【薬剤師監修】足のむくみを解消する方法は?ツボ6選も紹介

足をマッサージする女性

「夕方になると足がパンパン」、「足がむくみやすくて困っている」など、足のむくみに関してお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか?

この記事では、

・足のむくみを解消するリンパマッサージやストレッチ

・足のむくみを解消するのに役立つツボ6選

・足のむくみを解消するのに役立つ食事

・足のむくみを解消するのに役立つグッズ

などについて、薬剤師が詳しく解説しています。

足のむくみでお悩みの方は、体質改善をすることでむくみの解消につながる可能性もあります。ぜひ一度YOJOの薬剤師にLINEでご相談ください。

体質チェック

足のむくみを解消するリンパマッサージ

足

足の筋肉を動かすことはむくみを解消するために重要です。運動だけでなく、足のリンパマッサージや軽いストレッチも血液循環を促進するのに役立ちます。

リンパとはリンパ液のことで、血液からしみ出た液体成分のことをいいます。静脈とは別のリンパ管の中を流れています。リンパ管には、心臓のような大きなポンプがないため、体を動かすことによる筋肉の収縮、外からのマッサージ刺激などがリンパ液を流す手助けになります。[1]

◎リンパマッサージのポイント[2]

・マッサージをする際には、洋服の上からではなく、皮膚に直接手のひらを当てて行いましょう。ポイントは、手のひらを優しく皮膚に密着させて、リンパ節に向かってゆっくりと動かすことです。

・まずリンパの流れを良くするために、足のマッサージを始める前に準備のマッサージをしましょう。準備のマッサージは、直接触ることのできない深部のリンパ管系の働きを活発にすることでリンパ液を排出させやすくする効果があります。

【準備のマッサージ】
①肩回し
鎖骨を大きく動かしながら、ゆっくり肩をまわしましょう。(10回)
②深呼吸
手のひらを下腹部に当てて、鼻からゆっくりと十分に息を吸い込んだ後、口から細く長く、十分に息を吐き出しましょう。(3〜5回)
③左の脇の下(腋窩リンパ節)のマッサージ
右手を左の脇の下に平らに当て、丸く動かすようにします。(20回)
④通り道となる皮膚のマッサージ
体の脇(お尻から脇の間)の皮膚円を描くようにマッサージしましょう。より効果的にリンパ液を誘導する準備となります。

【むくみのある部位(足)のマッサージ】

流す方向は、いつもおしりの外側を通って、左の脇の下になります。
①お尻から膝の間を円を描くようにゆっくりマッサージします。
②膝から足首の間を円を描くようにゆっくりマッサージします。
③足の甲、指、足裏を優しくマッサージします。

【まとめ】

マッサージの最後に、まとめとして、体の脇を通るようにしてつま先からお尻の外側を通って脇の下のリンパ節まで優しく皮膚をなでるようにリンパ液を流します。このようにすることで、さらにリンパ液の流れを改善させることができます。

(引用:山崎善弥、佐藤佳代子著 爽やかな明日へ リンパ浮腫のセルフケアと波動系空気圧式マッサージ器の使い方

足のむくみを解消・予防するストレッチ

足のストレッチをする女性

ここでは、立ち仕事時・デスクワーク時に簡単にできるストレッチをご紹介します。

◎ストレッチのポイント
・お風呂上がりなど、体が温まって血行が良い時に行うと効果的です。
・気持ち良いと感じる程度で行うようにしましょう。

立ち仕事時にできる簡単ストレッチ

第二の心臓とも呼ばれるふくらはぎは、心臓に血液を戻す重要なポンプの役割をしています。ふくらはぎの筋肉を動かすことでリンパ液の流れも良くなりむくみの予防・解消につながります。

・つま先でのかかとの上げ下げ

・アキレス腱を伸ばす

・足首を回す

など、ふくらはぎを意識しながら立ち仕事時にこまめに動かすようにしましょう。

デスクワーク時にできる簡単ストレッチ

長時間座ったままでいると、下半身の血流が悪くなりむくみの原因になります。そのため、こまめに足を動かすストレッチを行うことが大切です。

以下は、厚生労働省が推奨する「エコノミークラス症候群」を予防するための運動です。血流を改善することによりむくみの予防・解消につながります。

【予防のための足の運動】

①足の指でグーをつくる

②足の指をひらく

③足を上下につま先立ちする

④つま先を引き上げる

⑤ひざを両手で抱え、足の力を抜いて足首を回す

⑥ふくらはぎを軽くもむ

(引用:厚生労働省 エコノミークラス症候群予防のために

足のむくみを解消するツボ6選

足のツボ押し

ここでは、足のむくみを解消するツボを6種類ご紹介します。自分の気持ちの良いと感じる強さで心地よく刺激するようにしましょう。

三陰交(さんいんこう)

三陰交のツボ

血行を促し、水の流れを改善するツボ

三陰交は、血行を促し新陳代謝を高めることでむくみを解消するツボです。血行が改善されることで、体の中に溜まった余分な水分や老廃物の排出もスムーズに行われます。レッグウォーマーを着用して温めるだけでも効果が期待できます。

【ツボの場所】
足の内くるぶしの中心から、指幅4本分上に上がったところにあります。

【見つけるコツ】
骨の後ろを押すと、圧痛が感じられる場所です。

中脘(ちゅうかん)

中脘のツボ

○胃腸の働きを助けるツボ

胃腸の働きが弱まると、代謝も低下しむくみが生じる原因になります。中脘は、胃腸の働きを正常に戻すのを助けるツボです。胃腸の働きが正常に戻り、代謝がアップすると、体内を巡る水の流れも改善されます。

【ツボの場所】 
おへそから指幅5本分上がったところにあります。胃の中央に位置すると言われています。

【見つけるコツ】
みぞおちとおへそのほぼ中間地点が目安です。その近辺をさわって探します。

足三里(あしさんり)

足三里のツボ

○体を元気に整えるツボ

むくみはもちろん、胃腸など内臓の不調にも効き、体に活力を与えてくれるツボです。停滞する「気」と「水」の流れを促し、むくみを解消します。

【ツボの場所】
ひざ下の外側にあるくぼみから、指幅4本分下がったところにあります。

【見つけるコツ】
ひざを手でつかむように持ち、中指を伸ばして、指先が当たるところです。

湧泉(ゆうせん)

湧泉のツボ

○全身に「気」を巡らせるツボ

「気」の湧き出る泉、という意味を持つツボです。体力が落ちている時にも威力を発揮し、全身に気を巡らせ新陳代謝を活発にします。気の巡りが良いとむくみにくくなります。

【ツボの場所】
足の裏の、足のつま先からかかとまで約3分の1のところに出来るくぼみにあります。

【見つけるコツ】
足の裏を内側に曲げ、親指で触ってくぼみを確認します。

合谷(ごうこく)

合谷のツボ

○体の基礎代謝を活性化させるツボ

さまざまな不調を改善してくれるツボとして知られています。余分なエネルギーを燃やし、体内に溜まりがちな水分や老廃物などの排出を促してくれます。

【ツボの場所】
手の甲を上にして、親指と人差し指の骨が交差した付け根から、人差し指へ向かってなでた時のくぼみにあります。

【見つけるコツ】
親指と人差し指の骨がぶつかる付近のくぼみにあります。押すと圧痛や心地よさを感じる場所です。

中渚(ちゅうしょ)

中渚のツボ

○水分の調節機能に働きかけるツボ

漢方医学の考えには五臓というものがあり、その中の「肺」と「腎」の機能が低下すると、体内に水分が溜まりやすくなり、むくみが生じます。中渚は、弱まった水分代謝を促してくれるツボです。

【ツボの場所】
手の甲を上にして、薬指と小指の骨の間を手首に向かって指先で触れていくと見つかるくぼみにあります。

【見つけるコツ】
手を握った時、薬指と小指の関節の間にあるくぼみが目安です。押すと圧痛が感じられます。

血行を良くするツボについて、こちら▼の記事では動画でも紹介しています。参考になさってください。
関連記事:滞った身体の巡りを改善する5つのプチ習慣【ツボ編】

便秘も気になる人は、こちら▼の記事で便秘解消に役立つマッサージやツボをご紹介しています。
関連記事:便秘解消におすすめのマッサージ・ツボをご紹介

足のむくみを解消する運動と筋力トレーニング

ヨガをする人たち

弾性ストッキングで圧迫した状態で運動すると、筋ポンプ作用との連動によりいっそうリンパ液の排出効果が高まります。[2]

  • 足の指を前後に動かす
  • 足首を前後に伸ばしたり縮めたりする
  • 膝を曲げ伸ばす

など、日常生活の中で簡単に行える運動を定期的に取り入れましょう。

足のむくみを解消する食事

野菜

食塩などに含まれるナトリウムを過剰に摂取すると、水分を体内に溜め込むため、むくみが生じることがあります。一方で、カリウムはナトリウムを体外に排出する働きがあるため、余分な水分の排出を促すことができます。

足のむくみを解消するためには、余分なナトリウムを体の外へ排出させる作用のあるカリウムを含むものを摂ることが必要です。

しかし、カリウムの摂りすぎは、逆に体内の水分バランスを乱すことがあるので注意が必要です。適切なカリウムの摂取量は、個人差がありますが、日本人の食事摂取基準表(2020年度版)では、成人男性で1日2500mg、成人女性で2000mg程度が目安量とされています。[3]

カリウムを多く含む食材には、野菜、果物、イモ類、豆類などが挙げられますが、加工や精製度が進むにつれて含有量は減ります。具体的には、以下のような食材に多く含まれます。(カッコ内は可食部100g当たりのカリウム量mg)[4]

○カリウムを豊富に含む食材

  • 枝豆(590)、かぼちゃ(400)、そら豆(440)、大根(400)、たけのこ(520)など
  • キウイフルーツ(290)、さくらんぼ(210)、バナナ(360)、干しぶどう(740)、メロン(340)など 
  • さつまいも(480)、さといも(640)、じゃがいも(410)、ながいも(430)、やまといも(590)など
  • あずき(1500)、いんげん豆(1500)、大豆(1900)、きなこ(2000)など

足のむくみの解消に役立つグッズ

足をマッサージする女性

ここでは、足のむくみの解消に役立つグッズを2種類ご紹介します。

弾性ストッキング

リンパ浮腫などの治療では、医療用の弾性ストッキングの着用を勧められる場合があります。弾性ストッキングとは弾力性を持った特殊なストッキングで、圧力で締め付けることにより足の静脈の血液の流れを改善することができます。[5]

選ぶ時には、足の長さ、周囲径、基礎疾患(高血圧や静脈疾患などの有無)を考慮した上で、自分の状態にあったものを選ぶことが大切です。[2] 医師の診断を受けた上で、購入し着用するようにしましょう。

メディキュット

メディキュット
引用元:メディキュットHP

一般医療機器では、「メディキュット」などの商品が知られています。メディキュットは段階圧力ソックスで、足首に最も強い圧力がかかり、ふくらはぎや太ももにかけて圧力が段階的に弱くなるように設計されています。[6] リンパや血液の流れを改善することでむくみの改善に役立ちます。

むくみの予防策と日常の注意点

温かいお茶

筋力を付けて血液循環を促す

下半身のむくみを予防するためには、足の筋力を鍛えて筋ポンプ作用を強化することが大切です。これにより、下半身の血液を心臓に戻すことができ、むくみを防ぐことができます。軽い運動をするだけでも、筋ポンプ作用はしっかり働くとされています。[7]

足のリンパマッサージやストレッチを行う

足の筋肉を動かすことが足のむくみを予防するためには大切です。運動以外にも、足のリンパマッサージや軽いストレッチを行うことでも血液循環を促すことができます。

◎スキンケア時のポイント

毎日のスキンケアで皮膚の潤いを保つこともむくみ予防のためには役立ちます。保湿クリームを塗る時には、手のひらを皮膚に密着させ、つま先から足の付け根までおしりの外側の方向に丸く動かすようにしましょう。クリームを皮膚に塗りながら、リンパ液の流れを良くすることができます。[2]

身体を冷やさないようにする

身体が冷えると血行不良が起こりやすくなります。血行不良はむくみを悪化させる可能性があるので、身体を冷やさないようにすることが重要です。
防寒の際には、身体を締め付けないゆったりとした服を選びましょう。首、手首、足首などの「首」が付く部分を重点的に温めることで身体全体を温めることができます。タートルネックや手袋、レッグウォーマーなどがおすすめです。
食事では温かいスープや鍋料理、飲み物も常温か温かいものを選ぶように心がけましょう。

冷え性の改善方法や冷え性に用いられる漢方薬については、こちら▼の記事で詳しく解説しています。
関連記事:冷え性を改善するためには?原因や冷え性のタイプについても解説

関連記事:冷え性の漢方薬の選び方は?タイプ別のおすすめ漢方薬・養生法を解説

塩分を多く含む食品を摂りすぎない

塩分に含まれるナトリウムには水分を引き寄せる性質があるため、塩分を多く含む食材を摂りすぎることはむくみの原因になります。日本人の食事摂取基準(2020年版)では、食塩の目標量(食塩相当量)として、成人1人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満と設定されています。自炊する場合はなるべく薄味を心掛け、出汁を利用したり、お酢やレモン汁、カレー粉などの香辛料で風味付けしたりすることにより減塩効果があります。

漢方薬で体質改善をする

むくみやすい体質の人は、適切な漢方薬を服用することで冷え性を改善したり、水分代謝を促進したりすることができ、むくみの解消に役立つ場合があります。むくみやすい体質には、水滞(水毒)や腎虚などのタイプがあります。

自分の体質を知りたい方は、LINE登録後に簡単にできる体質チェックをお試しください。薬剤師とのカウンセリングもLINEで行え、漢方薬の提案も受けられます。

体質チェック

むくみの解消に用いられる漢方薬については、こちら▼の記事で詳しく解説しています。

むくみや冷えの解消に漢方が効果的?おすすめケアや選び方とは

足のむくみの原因とは

足裏をマッサージする女性

足がむくむ原因にはさまざまな理由があります。ここでは、足のむくみの原因を詳しく解説いたします。

運動不足による血流の悪化

むくみの原因は、長時間同じ姿勢でいることにより筋肉を動かさないことで筋ポンプ作用が働かずに血液が心臓に戻る量が減ることが主な原因です。[7] そのため、足の筋肉を定期的に動かし、下半身に溜まった血液を戻してあげることが必要です。
日常的に運動不足であったり、長時間同じ姿勢でいることが多いと血流が悪化し下半身に血液や水分が溜まりやすくなります。

漢方医学の「腎」が弱ることによるむくみ

漢方医学では「五臓」という概念があり、その中でも「腎」は全身の水分代謝を行う場所とされています。また、腎は下腹部から下の下半身を担当する領域とされるため、腎が弱まると下半身に水が溜まり、むくみやすくなります。溜まった水が冷えると冷たくなるため下半身の冷えにもつながり、むくみがさらに悪化するという悪循環を招く可能性もあります。

○腎に負担をかけないために心掛けたいこと

・体を冷やさないようにし、太陽の光を浴びましょう。

・体を冷やす食べ物を控え、体を温める作用のある食べ物を摂りましょう。

・足腰を鍛えると腎の機能も高まるので、散歩する、階段を使うなど意識して動かしましょう。

・乾燥しがちな冬は特に、しっかりと水分を補給しましょう。

・トイレを我慢しないようにしましょう。

・疲労を溜め込まないように、睡眠をしっかり摂りましょう。

「腎」が弱っている体質を「腎虚(じんきょ)」といいますが、漢方薬の中には弱った腎を補うものもあります。まずは体質チェックをして自分の体質を知ることから始めましょう。LINE登録後に体質チェック、薬剤師との相談ができます。

体質チェック

ストレスや疲労による血行不良

ストレスや疲労が溜まると、自律神経のバランスが乱れて血行不良が引き起こされることがあります。また、長時間立ちっぱなしの場合、筋肉の緊張が伴い筋ポンプ作用が阻害され、むくみが起こりやすくなります。そのため、ストレスを溜めないように気分転換の時間を設けたり、疲労を解消したり、長時間同じ姿勢が続く時には足を動かすストレッチを行ったり少し歩いたりすると良いでしょう。疲労を回復し、血行を促進するためには湯船に浸かることも効果的です。

妊婦の足のむくみ解消法は?

妊婦さん

妊娠中には、ホルモンバランスの変化とお腹が大きくなることによる血管の圧迫により特に足や手の指のむくみが起こりやすくなります。

解消法としては、

寝る時に足を高く上げて寝る

・体を冷やさないように湯船に浸かってふくらはぎを優しくマッサージする

・むくみの解消に役立つ「三陰交」のツボを温めるためにレッグウォーマーを着用する

・塩分を控え、カリウム豊富な野菜や果物を摂る

ウォーキングをする

などが挙げられます。妊娠中は、ウォーキングやマッサージなどはやりすぎることなく無理をしないように心掛けましょう。
ただし、妊娠中にむくみが強くなったり、ひどくなったりする場合は、妊娠高血圧症候群などの可能性もあるため医師に相談することが重要です。

慢性的なむくみは病気が原因のことも

医師

寝て起きても翌日に解消しない、長期間続くむくみがある場合は、病気が原因で起こっていることもあります。具体的には、

・心不全

・肝硬変

・糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、腎不全

・甲状腺機能低下症  

などが考えられます。病気が原因でむくみが起こっている場合は、その治療が先決で利尿薬などを使用した西洋医学的治療によってむくみを取ることもあります。
その他にも「リンパ浮腫」といって、がんの手術などにより二次的に起こるものがあります。長時間続くむくみがある場合は、医療機関を受診するようにしましょう。

【参考文献】

[1]リンパ管疾患情報ステーション リンパ管とは?
[2]山崎善弥、佐藤佳代子著 爽やかな明日へ リンパ浮腫のセルフケアと波動系空気圧式マッサージ器の使い方
[3]厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年度版)策定検討会報告書 各論 ミネラル(多量ミネラル)
[4]文部科学省 食品成分データベース 日本食品標準成分表2020年度版(八訂)[5]ディアケア 弾性ストッキングが必要な症例とは?
[6]メディキュットHP Q&A
[7]齋藤誠二,村木里志 長時間歩行および立位姿勢中の下肢のむくみに起因する不快感に関する研究,バイオメカニズム学会誌,Vol. 40,No.2(2016)