様に皮脂の分泌を活性化させる作用があることが分かっています。[3]

その他にも、皮膚が乾燥すると肌自身が水分を補おうと皮脂を分泌することで過剰になることもあります。さらに糖分・油分の多い食生活ストレス・睡眠不足によるホルモンバランスの乱れも皮脂分泌の促進につながります。

毛穴の詰まり

私たちの肌は、約28日の周期で古い角質が垢としてはがれ落ち、新しい細胞へ入れ替わる「ターンオーバー」をくり返しています。通常、皮脂は汗と共に毛穴から排出されるのですが、ターンオーバーが乱れて周期が長くなると、古い角質が皮膚の表面に停滞し毛穴の出口がふさがれ、皮脂が詰まってしまいます。
ターンオーバーの乱れは、皮膚の乾燥や紫外線、ストレス、不規則な生活習慣、誤ったスキンケア、加齢などが原因で引きおこるとされています。

アクネ菌の増殖

ニキビの主な原因菌であるアクネ菌Cutibacterium acnesは、誰もが肌に持っている皮膚の常在菌です。アクネ菌は肌の上で皮脂を分解し、グリセリンと脂肪酸などを作り出すことで肌に潤いを与えながら肌のpHを弱酸性に整えたり、病原菌の繁殖を抑えたりする役割があります。

一方で、アクネ菌は空気中の酸素を苦手とする嫌気性菌であるため、毛穴が詰まって酸素と触れない環境ができると毛穴の内部で急速に増殖します。その結果、からだの免疫細胞(白血球など) が過剰に増殖したアクネ菌を異物と認識して攻撃するため、炎症反応を引き起こしてしまうのです。

また、アトピー性皮膚炎などの治療で、ステロイドや外用免疫抑制剤を正しく使用しなかった場合でも、免疫低下を引き起こして、アクネ菌を増やしてしまう可能性があります。 
ニキビ治療薬やその正しい使い方について、さらに詳しく知りたい方は、こちら▼の記事もお読みください。

アトピー性皮膚炎の薬と治療法とは?近年の新薬についても解説

主なニキビの種類と進行

ニキビの種類と進行の図

ここではニキビの種類や進行について、大きく5段階に分けてご説明します。

白ニキビ(閉鎖面皰:へいさめんぽう)

白ニキビ、閉鎖面皰

ニキビの初期の段階で、過剰な皮脂や古い角質、洗い残した皮膚の汚れが毛穴の出口をふさぎ、毛穴内に溜まった皮脂により盛り上がって見える状態です。
表面は薄い皮膜で覆われ、白~乳白色の発疹に見えることから俗に白ニキビとも呼ばれます。

黒ニキビ (開放面皰:かいほうめんぽう)

黒ニキビ、開放面皰

白ニキビから少し進行した状態です。毛穴内に溜まった過剰な皮脂や汚れなどが毛穴の出口を押し広げた結果、毛穴が開き、皮脂が空気中の酸素に触れて酸化され、黒ずんで見えます。 そのため俗に黒ニキビとも呼ばれます。

医学用語では白ニキビ・黒ニキビを合わせて「面皰(めんぽう)・コメド」と呼び、ニキビはまだ炎症を起こしていない状態です。[4]
この段階で適切なケアをせずに放置してしまうと、ニキビはさらに悪化して炎症を引き起こしてしまいます。

赤ニキビ(紅色丘疹:こうしょくきゅうしん)

赤ニキビ、紅色丘疹

黒ニキビがさらに進行した状態です。毛穴の詰まった皮脂にアクネ菌や雑菌が繁殖し、毛穴周りが炎症を起こすことでニキビが赤く腫れあがります。炎症が長期化すると、皮膚の赤みがしばらく続いたり、メラニンが肌に沈着して茶色っぽいシミが残ったりすることがあります。

黄ニキビ(膿疱:のうほう)

黄ニキビ、膿疱

赤ニキビがさらに悪化して化膿し、繁殖したアクネ菌などの死骸が膿となって黄色く見えている状態です。アクネ菌が作り出す「リパーゼ」という酵素が毛包の壁を壊してしまうことで、炎症がさらに周りに広がります。

ニキビ跡(瘢痕:はんこん)

ニキビ跡、瘢痕

ニキビが重症化して炎症が強いと、皮膚の奥深くまでダメージがおよぶため、クレーター状の陥凹性瘢痕やミミズ腫れのような肥厚性瘢痕が“ニキビ跡”として肌に残ることがあります。

ニキビの場所から原因やからだの不調がわかる!?

部位別のニキビの画像

ニキビはできる場所によっても、原因が分かることがあります。
たとえば10代にできやすい思春期ニキビは、おでこから鼻にかけてのTゾーンといった皮脂腺の多い部分にできやすいのが特徴です。
一方で20歳以降にできる大人ニキビは、Uゾーンと呼ばれる顎(あご)や口周り、頬(ほほ)など、乾燥しやすい部分にもできるのが特徴です。[5]

ここでは、部位別のニキビで考えられる原因や対策についてお伝えします。

おでこ・頭皮のニキビ

おでこには皮脂腺が多いため、他の部位に比べてニキビができやすいです。
また前髪の刺激や、シャンプー・トリートメントの洗い残しでもニキビができることがあります。食生活や生活習慣の改善と共に、肌の清潔も保つことが大切です。

眉間・眉毛のニキビ

眉間・眉毛はTゾーンにあたり、皮脂が多く分泌される部位です。 また、おでこと同様に前髪の刺激を受けたり、アイメイクの洗い残しがあったりするとニキビができやすくなります。

鼻・鼻の下のニキビ

鼻もTゾーンにあたり、皮脂が多く分泌される部位です 。さらに小鼻の周りはクレンジングで落としきれなかったファンデーションが溜まりやすい場所にあります。また、鼻をよくかむ人は、頻回に指で鼻を触ったり、ティッシュペーパーに肌の水分が奪われて乾燥したりするため、ニキビができやすくなることがあります。

頬(ほほ)のニキビ

頬(ほほ)のニキビは、肌の乾燥が大きく影響していると考えられます。ニキビ跡が残りやすい部位であるため、放置せずに保湿ケアをしっかりすることが大切です。寝具やメイク道具が不衛生である場合もニキビができる原因となるため注意しましょう。

口周り・唇のニキビ

口元は皮膚が薄く乾燥しやすい場所です。そのため皮膚の水分を補おうと皮脂の分泌がさかんになり毛穴が詰まりやすくなる原因になります。
また、一般に胃腸機能が低下していると、口元にニキビができやすいとも言われています。皮膚の薄い口元はニキビ跡が残りやすい傾向にあるため、こまめな保湿ケアや暴飲暴食をさけるなど日頃からのケアが大切です。

顎(あご)のニキビ

顎(アゴ)のニキビは、大人ニキビの発症で大変多い部位です。[5]
顎はヒゲが生える部位であることから男性ホルモンの影響を受けやすいとされています。そのため、ストレスや睡眠不足、過度のダイエット、冷えなどの影響でホルモンバランスが乱れると顎ニキビができやすくなることがあります。

背中のニキビ

背中は皮脂腺が多いだけでなく、衣類による摩擦や蒸れでニキビができやすい部位です。またシャンプーやトリートメントの洗い残しが原因になることもあります。

生理前やストレスで肌トラブル・ニキビが起こりやすい方は、YOJOで無料相談することも可能です。

ニキビ跡を作らないためのポイント

鏡で肌を気にする女性

ニキビを指で潰さない

ニキビを潰したり指で触ったりすることで、雑菌が患部に入って炎症が広がり、ニキビが悪化したりニキビ跡が残ったりする可能性があります。

一方で、 医療機関では面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)という、ニキビを押し出す施術を行うこともあります。 ニキビの原因となっている毛穴の詰まりや細菌を取り除くことで、早く治癒する効果が期待できるためです。医療機関で行う場合は清潔な状態で特殊な器具を使用し、非常に小さな穴をあけてニキビを押し出すため、指で潰すのと比較し皮膚へのダメージが少ないです。

ニキビパッチを取り入れてみる

ニキビパッチは、ニキビに直接貼り付けるシール状の市販アイテムです。ニキビを治療する効果はありませんが、外部の刺激や紫外線から保護し、ニキビ跡を残りにくくする効果が期待できます。
ただし、パッチを使用することで毛穴がふさがってしまうため、毛穴の詰まりやアクネ菌の繁殖を悪化させる懸念もあることから、使用時には注意が必要です。

市販のニキビ治療薬を使用する

塗り薬

市販のニキビ治療薬を早い段階で使用することで、炎症を抑えてニキビ跡をできにくくする効果が期待できます。市販薬に含まれる成分には以下のようなものがあります。

抗炎症成分

・グリチルリチン酸ジカリウム
・アラントイン
・イブプロフェンピコノール

炎症を起こしている赤ニキビ・黄ニキビに効果が期待できます。
ただし、炎症が強く痛みがあったり、炎症が長引いたりしている場合は、ニキビ跡や色素沈着の原因となるため、早めの受診がおすすめです。

殺菌成分

・イオウ
・イソプロピルメチルフェノール
・レゾルシン

アクネ菌の殺菌効果があるため、ニキビ初期の白ニキビ・黒ニキビに有効です。また、アクネ菌が増殖して炎症を起こしている赤ニキビ・黄ニキビにも効果が期待できます。ただし、殺菌成分が配合されている治療薬は、市販では外用剤のみの販売になるため、炎症が強い場合は皮膚科処方の抗菌内服薬が推奨されます。

ビタミン成分

・アスコルビン酸(ビタミンC)
・リボフラビン(ビタミンB2)
・ピリドキシン(ビタミンB6)など

ビタミンCにはメラニンの生成を抑制したり、肌のターンオーバーを促進したりする働きがあります。そのためニキビの炎症による色素沈着を防ぐ効果やニキビ跡を薄くする効果が期待できます。また、ビタミンB2には過剰な皮脂分泌を抑える効果ビタミンB6には皮膚炎を予防する効果があるとされています。

皮膚科を受診する

炎症の強いニキビには、早めに皮膚科を受診して抗生物質の内服薬を服用することが強く推奨されています。[4]
また、以前は抗菌薬でアクネ菌を抑える治療が主流であった時代もありましたが、近年では毛穴の詰まりを改善する コメド(面皰)治療薬が開発され、白ニキビや黒ニキビの段階から早期に治療ができるようになっています。

さらに、くり返すニキビや長引くニキビの中には、違う病気が隠れている場合もあります。たとえば、 顔ダニ(ニキビダニ)の異常繁殖による「毛包虫性ざ瘡」や、マラセチアなどの皮膚常在菌が毛包内で増殖して起こる「毛包炎(毛嚢炎)」などがあげられます。そのほか、性成熟期女性の5~8%にみられる「多嚢胞性卵巣症候群」ではホルモン異常が起こり、ニキビができやすくなることが知られています。[1]

ニキビの治療薬についてさらに詳しく知りたい方は、こちら▼の記事がおすすめです。

ニキビに効果のある治療薬とは?正しい塗り方やおすすめ市販薬も解説

ニキビを予防し悪化を防ぐための対策

薬剤師の女性

最後に、ニキビを予防したり悪化したりするのを防ぐために、日頃から行っておくと良いおすすめの対策についてお伝えします。

肌に良い栄養素や食品を取り入れる

ブロッコリーを食べる女性

ダイエットや偏食で栄養バランスに偏りがあると、ニキビや肌荒れの原因になります。肌に良い栄養素を日頃の食事から取り入れることで、健康な肌の状態に整えることができます。

たとえば、肌の細胞を作る材料となるタンパク質や、肌の新陳代謝を促したり皮脂分泌を調整したりするビタミンB2・ビタミンB6、肌の血行を促して肌荒れの改善をサポートするビタミンEなどを積極的に摂取りましょう。

・タンパク質…肉や魚、大豆製品、乳製品、卵
・ビタミンB2…肉や魚、海苔、卵、キノコ類
・ビタミンB6…米・麦類、にんにく、バナナ、こんにゃく
・ビタミンE…ナッツ類、ひまわり油、魚

また、大人ニキビには、皮膚や粘膜の細胞の成長・分化に関与するビタミンA、ストレスによる肌のバリア機能の低下を防ぐビタミンCもおすすめです。

・ビタミンA…ホウレンソウ、海苔、鶏レバー、ウナギ
・ビタミンC…ブロッコリー、芽キャベツ、アセロラ、レモン

一方で、甘いものや脂っこい食べ物はニキビを増やす原因となるため避けましょう。また、コーヒーや紅茶、チョコレートなどに含まれるカフェインには利尿作用があることから、ビタミンB群・ビタミンCなどのニキビケアに重要な水溶性ビタミンを体外へ排出してしまいます。取り過ぎには注意することが重要です。

質の良い睡眠をとる

眠っている女性

良質な睡眠を取ることは、「成長ホルモン」の分泌を促進し、肌のターンオーバーの活性化につながります。
成長ホルモンは、22時~深夜2時をピークに分泌されます。この時間帯に良質な睡眠を取ることが非常に大切です。
そのためにも、15時以降のカフェインの摂取は避け、睡眠の2~3時間前の激しい運動・寝酒・スマホやテレビの視聴はできる限りやめるようにしましょう。

また、全体の睡眠時間も、6~8時間程度の朝すっきりと目覚められる長さは確保することが大切です。寝不足になると交感神経が優位に働きます。女性の場合、交感神経が働き緊張状態になると、男性ホルモンの分泌が促進して皮脂量が増加し、ニキビや肌荒れをまねく原因となります。

紫外線対策をする

帽子で紫外線対策をする女性

ニキビの主な起炎菌であるアクネ菌は、「ポルフィリン」という物質を産生します。このポルフィリンに紫外線が当たることで、多量の活性酸素を発生して肌に炎症を引き起こす過酸化脂質の量が増えることが分かっています。[6]


また、肌は紫外線を浴びるとバリア機能が低下しやすくなります。今できているニキビを悪化させてニキビ跡や色素沈着の原因になるだけでなく、ターンオーバーが乱れて新たなニキビができやすくなってしまいます。紫外線対策は一年を通して、屋内・屋外に関わらず行うようにしましょう。

正しい洗顔・スキンケアで肌を清潔に保つ

洗顔する女性

ニキビや脂性肌が気になるからといって、頻回に洗顔をすると肌の乾燥や肌荒れにつながります。
洗顔は1日2回、洗顔料をよく泡立てて、泡で顔を包み込むようなイメージで優しく洗いましょう。すすぎで使用する水の温度は、30℃以下のぬるま湯が良いとされています。[7]十分な流水ですすいだ後に、清潔なタオルで軽くおさえるように水気をふき取ります。
洗顔後はできれば10分以内を目安に、化粧水やクリームをつけて肌をしっかりと保湿することも大切です。

ノンコメドジェニック化粧品を使用する

化粧品

使用するスキンケア化粧品がニキビの原因とならないように、ノンコメドジェニックテスト済みの化粧品を選ぶのも良いでしょう。ノンコメドジェニック化粧品は、油分が抑えられた処方になっており、開発段階でニキビができにくい製品であることが試験で確認されている製品です。

もちろん、ノンコメドジェニック化粧品を使用すれば必ずニキビができにくくなるというわけではありませんが、化粧品を選ぶときの一つの指標にすると良いでしょう。

漢方で体質改善する

漢方生薬

漢方において、ニキビは体内に余分な熱がこもることで皮膚に影響を与え、そこに外界の刺激が加わってできると考えられています。また、ホルモンバランスの乱れやストレスでも血の巡りが悪くなり、ニキビができやすくなります。
ご自身の体質に合った漢方薬を正しく選択することで、ニキビができにくいような体質に改善させることも可能です。

ニキビの治療に使用される漢方薬についてさらに知りたい方はこちら▼の記事もお読みください。

YOJOでは、体質に合った漢方薬の選択だけでなく、ニキビができにくい生活習慣のアドバイスなどを受けることも可能ですので、くり返すニキビに悩んでいる方は体質チェック&無料相談を受けてみてください。

【参考文献】

[1]公益財団法人 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A
[2]赤松浩彦ら(1992)男性ホルモンの脂腺細胞に及ぼす影響について,日皮会誌102 (1) 47-50
[3]居原田麗(2017)妊娠と美,女性心身医学21(3)290-294
[4]日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023
[5]川島眞,宮地良樹(2017)一般人を対象とした痤瘡とその対処方法に関するインターネット調査,日臨皮会誌34(6)732-741
[6]菊池麻実子(2022)角栓洗浄がもたらす皮膚への影響-皮膚表面での酸化ストレスに着目-オレオサイエンス22(9)29-34
[7]大江昌彦ら(2010)ざ瘡寛解期における化粧指導とスキンケア製品によるProactive Managementの有用性,日本化粧品技術社会誌44(2)127-132