PMS(月経前症候群)に漢方は効く?選び方や生活アドバイスも解説

PMSに悩む女性

月経前症候群(PMS:Premenstrual Syndrome )とは、生理前の3~10日間に発生し生理開始とともに軽快もしくは消失する精神的・身体的症状をいいます。

漢方薬では主に、血の巡りを整えたり不足を補ったりするような処方が、PMSの治療に用いられています。代表的な漢方薬としては、以下のようなものがあります。

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):血行不良による肌荒れやイライラが気になる方に
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):虚弱体質で貧血や冷えが気になる方に
・加味逍遙散(かみしょうようさん):虚弱体質でとくに精神症状が強い方に
・抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ):体力中等度の方の神経の高ぶりや不眠に
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):不安や気持ちの落ち込みがある方に
・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう):めまいやふらつきが気になる方に

この記事では、PMSに効果の期待できる漢方薬やその選び方について、薬剤師が詳しく解説します。漢方薬の服用について不安な方はYOJOの薬剤師にご相談ください。

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Contents

PMS(月経前症候群)と治療とは

日本では生理のある女性のおよそ70~80%が生理前に何らかのPMS症状があるとされています。[1]しかし、PMSがなぜ起こるのか具体的にどのような症状が起こるのか意外と知らない方も多いです。

まずはPMSの原因や症状、治療法についてご説明いたします。

生理周期とPMSが起こるメカニズム

カレンダーと時計

PMSの原因はまだ完全には解明されていませんが、主な原因として女性ホルモンの周期が関係しているとされています。
女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。

エストロゲン
(卵胞ホルモン)
プロゲステロン
(黄体ホルモン)
・子宮内膜を厚くして、妊娠に備える
・女性らしいカラダをつくる
・自律神経の働きを安定させる
・肌に潤いとハリを与える
・血管、骨、関節、脳を健康に保つ
・子宮内膜を柔らかく維持し妊娠しやすくする
・水分や栄養素をため込み、妊娠を維持しやすくする
・食欲を増加させる
・体温を上げる働きがある

女性ホルモンと基礎体温の変化

女性ホルモンの周期を説明する図

排卵から次の生理までの期間(黄体期)にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は一度分泌量が上がり、のちに後半にかけて急激に低下します。このような変動の影響を受けると、脳内のホルモンや神経伝達物質に異常をきたし、自律神経が乱れて心身の不調や食欲の増進などにつながります。
「生理前になるとイライラする」「無性に甘いものが食べたくなる」「胸が張って痛くなる」といった症状はこのような理由から起こっていると考えられるのです。

PMSで起こる身体的・精神的な症状

お腹をおさえて辛そうな女性

PMSでは以下のような身体症状や精神症状が起こりやすくなるとされています。

身体的な症状 頭痛、肩こり、腰痛、乳房の張りや痛み、むくみ、体重増加、腹痛、胃痛、お腹の張り、吐き気、便秘、下痢、肌荒れ、ニキビ、発熱、だるさ 、貧血、めまい
精神的な症状 イライラ、抑うつ感、不安感、緊張感、眠気、集中力や意欲の低下 、不眠、過食

YOJOでは20~40代の女性30名に、PMSでどのような症状に悩まれているかのアンケートを実施しました。(YOJO調べ:実施期間2022年9月~2023年5月)

PMS(月経前症候群)でどのような症状に悩まれているかを
YOJOの患者さま30名にアンケート調査!

YOJOのアンケート調査では、PMSの中でも特に「気分が不安定になりやすい」とのお悩みが多く聞かれました。

PMDD( 月経前不快気分障害 )とは?

PMS(月経前症候群)のうち精神症状(抑うつ、イライラ、不安感など)が特に強く、私生活や社会生活に支障をきたすような状態を「PMDD(月経前不快気分障害)」と呼びます。

PMSの治療法

薬を飲む女性

PMSの治療では、まずは生活習慣の見直しを行うように指導を受けます。しかし、それでも症状が改善しない場合は、以下のようなお薬を用いて治療することが必要です。

排卵を抑制する治療薬:低用量ピル

PMSは、排卵が起こり女性ホルモンに大きな変動があることが主な原因です。
そのため、排卵を止めて女性ホルモンの変動をなくす作用のある低用量ピルを使用します。

不快な症状を止める治療薬:漢方薬、鎮痛剤、利尿剤、精神安定剤など

痛みに対しては痛み止め、むくみに対しては利尿剤、精神症状や自律神経症状に対しては精神安定剤抗うつ薬、漢方薬などを使用します。

PMS(月経前症候群)に漢方の効果が期待できる理由とは

漢方

ここでは、PMSに対する漢方薬の考え方と効果が期待できる理由についてお伝えします。

漢方の気・血・水でみるPMSの状態

漢方の気血水

PMSは患者さんによって症状や強さが異なり、西洋医学の観点からみるとその原因についてまだ完全には解明されていません。

一方、漢方医学では、患者さんのもともとの体質にホルモン変化が重なり、「気」「血」「水」のバランスが崩れることで、さまざまな症状を示すのだと考えられています。

気は生命エネルギー、血は全身に栄養を与える血液、水は血液以外の体液のことです。

女性は生理周期に伴って、子宮内の血液循環が変化するために「血」に異常が生じます。さらに黄体ホルモンが体内に水分を貯め込む作用があることから「水」の巡りが滞ります。そしてストレスなどが加わることにより「気」に異常が伴うことで、3要素全体のバランスが大きく崩れて心身の不調が出てしまうのです。

それぞれの状態に合った適切な漢方薬を選択することで、PMSによるさまざまな症状の緩和が期待できます。

漢方による体質チェックと処方の例

体質診断を受ける女性

PMSの症状が強く出やすい状態は以下のような場合があります。

瘀血(おけつ)

血液の流れが悪く、滞っている状態です。
症状として、手足の冷えや冷えのぼせ、肩こり、下腹部痛・生理痛、シミや肌荒れなどが生じます。
血行不良を悪化させないように、冷たい飲食物の摂取や冷房のつけすぎなど、からだを冷やす行為は避けましょう。

漢方薬の例 桂枝茯苓丸、桃核承気湯、温経湯、女神散など

血虚(けっきょ)

からだの血液が不足している状態です。
症状として、めまい、眠りが浅い、不眠症、抜け毛などが生じます。肌や爪にツヤがなく乾燥しがちです。
バランスの良い食事や良質な睡眠を取るように心がけましょう。

漢方薬の例 当帰芍薬散、加味逍遙散、加味帰脾湯など

水滞(すいたい)

代謝が滞ってからだに余分な水分が溜まっている状態です。
むくみや水太り、倦怠感、頭重、めまい、吐き気、下痢
などの症状が出やすくなります。
水分の取り過ぎや甘いもの・脂っこいものの過剰摂取は避けましょう。

漢方薬の例 当帰芍薬散、苓桂朮甘湯、五苓散など

気滞(きたい)

気の巡りが悪く停滞している状態です。
精神不安定な状態となりイライラや不安感を生じます。また余分な気が胃腸や胸へと溜まることで、のどの詰まり、げっぷ、腹部の張りや食欲不振などにつながります。
軽いストレッチや柑橘系の香りを取り入れて気分をスッキリさせましょう。

漢方薬の例 半夏厚朴湯、抑肝散加陳皮半夏、加味逍遙散など

気虚(ききょ)

気が不足し、からだのエネルギーが消耗している状態です。
やる気が出ない、だるい、疲れが取れない、眠気がある、胃腸が弱いなど
の症状の訴えがあります。
無理をせずにきちんと休養を取り、栄養のある食事を取りましょう。

漢方薬の例 補中益気湯など

ご自身の体質や症状に合った漢方薬について悩まれている方は、YOJOの薬剤師にも相談できます。

PMS(月経前症候群)の治療に用いられる具体的な漢方薬と選び方

漢方生薬の図

ここではPMSの治療によく使用される具体的な漢方薬と、それぞれの特徴や選び方、注意点についてお伝えします。

【血行不良による肌荒れやイライラが気になる方に 】桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

下腹部をおさえる女性

桂枝茯苓丸は、血の巡りを整えて全身に栄養を行き渡らせる作用があります。血行不良からくるイライラや肌荒れ、下腹部の痛みなどのPMSによる不調を改善します。
配合生薬の「桂皮(けいひ)」がからだを温め、さらに「桃仁(とうにん)・牡丹皮(ぼたんぴ)」といった生薬が血の巡りを改善し、下半身の冷えを緩和してくれます。

服用がおすすめな人
比較的体力があ
る人血行不良が原因の足冷えやほてり、肩こりや頭重がある人のPMS症状や肌荒れに効果的です。

服用上の注意
胃腸が弱い人やからだの抵抗力が弱っている虚証タイプの人は注意しましょう
効果が強く出る可能性があります。
重大な副作用として、肝機能障害に注意しましょう
肝機能障害の症状(たとえば発熱、全身倦怠感、嘔気嘔吐、黄疸など)があらわれた場合は、服用を中止しすみやかに受診するようにしましょう。

【虚弱体質で貧血や冷えが気になる方に】当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

足のふくらはぎを気にする女性

当帰芍薬散には、血の不足を補い、水の巡りを良くすることで全身の代謝を整える作用があります。からだに必要な栄養分を行き渡らせて全身を温めてくれるため、冷え性だけでなく、むくみや水太りへの改善効果もあります。
配合生薬である「当帰(とうき)・川芎(せんきゅう)」に血を補って血行を良くする作用があるほか、「芍薬(しゃくやく)」が筋肉のけいれんを和らげ、血管の状態を良くします。さらに「茯苓(ぶくりょう)・白朮(びゃくじゅつ)」など水の代謝を整える生薬も配合されています。

比較的即効性のある漢方薬で2週間程度で効果がみられる場合もあります。

服用がおすすめな人
虚証タイプで冷えや貧血の症状のある人
におすすめの漢方です。PMS症状のほか、冷えや肩こり、めまい、シミなどへの症状にも効果的です。

服用上の注意
胃腸が弱い人は注意しましょう
「当帰」が胃腸に負担をかけ副作用で食欲不振、吐き気などの消化器症状が起こる場合があります。

【虚弱体質で精神症状が強い方に】加味逍遥散(かみしょうようさん)

ストレスを抱えてイライラする女性

加味逍遥散は、血の不足を補うことで、滞っていた気の巡りを良くする働きがあります。そのためイライラや不安、不眠といったPMSの精神症状に効果的です。
配合生薬の「柴胡(さいこ)・薄荷(はっか)」には、気を静めてイライラや緊張をほぐす作用があります。「当帰・芍薬・牡丹皮」といった生薬が血行を促進します。

服用がおすすめな人
虚弱体質で体力が中等度以下の人
におすすめの漢方薬です

服用上の注意
胃腸が弱い人は注意しましょう
副作用で食欲不振、吐き気などの消化器症状が起こる場合があります。
複数の漢方薬を服用する場合は注意ましょう
配合生薬の「甘草」が重複し、偽アルドステロン症などの副作用が起こりやすくなる可能性があります。
長期服用に注意しましょう
「山梔子」が含まれており、長期服用(多くは5年以上)で大腸粘膜に異常が生じる例が報告されています。

【体力中等度の方の神経の高ぶりや不眠に】抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

ストレスでイライラしている女性

抑肝散加陳皮半夏は、気の滞りや血の巡りを改善して自律神経のバランスを整えてくれる働きがあります。「抑肝散」という漢方薬に「陳皮(ちんぴ)・半夏(はんげ)」という生薬が追加された処方であるため、からだを温めて消化機能を改善する作用が強くなっています。

抑肝散もストレスによる交感神経の活性化を抑制するため、PMSの精神症状の治療によく使用されますが、配合生薬の「当帰(とうき)・川芎(せんきゅう)」が胃腸に負担をかけるため、胃腸の弱っている方には抑肝散加陳皮半夏の服用が推奨されます。

服用がおすすめな人
体力は中等度だが胃腸機能が低下している人
に向きます。PMSによる神経の高ぶりがある人や眠れない人におすすめの漢方薬です。

服用上の注意
複数の漢方薬を服用する場合は注意ましょう
配合生薬の「甘草」が重複し、偽アルドステロン症などの副作用が起こりやすくなる可能性があります。

【不安や気持ちの落ち込みがある方に】半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

喉のつまりを感じる女性

半夏厚朴湯には、気の巡りを良くして、不安や気分が落ち込みやすいなどの症状を改善する作用があります。
気の巡りが滞ると、血や水の巡りにまで影響を与え、からだの機能が低下して疲労感やだるさを感じやすいです。
配合生薬の「半夏(はんげ)・厚朴(こうぼく)」が、からだを温めて緊張を緩和します。さらに「蘇葉(そよう)」にもその香りと共に気を巡らせストレスを発散させる作用があります。

また、ストレスや疲労から自律神経に不調が起こると、のどや食道の筋肉が緊張し、のど詰まりやお腹の張りを感じることがあります。このような症状にも半夏厚朴湯は効果的です。

服用がおすすめな人
体力が中程度の人
に向きます。不安やストレスからくる神経性胃炎にも効果が期待できます。

【めまいやふらつきが気になる方に】苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

めまいを感じる女性

苓桂朮甘湯には、気の循環を改善して余分な水分を取り除き、自律神経の調節障害や起立性低血圧などからくるめまいや頭痛を改善する作用があります。[2]

苓桂朮甘湯は4つの生薬から構成される漢方薬です。「茯苓」には、水の巡りを整えるだけでなく、鎮静作用や抗不安作用があります。「白朮」は水分代謝を高めて不要な水分を取り除き、「桂皮」は体表面を温めて血行を改善します。「甘草」にはイライラ、緊張を和らげる作用があります。

そのため、ヒステリーや不安神経症、動悸・息切れにも効果が期待できます。

服用がおすすめな人
体力が中程度以下の人、特に朝が弱く夜に強い、いわゆる「フクロー型」の人
に効果的とされています。[2]

服用上の注意
複数の漢方薬を服用する場合は注意ましょう
配合生薬の「甘草」が重複し、偽アルドステロン症などの副作用が起こりやすくなる可能性があります。

ご自身に合った漢方薬の選択が不安な場合は、以下の体質チェックからYOJOの薬剤師にも相談できます。

PMS(月経前症候群)の症状におすすめの市販で購入できる漢方薬

ドラッグストアで漢方を選ぶ女性

まずは手軽に漢方薬を試してみたいという方向けに、薬局やドラッグストアなどで購入できる商品をご紹介します。

「クラシエ」漢方桂枝茯苓丸料エキス錠

「クラシエ」漢方桂枝茯苓丸料エキス錠 」
引用元:クラシエHP

生理に伴う下腹部の痛みやイライラが気になる方に

桂枝茯苓丸エキスを有効成分とした商品です。血の巡りを改善するため冷えや頭重のある方にも適しています。

分類 第2類医薬品
適応する人 比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭痛、めまい、のぼせて足冷えなどの訴えがある人
形状 錠剤
用法・用量 1日3回食前または食間に服用
成人(15歳以上):1回2錠
15歳未満7歳以上:1回1錠
服用対象年齢 7歳以上(7歳未満は服用しないこと)
効能効果 月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭痛、打ち身、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび
内容量 48錠/90錠

ルビーナめぐり®

ルビーナめぐり®
引用元:アリナミン製薬株式会社HP

生理に伴うむくみや冷え、倦怠感が気になる人に

当帰芍薬散エキスに、胃腸を元気にしてからだを温める「人参」が配合されている商品です。

分類 第2類医薬品
適応する人 体力虚弱で胃腸が弱く、冷え症で貧血の傾向があり、疲労しやすく、ときに 下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などの訴えがある人
形状 錠剤
用法・用量 1日3回食前または食間に服用
成人(15歳以上):1回3錠
15歳未満7歳以上:1回2錠
服用対象年齢 7歳以上(7歳未満は服用しないこと)
効能効果 むくみ、月経痛、頭重、足腰の冷え症、月経不順、月経異常、産前産後 あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、更年期障害、 めまい・立ちくらみ、肩こり、腰痛、しみ、耳鳴り、しもやけ
内容量 60錠/120錠

命の母メグリビa

命の母メグリビa
引用元:小林製薬株式会社HP

生理に伴う肌荒れやイライラが気になる方に

気の巡りを良くする「加味逍遙散」と血の不足を補う漢方薬「四物湯」が配合されている商品です。

分類 第2類医薬品
適応する人 体力中等度またはやや虚弱で、ときにのぼせ、ふらつきの訴えがある人
形状 錠剤
用法・用量 1日3回食前または食間に服用
成人(15歳以上):1回4錠
服用対象年齢 15歳以上(15歳未満は服用しないこと)
効能効果 湿疹・皮膚炎、しみ、冷え性、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症
内容量 168錠

クラシエの漢方 抑肝散加陳皮半夏エキス錠

クラシエの漢方抑肝散加陳皮半夏
引用元:クラシエHP

イライラにして周りにあたってしまう方に

抑肝散加陳皮半夏を有効成分とした商品です。PMSの精神症状に適しています。

分類 第2類医薬品
適応する人 体力中等度をめやすとして、やや消化器が弱く、神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどの訴えがある人
形状 錠剤
用法・用量 1日2回食前または食後に服用
成人(15歳以上):1回4錠
7歳以上15歳未満:1回3錠
5歳以上7歳未満:1回2錠
服用対象年齢 5歳以上(5歳未満は服用しないこと)
効能効果 神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症(神経過敏)、更年期障害、血の道症、歯ぎしり
内容量 240錠

ツムラ漢方 半夏厚朴湯エキス顆粒

ツムラ漢方16  半夏厚朴湯エキス顆粒
引用元:株式会社ツムラHP

生理前になると不安で落ち込みやすくなる方に

半夏厚朴湯を有効成分とした商品です。ストレスや疲労倦怠感からくるのどの違和感にも適しています。

分類 第2類医薬品
適応する人 体力中等度をめやすとして、気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などの訴えがある人
形状 顆粒剤
用法・用量 1日2回食前または食間に服用
成人(15歳以上):1回1包
7歳以上15歳未満:1回2/3包
4歳以上7歳未満 :1回1/2包
2歳以上4歳未満 :1回1/3包
服用対象年齢 2歳以上(2歳未満は服用しないこと)
効能効果 不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、のどのつかえ感
内容量 20包/48包

ルビーナ®

ルビーナ®
引用元:アリナミン製薬株式会社HP

貧血やめまいの症状が気になる方に

連珠飲を有効成分とした商品です。水の巡りを良くする「苓桂朮甘湯」と血の不足を補う漢方薬「四物湯」が配合されています。

分類 第2類医薬品
適応する人 体力中等度またはやや虚弱で、ときにのぼせ、ふらつきの訴えがある人
形状 錠剤
用法・用量 1日3回食前または食間に服用
成人(15歳以上):1回3錠
服用対象年齢 15歳以上(15歳未満は服用しないこと)
効能効果 更年期障害、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、貧血
内容量 60錠/180錠

PMS(月経前症候群)には漢方薬の服用と共に生活習慣の見直しも大切!

台所で料理をする女性

PMSの症状や程度は、ホルモンバランスの変化やもともとの体質に加えて、生活習慣やストレスによっても大きく影響を受けます。漢方薬やその他の治療薬に頼りすぎるのではなく、今までの生活習慣も見直してみることが大切です。
最後に、PMS対策のポイントについてお伝えします。

規則正しい食生活を心がけよう

1日3食きちんと規則正しく取ることで、血糖値の急激な変動を防ぐことができます。
血糖値が急に低下してしまうと、イライラや食欲の増進につながります。
それ以外にも、からだに吸収されやすいお菓子やジュースなどの糖分は控える、血糖上昇をゆるやかにする食物繊維を豊富に含む大豆や穀類などを意識して取ることも効果的です。また、大豆や穀類には、アミノ酸の一種であるトリプトファンが多く含まれており、気分を安定させるセロトニンというホルモンの原料にもなります。

PMSに効果的な栄養素を積極的に摂取しよう

現在のところ、PMSの症状改善に有効であるとされている栄養素には、カルシウムやマグネシウム、ビタミンB6などがあります。[3]特にカルシウムは、多くの研究で有効性が証明されており、PMS症状を訴える女性は無症状の女性と比較して生理周期の黄体期のカルシウム値が有意に低いことも報告されています。[4]
カルシウムは乳製品や小魚の他に、大豆製品やモロヘイヤ・小松菜といった一部の野菜にも多く含まれているため、積極的に食べるようにしましょう。

また西洋ハーブの一種であるチェストベリーも、PMSの症状への一定の効果が期待でき、サプリメントや一般用医薬品(ゼリア新薬)として販売されています。ただし、ピルなどの一部の薬剤と相互作用を起こす可能性があるため、併用薬がある場合は注意しましょう。[3][5]

有酸素運動やアロマを取り入れてストレスをためないようにしよう

排卵後の黄体期は、交感神経が緊張状態になることや、脳が混乱して自律神経のバランスが崩れイライラなどの精神症状が出やすいことが知られています。
有酸素運動にはリラクゼーション効果があり、PMSの予防や症状の軽減に役立ちます。[6] たとえば、ウォーキングやジョギング 、エアロビクス 、水泳、ヨガ などの呼吸によって酸素をしっかり体に取り込み、規則的な繰り返しのある強度の軽い運動がおすすめです。

また、アロマテラピーもPMSの精神症状・身体症状の改善に有効であることが報告されています。[7]嗅覚の情報は脳の本能や感情を司る部分にダイレクトに伝わりホルモンや自律神経に働きかけます。たとえば、ラベンダー、ゼラニウム、ダマスクローズ、ダイダイなどの精油がおすすめです。

自律神経を整える漢方薬についても知りたい方は、こちら▼の記事も読んでみてくださいね。

喫煙やカフェイン・アルコールの摂取はなるべく控えよう

タバコに含まれるニコチンには、交感神経を刺激して末梢血管を収縮し、血流を悪化させる作用があります。そのため喫煙はらだの冷えや自律神経のバランスを崩したりする原因となり、PMS症状を悪化させる可能性があります。
同様に、過剰なカフェイン摂取も神経を興奮させイライラや緊張を高めます。カフェインはコーヒーや紅茶・緑茶だけでなく、チョコレートやコーラ、栄養ドリンクなどにも含まれているため取り過ぎには注意しましょう。

また、女性ホルモンのエストロゲンには、アルコールを代謝する酵素の働きを抑制する作用があります。[8]そのため、生理前は二日酔いになりやすくなったり、むくみやイライラなどのPMS症状が悪化する原因になったりするため過剰なアルコール摂取は避けた方が良いでしょう。

よくある質問

よくある質問

漢方薬で重大な副作用が出ることはあるの?

漢方薬もお薬であるため、重大な副作用が起こることも時にはあります。<br />特に複数の漢方薬を服用する場合には、例えば以下のような副作用に注意が必要です。

・肝機能障害
無症状のまま血液検査で判明することが多いですが、発熱、全身の倦怠感、吐き気・嘔吐、黄疸などが出ることもあります。悪化すると肝炎を引き起こし命に関わります。 黄芩を含む生薬で多く報告されていますが、 甘草、柴胡、半夏、沢瀉、人参、生姜 などでも注意が必要です。[9]

(例)桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、加味逍遙散、抑肝散、女神散など

・偽アルドステロン症、ミオパチー
偽アルドステロン症は、甘草を多量に服用することで起こります。 手足のだるさやしびれ、血圧上昇、動悸、吐き気・嘔吐、低カリウム血症、さらに悪化すると筋力の低下(ミオパチー)などの症状が出る場合があるため注意が必要です。[10]
(例)加味逍遙散、抑肝散陳皮半夏、苓桂朮甘湯

いつまで飲み続けたらいいの?

漢方薬を服用してから効果を実感するまでの期間は、漢方薬の種類や症状の程度、生活習慣などによっても個人差が出てきます。
一般的には、1か月以上の継続が必要とされています。

漢方薬を飲むタイミングは?

漢方薬は一般的に、食前(食事の30分~1時間前)もしくは食間(食事の2~3時間後)の空腹時が効果的とされています。しかし、食後に飲んでも著しく効果が落ちることはないため、飲み忘れた場合や胃腸が弱い方の場合は食後の服用でも問題ありません。ただし、次の飲むタイミングとの間隔は、1日3回服用する漢方薬の場合は4時間以上、1日2回服用する漢方薬の場合は6時間以上は間隔をあけるようにしましょう。

病院・クリニックで処方される漢方薬と市販で購入できる漢方の違いはなに?

漢方薬に配合されている生薬の成分の種類は、「処方薬(医療用漢方製剤)」と「市販薬(一般用漢方製剤)」とで基本的に違いはないため、期待できる効能効果は同じです。
ただし市販薬は不特定多数の方が購入するため、安全性を考慮して、1日の服用量中の成分配合量が少ない場合があります。

また、医師の診断のもと治療が保険適用となれば、「処方薬」は1~3割負担で購入することができます。一方で「市販薬」は自分自身で薬を選択できるものの費用は全額自己負担です。

漢方薬が効かない場合は?

漢方薬を1か月程度服用しても効果がない場合は、漢方薬が体質または症状に合っていない可能性があります。
漫然と飲み続けると副作用の発現にもつながるため、一度服用を中止して医療機関を受診して相談するようにしましょう。

漢方薬の選択に関するご相談はYOJOでもお受けすることができます。
また、YOJOでは漢方を服用する際に注意すべき副作用や、生活習慣についてのアドバイスも受けられるので、気になる方はまずは体質チェックから始めてみましょう。

【参考文献】
[1]公益財団法人 日本産婦人科学会
[2]嶺井聡ら(2019)苓桂朮甘湯が適応となる新たな病態に関する考察, 日本東洋医学雑誌.70(2)141-145
[3]A.Whelan , T.Jurgens, H.Naylor,Herbs(2009), vitamins and minerals in the treatment of premenstrual syndrome: a systematic review,Can J Clin Pharmacol.16(3)407-429
[4]A.Arab, N.Rafie,G.Askari, and M.Taghiabadi(2020)Beneficial Role of Calcium in Premenstrual Syndrome: A Systematic Review of Current Literature,Int J Prev Med.11: 156
[5]厚生労働省e JIM |チェストベリー|『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』翻訳公開日:2021年3月12日
[6]古田聡美(2007)月経随伴症状の軽減へのマンスリービクスの効果について,鹿児島純心女子短期大学研究紀要.37.109-122
[7] 松田香,白石三恵(2022)月経前症候群の症状を有する女性へのアロマセラピーの効果に関する系統的レビュー,日本助産学会誌.36(1)15-28
[8] 独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター婦人科 新美洋一(2006) 女性とアルコール 産婦人科の見地から
[9] 五野由佳理,小田口浩,早崎知幸,鈴木邦彦,及川哲郎,村主明彦,赤星透,花輪壽彦(2010)漢方薬による薬物性肝障害の症例検討. 日本東洋医学雑誌.61(6)828-833
[10]厚生労働省, 重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症