「治療をしても生理前になるとまたニキビが悪化する」「ニキビ治療薬の副作用で治療を続けられない」
そんな、なかなか改善しないニキビや肌荒れに悩まれている方は多いです。
特に成人以降のニキビは、過剰な皮脂分泌以外にも、ホルモンバランスの乱れや偏った食生活など、さまざまな要因が絡み合っているため、漢方を取り入れた体質改善が有効な治療の選択肢の一つとなります。
ニキビに効果の期待できる主な漢方薬として、以下のようなものがあげられます。
・荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう):幅広いニキビに
・清上防風湯(せいじょうぼうふうとう):赤ニキビ・黄ニキビに
・十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう):赤ニキビ・黄ニキビに
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう):イライラで悪化するニキビに
・温清飲(うんせいいん):乾燥や生理周期で悪化するニキビに
・桂枝茯苓丸料加薏苡仁(けいしぶくりょうがんりょうかよくいにん):大人ニキビに
漢方薬はニキビの症状や体質に合わせて選ぶことが大切です。
この記事では、ニキビや肌荒れに対する漢方の考え方や正しい漢方薬の選び方、服用の注意点などについて薬剤師が詳しく解説します。
Contents
ニキビと漢方の治療とは
ニキビは 医学用語で尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう) といい、慢性炎症性の皮膚疾患の一つです。[1]
多くは思春期に発症し、成人以降は徐々に減少しますが、女性ではしばしば中年を過ぎるまで続くこともあります。
一般的なニキビへの対処法とは
ニキビの治療には多くの場合、アクネ菌を殺菌したり増殖を抑えたりする作用のある抗生物質(抗菌薬)の飲み薬・塗り薬を使用します。
また、皮膚科で処方される塗り薬の中には、コメド(面皰)の段階から治療ができるコメド治療薬もあります。
しかし、抗生物質の場合は下痢などの副作用や薬剤耐性の懸念、コメド治療薬の場合は皮膚の刺激感などの副作用の点から、治療が続けられない方も中にはいらっしゃいます。さらに、薬をやめるとまたニキビが再発してしまう方もいます。
ニキビの治療薬について詳しく知りたい方はこちら▼の記事をお読みください。
繰り返すニキビに、漢方での体質改善とは
上記のように西洋薬での治療が困難な場合、漢方薬が有効な治療法の一つになることがあります。
西洋薬の場合はニキビの患部に対して治療を行いますが、漢方治療では患部に直接作用するのではなく「ニキビができやすい」という根本的な体質を改善してニキビを治していくのが特徴です。
西洋薬に比べて治療効果を感じられるまで時間がかかりますが、からだの内側から状態を整えることで、繰り返すニキビにも効果が期待できます。
ニキビができるメカニズム
そもそも、ニキビはなぜできしまうのでしょうか?
通常、私たちの皮膚は、皮脂が皮膚の表面に薄い膜状に広がって、水分蒸発を防いだり、バリアとなって外部の刺激から肌を守ったりしています。
しかし、この皮脂が過剰に分泌されてしまうと、皮脂や汚れで毛穴が詰まり、アクネ菌が毛穴の内側で繁殖してしまいます。アクネ菌はもともと皮膚に存在する常在菌ですが、毛穴が詰まって酸素の触れない環境ができると、急激に増殖し、炎症や膿を発生させニキビができる原因となってしまうのです。
また、肌のターンオーバーが乱れることでもニキビができやすくなる原因になります。私たちの肌はおよそ28日周期で新しい細胞へと生まれ変わっています。この周期をターンオーバーと呼び、古い角質は垢となって剥がれ落ちます。
しかし、ホルモンバランスの乱れやストレス、不規則な生活習慣、肌の乾燥などが原因となってターンオーバーの周期が乱れると、肌表面の角質が剥がれ落ちずに溜まってしまい、毛穴が詰まる原因となるのです。
「思春期ニキビ」と「大人ニキビ」とは
ニキビは発症する年齢によって、主な原因や好発部位が異なることから、10代で発症するニキビを「思春期ニキビ」、20代後半以降にできるニキビを「大人ニキビ」と分けて呼ばれることがあります。
ニキビの 種類 |
年齢 | 原因 | 好発部位 |
---|---|---|---|
思春期 ニキビ |
10代 | ・過剰な皮脂分泌 | Tゾーン ・額 ・眉 ・鼻 |
大人 ニキビ |
20代後半 | ・不規則な 生活習慣 ・食生活の偏り ・ホルモンバランスの乱れ ・ストレス ・肌の乾燥 |
Uゾーン ・頬 ・口元 ・顎 ・フェイスライン |
思春期ニキビ
成長期には男女ともに男性ホルモンの分泌が高まり、皮脂分泌が活性化されます。ニキビができやすい部位もTゾーンと呼ばれる鼻や眉、額など皮脂の分泌量が多い部分です。
大人ニキビ
大人ニキビができる要因は、思春期ニキビよりも複雑です。加齢にくわえ、不規則な生活習慣やストレス、肌の乾燥などにより、ターンオーバーの乱れることで毛穴が詰まりニキビができやすくなります。そのため、大人ニキビは、Uゾーンと呼ばれる頬や顎(あご)、口元、首などにもできやすいです。
漢方薬の中には、自律神経やホルモンバランスの乱れを整えてくれる働きのある処方もあります。複数の原因が絡み合って発症しているニキビの治療には、漢方は特に効果的です。
ニキビの原因や、ニキビのできた場所別の対策についてもさらに詳しく知りたい場合は、こちら▼の記事もおすすめです。
ニキビの種類や段階とは
ニキビはその種類や段階によっても適切な治療法や漢方薬の選択が異なります。
たとえばニキビの初期段階では、まだ肌の炎症は起こっておらず、この段階で早期に治療ができれば悪化やニキビ跡を防ぐことができます。
初期段階のニキビには、白ニキビや黒ニキビがあり、医療用語では「コメド」または「面皰(めんぽう)」と呼ばれることもあります。
白ニキビ(閉鎖面皰:へいさめんぽう)
毛穴の内側に過剰な皮脂や汚れが溜まり、毛穴の出口をふさいでしまっている状態です。表面は薄い皮膜で覆われ白っぽく見えます。
黒ニキビ(開放面皰:かいほうめんぽう)
白ニキビから進行して毛穴の内側で溜まった皮脂・汚れが毛穴を押し広げ、毛穴が開いて皮脂が酸化され、ニキビが黒ずんで見える状態です。
炎症の起こっていない白ニキビ・黒ニキビの状態から進行し、毛穴内でアクネ菌が大量に増殖した結果、肌に炎症が起こっています。ニキビが熱を帯びたり痛みを感じたりする場合もあります。
赤ニキビ (紅色丘疹:こうしょくきゅうしん)
黒ニキビの状態から悪化してアクネ菌が毛穴の内側で増殖し、炎症を起こしてニキビの患部が赤みを帯びている状態です。
黄ニキビ (膿疱:のうほう)
赤ニキビの状態からさらに炎症が広がり、膿ができて黄色く見える状態です。
尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023では、白ニキビ・黒ニキビには荊芥連翹湯、赤ニキビ・黄ニキビには荊芥連翹湯、清上防風湯、十味敗毒湯が推奨されています。
漢方で見る「ニキビ」の状態とは
ニキビは「気」や「血」の巡りの不調で起こる?
漢方医学では、私たちのからだは「気・血・水」の3つの要素がバランス良く巡ることで健康を維持できると考えられています。「気」は心や体を動かす生命エネルギー、「血」は血液および血液の中に含まれる栄養、「水」はリンパ液や汗、涙、だ液などの血液以外の体液のことを指します。
漢方では、「皮膚は内臓の鏡」と言われています。
漢方の観点から「ニキビ」の状態をとらえると、からだの内側に溜まった「気」が“熱”となった結果、皮膚に炎症を起こしている状態です。そのため、こもっている熱を取り除き、さらに余分な熱が発生しないように漢方生薬でからだのバランスを整えていきます。
また、「気」「血」の巡りが悪くなることで肌表面に老廃物がたまりやすくなることもニキビの原因となります。
このように漢方の効果を正しく引き出すためには、ご自身の体質やニキビの状態に合った漢方薬の選択が大切です。
ご自身に合った漢方薬の選び方について不安な場合は、YOJOの薬剤師にご相談ください。
ニキビ治療に使用される漢方薬とは?
では、ニキビの治療に使用される漢方薬には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは6種類の漢方薬についてご紹介します。
【幅広いニキビに】荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
からだに余分な「水」がたまると、「気」や「血」の流れにまで影響をおよぼします。するとたまった「気」が熱となり、顔に余分な熱がこもって水分を奪います。そのため、粘っこい鼻水が出たり、ニキビや吹き出物ができたりします。
荊芥連翹湯には、 余分な熱を冷やす作用があり、肌や粘膜の炎症を抑えて、鼻の通りを良くします。in vitro実験では抗生物質と同等の抗菌作用があるという報告もあり、炎症の強いニキビへの有効性も期待できます。[1]
荊芥連翹湯は、熱を冷ます作用の強い「黄連解毒湯」と、血液を補い血の巡りを良くする「四物湯」を主軸に作られた漢方薬です。最新のざ瘡治療ガイドラインでは、他の治療が無効もしくは治療ができない状況の場合、選択肢の一つとして、荊芥連翹湯を面皰や炎症性ニキビの治療に推奨することを示しています。[2]
服用がおすすめな人
体力は中等度以上で、炎症を起こしやすく慢性化しやすい人に向きます。皮膚の色は浅黒く、手足の裏に脂汗をかきやすい人、筋肉質で痩せている人におすすめの漢方薬です。
服用に注意が必要な人
胃腸が弱く、下痢しやすい人
炎症を起こした体液を外へと排出する作用が強いため、下痢や吐き気などを感じやすい人は注意が必要です。
冷え性の人
解熱に伴って、からだを冷やす作用があります。
服用上の注意
複数の漢方を服用する場合は注意しましょう
「甘草」が含まれており、複数の漢方を服用している場合は重複して副作用が起こりやすくなります。
間質性肺炎の副作用に注意しましょう
発熱、咳、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)などの症状があれば間質性肺炎の疑いがあります。服用を中止し速やかに受診しましょう。
長期服用に注意しましょう
「山梔子」が含まれており、長期服用(多くは5年以上)で大腸粘膜に異常が生じる例が報告されています。
【赤ニキビ・黄ニキビに】清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
清上防風湯には、 顔にうっ滞した熱を冷まして炎症を抑えるとともに、膿を排出する作用があります。
臨床では10~20代のホルモンバランスによる皮脂分泌の増加が関与するニキビで、顔面紅潮が強い方によく選択される処方です。最新のざ瘡治療ガイドラインでは、他の治療が無効もしくは治療ができない状況の場合、選択肢の一つとして、清上防風湯を炎症性ニキビの治療に推奨することを示しています。[2]
主薬の「防風・薄荷」に熱を発散させる作用があります。消炎や抗菌作用をもつ「黄芩(おうごん)・山梔子(さんしし)」などの生薬を含むほか、排膿作用のある「桔梗(ききょう)・白芷(びゃくし)」といった生薬も含まれています。
比較的早い段階で効果が認められやすい漢方薬です。[3]
服用がおすすめな人
体力は中等度以上の元気な人で、熱がこもって赤ら顔、のぼせがある人に向きます。脂性肌の方の顔面にできた化膿性ニキビにおすすめの漢方薬です。
服用に注意が必要な人
虚証タイプで胃腸が弱く下痢しやすい人
炎症を起こした体液を外へと排出する作用が強いため、下痢や吐き気などの症状が悪化する場合があります。
冷え性の人
解熱作用に伴って、からだを冷やす作用があります。
服用上の注意
複数の漢方を服用する場合は注意しましょう
「甘草」が含まれており、複数の漢方を服用している場合は重複して副作用が起こりやすくなります。
長期服用に注意しましょう
「山梔子」が含まれており、長期服用(多くは5年以上)で大腸粘膜に異常が生じる例が報告されています。
【赤ニキビ・黄ニキビに】十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
十味敗毒湯には、 皮膚の赤みやかゆみを発散して、腫れや化膿を抑える作用があります。湿潤した患部にある余分な「水」や熱を排出し、肌を正常な状態へと導きます。
臨床では、比較的軽度な炎症・化膿傾向をもつニキビや、生理周期に連動しないニキビに用いられます。[1]
最新のざ瘡治療ガイドラインでは、他の治療が無効もしくは治療ができない状況の場合、選択肢の一つとして、十味敗毒湯を炎症性ニキビの治療に推奨することを示しています。[2]
主薬の「防風・荊芥・独活(どくかつ)」が炎症の原因となった毒素と共に湿熱を放出します。そのほか消炎作用をもつ「柴胡(さいこ)」、排膿作用のある「桔梗(ききょう)」、血行を促す「川芎(せんきゅう)」など10種類の生薬から構成されています。
服用がおすすめな人
体力は中等度くらいの人で、化膿しやすい体質の人に向きます。膿が出るような皮膚症状におすすめの漢方薬です。
服用に注意が必要な人
胃腸が弱く下痢しやすい人
体力が落ちて弱っている人
服用上の注意
複数の漢方を服用する場合は注意しましょう
「甘草」が含まれており、複数の漢方を服用している場合は重複して副作用が起こりやすくなります。
【イライラで悪化するニキビに】黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
黄連解毒湯には、 からだを冷やして余分な熱を取り、炎症を鎮める作用があります。
「黄連(おうれん)・黄柏(おうばく)・黄芩(おうごん)・山梔子(さんしし)」の4種類の生薬から構成されており、すべての生薬に消炎・解熱作用をもちます。
臨床では、顔がのぼせてほてりがあり、イライラして落ち着かないタイプの胃腸や循環器、皮膚疾患、神経症に用いられています。
服用がおすすめな人
体力は中等度以上で、のぼせやほてり、時に鼻血などの出血傾向がある人に向きます。イライラで悪化するようなニキビや皮膚のかゆみにおすすめの漢方薬です。
服用に注意が必要な人
冷えや疲労感のある人
虚弱体質の人
服用上の注意
重大な副作用として、間質性肺炎や肝機能障害に注意しましょう
間質性肺炎の症状(たとえば発熱、咳、呼吸困難など)や、肝機能障害の症状(たとえば発熱、全身倦怠感、嘔気嘔吐、黄疸など)があらわれた場合は、服用を中止しすみやかに受診するようにしましょう。
長期服用に注意しましょう
「山梔子」が含まれており、長期服用(多くは5年以上)で大腸粘膜に異常が生じる例が報告されています。
【乾燥や生理周期で悪化するニキビに】温清飲(うんせいいん)
温清飲は、「四物湯」と「黄連解毒湯」の合剤です。そのため、血行を改善してからだの内側を温める作用(四物湯)と、こもった熱を放出してからだの外側を冷ます作用(黄連解毒湯)の両方の働きがあります。
配合生薬の「当帰(とうき)・地黄(じおう)・川芎」にホルモンバランスを整えていく作用があるため、どちらかというと女性向けの処方です。[1][3]
血行が悪くて水分不足になった結果、熱がこもって生じた炎症に効果的です。温清飲は乾燥やホルモンバランスの乱れからくるニキビに対して処方されることが多く、血行を改善して肌に潤いを与え、炎症を鎮めます。
服用がおすすめな人
体力は中等度で、皮膚の色つやが悪く、のぼせやすい人に向きます。肌のターンオーバーが乱れたて乾燥した肌のニキビにおすすめの漢方薬です。
服用に注意が必要な人
胃腸が弱く下痢しやすい人
食欲不振や吐き気、嘔吐や下痢などの症状を起こすことがあります。
服用上の注意
間質性肺炎の副作用に注意しましょう
発熱、咳、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)などの症状があれば間質性肺炎の疑いがあります。服用を中止し速やかに受診しましょう。
長期服用に注意しましょう
「山梔子」が含まれており、長期服用(多くは5年以上)で大腸粘膜に異常が生じる例が報告されています。
【大人ニキビに】桂枝茯苓丸料加薏苡仁(けいしぶくりょうがんりょうかよくいにん)
桂枝茯苓丸料加薏苡仁は、「桂枝茯苓丸」に薏苡仁(ヨクイニン)つまりハトムギを加えた処方です。
桂枝茯苓丸には、血の巡りを整えて全身に栄養を行き渡らせる作用があります。これにヨクイニンを加えることで、皮膚表面にまでさらに栄養が行き渡るようになります。桂枝茯苓丸と同様に、血行不良からくるホルモンバランスの乱れやシミ、冷えなどの不調を改善します。
配合生薬の「桂皮(けいひ)」がからだを温め、さらに「桃仁(とうにん)・牡丹皮(ぼたんぴ)」といった生薬が血の巡りを改善し、ホルモンバランスを整えます。「茯苓(ぶくりょう)」が肌表面の新陳代謝を促し、「薏苡仁(よくいにん)」が皮膚への効果を高めます。
服用がおすすめな人
比較的体力がある人に向きます。生理不順・生理周期に伴うニキビや、肌の乾燥、ストレスなどからくる大人ニキビ、シミにおすすめの漢方薬です。
服用に注意が必要な人
虚証タイプの人
胃腸が弱い人、疲れやすい人からだの抵抗力が弱っている人は効果が強くでて合わない場合があります。
服用上の注意
妊娠中の人は服用を避けましょう
「桃仁・牡丹皮」が血行を強く促進するため、妊娠中に服用すると流早産のリスクが高まります。
市販で購入できるニキビにおすすめの漢方薬とは
ここでは、手軽に漢方薬を試してみたいという方向けに、薬局やドラッグストアなどで購入できる漢方薬をご紹介します。
ツムラ漢方50 荊芥連翹湯エキス顆粒
白ニキビ・黒ニキビから、炎症が強い赤ニキビ・黄ニキビにも
荊芥連翹湯エキスを有効成分とした商品です。鼻や皮膚が化膿しやすい方に適した漢方薬です。
分類 | 第2類医薬品 |
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適応する人 | 体力中等度以上で、皮膚の色が浅黒く、ときに手足の裏に脂汗をかきやすく腹壁が緊張している人 |
形状 | 顆粒剤 |
用法・用量 | 1日2回食前又は食間に水又はお湯にて服用してください。 成人(15歳以上):1回1包 7歳以上15歳未満:1回2/3包 4歳以上7歳未満:1回1/2包 2歳以上4歳未満:1回1/3包 |
服用対象年齢 | 2歳以上(2歳未満は服用しないこと) |
効能効果 | 蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび |
内容量 | 20包 |
ツムラ漢方58 清上防風湯エキス顆粒
炎症や赤みにあるニキビに
清上防風湯エキスを有効成分とした商品です。炎症の起こったニキビ、湿疹、皮膚炎に適した漢方薬です。
分類 | 第2類医薬品 |
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適応する人 | 体力中等度以上で、赤ら顔でときにのぼせがある人 |
形状 | 顆粒剤 |
用法・用量 | 1日2回食前又は食間に水又はお湯にて服用してください。 成人(15歳以上):1回1包 7歳以上15歳未満:1回2/3包 4歳以上7歳未満:1回1/2包 2歳以上4歳未満:1回1/3包 |
服用対象年齢 | 2歳以上(2歳未満は服用しないこと) |
効能効果 | にきび、顔面・頭部の湿疹・皮膚炎、あかはな(酒さ) |
内容量 | 20包 |
十味敗毒湯エキス錠クラシエ
できたばかりの膿のあるニキビに
十味敗毒湯エキスを有効成分とした商品です。炎症や赤み、化膿したニキビ、皮膚炎、じんましんなどに適した漢方薬です。
分類 | 第2類医薬品 |
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適応する人 | 体力中等度なものの皮膚疾患で、発赤があり、ときに化膿する人 |
形状 | 錠剤 |
用法・用量 | 1日3回食前又は食間に水又はお湯にて服用してください。 成人(15歳以上):1回4錠 7歳以上15歳未満:1回3錠 5歳以上7歳未満:1回2錠 |
服用対象年齢 | 5歳以上(5歳未満は服用しないこと) |
効能効果 | 化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、じんましん、湿疹・皮膚炎、水虫 |
内容量 | 180錠 |
JPS黄連解毒湯エキス錠
イライラで悪化するニキビや肌のかゆみに
黄連解毒湯エキスを有効成分とした商品です。赤みのあるニキビや皮膚炎に適した漢方薬です。
分類 | 第2類医薬品 |
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適応する人 | 体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらして落ち着かない傾向のある人 |
形状 | 錠剤 |
用法・用量 | 1日3回食前又は食間に水又はお湯にて服用してください。 成人(15歳以上):1回3錠 7歳以上15歳未満:1回2錠 5歳以上7歳未満:1回1錠 |
服用対象年齢 | 5歳以上(5歳未満は服用しないこと) |
効能効果 | 鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔、血の道症、めまい、動悸、 更年期障害、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎 |
内容量 | 200錠 |
ツムラ漢方57 温清飲エキス顆粒
乾燥やホルモンバランスの乱れが原因のニキビに
温清飲エキスを有効成分とした商品です。肌が乾燥しかゆみのある方に適した漢方薬です。
分類 | 第2類医薬品 |
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適応する人 | 体力中等度で、皮膚はかさかさして色つやが悪く、のぼせる人 |
形状 | 顆粒剤 |
用法・用量 | 1日2回食前又は食間に水又はお湯にて服用してください。 成人(15歳以上):1回1包 7歳以上15歳未満:1回2/3包 4歳以上7歳未満:1回1/2包 2歳以上4歳未満:1回1/3包 |
服用対象年齢 | 2歳以上(2歳未満は服用しないこと) |
効能効果 | 月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症、湿疹・皮膚炎 |
内容量 | 20包 |
「クラシエ」漢方桂枝茯苓丸料加薏苡仁エキス錠
生理周期で悪化するニキビや大人ニキビに
桂枝茯苓丸加料薏苡仁エキスを有効成分とした商品です。ニキビやシミをからだの内側から治したい方に適した漢方薬です。
分類 | 第2類医薬品 |
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適応する人 | 比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴える人 |
形状 | 錠剤 |
用法・用量 | 1日2回食前又は食間に水又はお湯にて服用してください。 成人(15歳以上):1回4錠 7歳以上15歳未満:1回3錠 5歳以上7歳未満:1回2錠 |
服用対象年齢 | 5歳以上(5歳未満は服用しないこと) |
効能効果 | にきび、シミ、手足のあれ(手足の湿疹・皮膚炎)、月経不順、血の道症 |
内容量 | 48錠 |
市販の漢方薬と皮膚科を受診して処方される漢方薬の違い
「処方薬」は医師の診断のもとで処方される医薬品であり、保険適用で1~3割負担で購入できます。ただし、ざ瘡に対して保険適用を有しているのは荊芥連翹湯と清上防風湯のみです。[2]
漢方薬に配合されている生薬の成分については、一般的に「処方薬」と「市販薬」とで大きな違いはなく、期待できる効果は同じです。
ただし、一般に市販薬は不特定多数の人が服用しても問題がないように、処方薬よりも配合量が抑えられているものも多いです。
とりあえず漢方薬を試してみたい方や、早く服用したい方はまずは手軽に取り入れられる市販の漢方薬が良いでしょう。
漢方薬で注意すべき副作用とは
漢方薬も薬であるため、服用した際に重大な副作用が起こることもあります。
特に以下のような副作用には注意が必要です。
・肝機能障害
無症状のまま血液検査で判明することが多いですが、発熱、全身の倦怠感、吐き気・嘔吐、黄疸などが出ることもあります。悪化すると肝炎を引き起こし命に関わります。 黄芩を含む生薬で多く報告されていますが、 甘草、柴胡、半夏、沢瀉、人参、生姜 などでも注意が必要です。[4]
(例)荊芥連翹湯、清上防風湯、黄連解毒湯、温清飲など
・偽アルドステロン症
偽アルドステロン症は、甘草を多量に長期服用することで起こります。 手足のだるさやしびれ、こわばりの他、高血圧、動悸、吐き気・嘔吐などの症状が出ます。
(例)荊芥連翹湯、清上防風湯、十味敗毒湯
・薬剤性肺炎、間質性肺炎
息切れや咳、呼吸困難、発熱といった症状が起こります。
諸説ありますが、黄芩を含有する漢方で症状が出る傾向にあると考えられています。
(例)荊芥連翹湯、温清飲
・腸間膜静脈硬化症
腹痛、下痢、便秘、悪心・嘔吐といった症状が起こり、中には無症状(便潜血陽性を含む)の場合もあります。
多くは山梔子を含む漢方薬を長期間服用(多くは5年以上)することで起こります。[5]
(例)荊芥連翹湯、 清上防風湯、黄連解毒湯、温清飲
漢方薬の服用以外でできるニキビ対策とは
最後に、ニキビを予防したり悪化したりするのを防ぐために、日頃から行っておくと良いおすすめの対策についてお伝えします。
肌に良い栄養素や食品を取り入れる
肌の細胞を作る材料となるタンパク質や、肌の新陳代謝を促したり皮脂分泌を調整したりするビタミンB2・ビタミンB6、肌の血行を促して肌荒れの改善をサポートするビタミンEなどは日頃の食事から積極的に取ると良いでしょう。
・タンパク質…肉や魚、大豆製品、乳製品、卵
・ビタミンB2…肉や魚、海苔、卵、キノコ類
・ビタミンB6…米・麦類、にんにく、バナナ、こんにゃく
・ビタミンE…ナッツ類、ひまわり油、魚
また、大人ニキビには、皮膚や粘膜の細胞の成長・分化に関与するビタミンA、ストレスによる肌のバリア機能の低下を防ぐビタミンCもおすすめです。
・ビタミンA…ホウレンソウ、海苔、鶏レバー、ウナギ
・ビタミンC…ブロッコリー、芽キャベツ、アセロラ、レモン
一方で、甘いものや脂っこい食べ物はニキビを増やす原因となるため避けます。また、カフェインには利尿作用があることから、ビタミンB群・ビタミンCなどのニキビケアに重要な水溶性ビタミンを体外へ排出してしまいます。取り過ぎには注意しましょう。
質の良い睡眠をとる
良質な睡眠を取ることは、「成長ホルモン」の分泌を促進し、肌のターンオーバーの活性化につながります。
成長ホルモンは、22時~深夜2時をピークに分泌されます。この時間帯に良質な睡眠を取ることが非常に大切です。
また、全体の睡眠時間も、6~8時間程度の朝すっきりと目覚められる長さは確保しましょう。寝不足になると交感神経が優位に働きます。女性の場合、交感神経が働き緊張状態になると、男性ホルモンの分泌が促進して皮脂量が増加し、ニキビや肌荒れをまねく原因となります。
紫外線対策をする
ニキビの主な原因であるアクネ菌は、「ポルフィリン」という物質を産生します。このポルフィリンに紫外線が当たると、大量の活性酸素を発生し、過酸化脂質の量が増えて肌に炎症を起こすことが分かっています。
また、紫外線を長時間浴びることで、肌のバリア機能が低下します。今あるニキビを悪化させるだけでなく、ターンオーバーが乱れて新たなニキビができやすくなってしまいます。紫外線対策は一年を通して、屋内・屋外に関わらず行うようにしましょう。
正しい洗顔・スキンケアで肌を清潔に保つ
洗顔を頻回にしてしまうと肌への刺激となり、ニキビの悪化や肌の乾燥につながります。
洗顔は1日2回、洗顔料をよく泡立てて、泡で顔を包み込むようなイメージで優しく洗いましょう。すすぎで使用する水の温度は30℃以下のぬるま湯が良いです。
洗顔後はできれば10分以内を目安に、化粧水やクリームをつけて肌をしっかりと保湿することも大切です。
ノンコメドジェニック化粧品を使用する
ノンコメドジェニック化粧品とは、油分を抑えた処方で開発され、ニキビができにくいことが確認されている製品です。使用するスキンケア化粧品がニキビの原因とならないように、ノンコメドジェニックテスト済みの化粧品を選択するのも良いでしょう。
ニキビや漢方薬に関してよくある質問
漢方薬の効果が出るまでどれくらいかかるの?
漢方薬を服用してから効果を実感するまでの期間は、漢方薬の種類や症状の程度、生活習慣などによって個人差が出てきます。
一般的には、効果を実感するまでには少なくとも1か月以上の継続は必要です。さらに3か月~半年ほど飲み続けることで、体質が改善され、症状が安定するようになります。
逆に1か月以上継続してもニキビが治らない場合は服用を中止し、皮膚科を受診して相談するようにしましょう。
漢方薬が飲みにくい場合はどうすればいい?
黄連解毒湯や清上防風湯などは苦みの強い漢方薬で、飲みにくいという声も多く聞かれます。漢方薬を飲みやすくするためには以下のような工夫をすると良いでしょう。[6]
~飲み方の工夫~
(1)あらかじめ水または白湯を口に含んで服用する
漢方薬を口に入れる前に、まず、水または白湯を口に含みます。その水の上に漢方薬を落とすような形で、水と漢方薬を一緒に飲みます。
(2)オブラートを利用する
漢方薬をオブラートに包んだ後、少量の水が入ったコップに入れて溶かします。数分後オブラートが徐々に溶け始めるのが見え始めたくらいで水と一緒に飲み込むと、ツルっとのどを通ります。
他にも、漢方薬を上手に飲むコツについて知りたい方はこちら▼の記事もお読みください。
抗生物質との併用やサプリとの飲み合わせは問題ない?
ニキビで使用する漢方薬と、抗生物質・サプリとの併用は問題ない場合が多いです。しかし、服用中の治療薬やサプリメント・健康食品がある場合は、自己判断で併用することは避け、一度かかりつけ医や薬剤師に相談するようにしましょう。
YOJOでは、体質に合った漢方薬のご提案だけでなく、食事や生活習慣を改善するアドバイス、漢方薬に関する質問も受けられます。
ニキビの治療に悩んでいる方は体質チェックからYOJO薬剤師にご相談ください。
【参考文献】
[1]具志明代ら (2016) 標準的皮膚科治療に抵抗性のざ瘡に対する漢方治療の有効性の検討,日本東洋医学雑誌 67(2), 123-130.
[2]日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023
[3]高山宏世(2021),腹証図解 漢方上用処方解説 改訂版,東洋学術出版社
[4]五野由佳理ら(2010)漢方薬による薬物性肝障害の症例検討. 日東医誌 Kampo Med Vol.61 No.6 828-833
[5]日本漢方生薬製剤協会 漢方薬による腸間膜静脈硬化症
[6]ツムラホームページ