ホットフラッシュにおすすめの漢方薬とは?効かない場合の対策も解説

ホットフラッシュは更年期障害の代表的な症状の一つです。
「突然汗が止まらなくなる」「頭や首の後ろが異常にほてる」「汗だくになったかと思うと、急に身体が冷えて寒気を感じる」などの症状に心当たりがあれば、それはホットフラッシュかもしれません。

ホットフラッシュに用いられる漢方薬には、体質や症状に合わせて、例えば以下のようなものがあります。

・加味逍遥散(かみしょうようさん):疲れやすく精神症状が強い方のほてりに効果
・知柏地黄丸(ちばくじおうがん):口渇や排尿障害も伴う方のほてりに効果
・女神散 (にょしんさん):体力中等度でのぼせやめまいのある方に効果
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう):イライラして赤ら顔の方に効果
・桂枝茯苓丸 (けいしぶくりょうがん):体力があり血行不良で冷えのぼせがある方に効果
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):虚弱体質で冷えのぼせや立ちくらみがある方に効果

この記事では、ホットフラッシュに効果の期待できる漢方薬やその選び方について、薬剤師が詳しく解説します。なかなか改善しない症状に悩んでいる方はYOJOの薬剤師にも相談できます。

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Contents

ホットフラッシュとは~漢方との関連性~

体調が悪そうな女性

ホットフラッシュとは、簡単に言うと更年期に起こる「ほてり・のぼせ」のことです。特に顔や頭皮、胸などの上半身がほてり、紅潮したり発汗したりすることも特徴です。さらに、めまいや動悸、寒気、悪心などを伴なったり、夜間の発作が原因で不眠になったりすることもあります。
ホットフラッシュは、時や場所・気温や室温を選ばず、1日に数回起こることがあり、数か月で落ち着く人から数年間続く人などさまざまです。[1]

ホットフラッシュの治療には、漢方薬が使用されることが多いですが、それはなぜでしょうか。これから順を追って解説していきます。

ホットフラッシュが起こる原因

ホットフラッシュが起こる主な原因は、卵巣機能の低下です。
女性は50歳前後に閉経を迎えますが、40代後半頃から徐々に卵巣の機能が衰え始め、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌量が低下していきます。そして閉経を迎えることで、さらに急激にエストロゲン分泌量が落ち込み、その影響でホルモンバランスや自律神経のバランスが崩れて心身に不調をきたしてしまうのです。
自律神経の調節がうまくいかなくなると、血管の収縮・拡張のコントロールができなくなり、急激な血流増加が生じるためにホットフラッシュが起こるとされています。

漢方でみる女性の年齢とからだの変化

東洋医学の古典『黄帝内経(こうていだいけい)』には、「女性は7の倍数」「男性は8の倍数」の年齢で節目を迎え、からだに変化が訪れるという記述があります。

~女性の生殖年齢の変化~
7歳
:永久歯に生え変わり髪が伸びる

14歳:初潮を迎える
21歳:女性の身体ができあがる
28歳:女性として身体が最も充実する
35歳:容姿の衰えが見え始める
42歳:シワや白髪が目立ち始める
49歳:閉経し子を授かることが難しくなる

昔は「更年期」という言葉はもちろん無かったものの、女性の年齢の変化とともに起こるさまざまな心身の不調(不定愁訴)に対して、漢方薬は広く使われてきました。
ホットフラッシュ以外の更年期症状にも効果のある漢方薬についても知りたい方はこちら▼の記事もお読みください。

漢方でみるホットフラッシュ・のぼせの状態とは

では、ホットフラッシュやのぼせに対して、漢方薬はなぜ効果的なのでしょうか。ここではホットフラッシュやのぼせが起きる状態を漢方の点から紐解きます。

漢方で診る「気血水」

気血水

漢方では患者さん個々の体質や状態を見極めるために、独自の「ものさし」を用いて診断を行います。「気血水」は患者さんを診るものさしの中の一つです。

気(き):身体や心を動かす生命エネルギーです。
血(けつ)
血液や血液の中に含まれる栄養です。からだ全体に栄養分とうるおいを運びます。
水(すい)
リンパ液、汗、涙、だ液など、血液以外の体液です。からだ全体にうるおいを運びます。

漢方では、更年期のホットフラッシュやのぼせが起こる状態は、主に「陰虚」や「瘀血」に関係するとされています。

ホットフラッシュ・のぼせが起こる状態

漢方

陰虚(いんきょ)

陰虚とは、からだのうるおいである「水」が不足している状態です。
「水」は、 筋肉や皮膚、粘膜、関節などをうるおして正常に機能させ、ときには尿や汗、鼻水となって老廃物を体外へ排出する役割を果たします。そのため、水が不足すると、からだ全体のうるおいが低下し、余分な熱が生じて、のぼせやすくなります。そのほかにも肌の乾燥や、口渇、便が乾燥することによる排便困難や便秘などにもつながります。

瘀血(おけつ)

瘀血とは、血行不良が起きている状態です。 血の巡りは、上半身よりも特に下半身で滞りやすいです。すると下半身は冷えるにも関わらず、比較的巡りの良い上半身には熱がこもりやすくなります。 これがいわゆる「冷えのぼせ」の状態で、同時に肩こりや腰痛、生理痛・不正出血などの婦人科系疾患、エコノミークラス症候群などのトラブルも起こりやすくなります。

そのほかストレスなどで気の巡りが悪くなるとからだに熱がこもりやすくなることもあります。

ご自身の体質に合う漢方薬についてYOJOの薬剤師に相談したい方は、まずは体質チェックをご利用ください。

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ホットフラッシュ・のぼせにおすすめの漢方薬とは

では、ホットフラッシュやのぼせに具体的にどのような漢方薬が処方されるのか、ここでは6種類の漢方薬についてご紹介します。

【疲れやすくイライラなどの精神症状が強い方に 】加味逍遙散(かみしょうようさん)

加味逍遥散は、血の不足を補って巡りを良くすることで、滞っていた気の巡りも改善する働きがあります。からだ全体の巡りを良くして温める一方で、のぼせなど上半身の熱を冷まします。
配合生薬の「柴胡(さいこ)・薄荷(はっか)」には、気を静めてイライラや緊張をほぐす作用があります。そのほか「当帰・芍薬・牡丹皮」といった生薬が血行を促進します。

服用がおすすめな人
虚弱体質の人で、
不安やイライラなどの精神症状がきっかけで起こるようなのぼせに効果的です。また、特に下半身に冷え性がある人、肩こりや疲労感などがある人にもおすすめです。

服用上の注意
胃腸が弱い人は注意しましょう
副作用で食欲不振、吐き気などの消化器症状が起こる場合があります。
妊娠中の人は服用を避けましょう
血行を強く促進する作用のある「牡丹皮」は、妊娠中に服用すると流早産のリスクが高まります。
複数の漢方薬を服用する場合は注意ましょう
配合生薬の「甘草」が重複し、偽アルドステロン症などの副作用が起こりやすくなる可能性があります。

加味逍遥散と他の薬との併用や効果について、さらに詳しく知りたい方はこちら▼の記事もお読みください。

【 口渇や排尿障害も伴う方に 】知柏地黄丸(ちばくじおうがん)

知柏地黄丸は、加齢とともに低下した「腎」の働きを強くすることで、陰虚によって生じた熱を冷ましてホットフラッシュやのぼせを改善する作用があります。

知柏地黄丸は、六味地黄丸に神経の興奮を抑える作用のある「知母(ちぼ)・黄柏(おうばく)」が加えられた漢方薬です。

服用がおすすめな人
体力が中程度以下で疲れやすく口渇のある、陰虚タイプの人におすすめの漢方薬です。更年期のホットフラッシュだけでなく、常に感じる手足のほてりや疲労感、排尿困難や頻尿、むくみなどにも効果が期待できます。

服用上の注意
胃腸が弱い人は注意しましょう
副作用で食欲不振、吐き気、下痢などの消化器症状が起こる場合があります。
複数の漢方薬を服用する場合は注意ましょう
配合生薬の「甘草」が重複し、偽アルドステロン症などの副作用が起こりやすくなる可能性があります。

【体力中等度でのぼせやめまいがある方に】女神散 (にょしんさん)

女神散は、血行や水分循環を改善すると同時に、気の巡りを良くして神経の不調も整えてくれる働きがあります。
配合生薬の「黄芩(おうごん)・黄連(おうれん)」に熱を冷ます働きのほか、気を静めてイライラや緊張をほぐす鎮静作用があります。「当帰・芍薬・桂皮」といった生薬が血行を促進します。

服用がおすすめな人
体力が中程度の人
におすすめの漢方薬です。のぼせやめまいがある人の、産前産後の不安や不眠症、月経不順、更年期障害に効果が期待できます。

服用上の注意
胃腸が弱い人は注意しましょう
副作用で食欲不振、吐き気、下痢などの消化器症状が起こる場合があります。
複数の漢方薬を服用する場合は注意しましょう
配合生薬の「甘草」が重複し、偽アルドステロン症などの副作用が起こりやすくなる可能性があります。

【イライラして赤ら顔の方に】黄連解毒湯 (おうれんげどくとう)

黄連解毒湯には、 からだを冷やして余分な熱を取る作用があります。
「黄連(おうれん)・黄柏(おうばく)・黄芩(おうごん)・山梔子(さんしし)」の4種類の生薬から構成されており、すべての生薬に解熱・消炎作用をもちます。

臨床では、顔がのぼせてほてりがあり、イライラして落ち着かないタイプの胃腸や循環器、皮膚疾患、神経症に用いられています。

服用がおすすめな人
体力は中等度以上で、のぼせやほてり、時に鼻血などの出血傾向がある人に向きます。

服用に注意が必要な人
虚弱体質の人、冷えや疲労感のある人は注意しましょう
効果が強く出て合わなかったり、症状が悪化する場合があります。

服用上の注意
重大な副作用として、間質性肺炎や肝機能障害に注意しましょう
間質性肺炎の症状(たとえば発熱、咳、呼吸困難など)や、肝機能障害の症状(たとえば発熱、全身倦怠感、嘔気嘔吐、黄疸など)があらわれた場合は、服用を中止しすみやかに受診するようにしましょう。
長期服用に注意しましょう
「山梔子」が含まれており、長期服用(多くは5年以上)で大腸粘膜に異常が生じる例が報告されています。

黄連解毒湯の効果について、さらに詳しく知りたい方はこちら▼の記事もお読みください。

【体力があり血行不良で冷えのぼせがある方に】桂枝茯苓丸 (けいしぶくりょうがん)

肩こり 女性

桂枝茯苓丸は、血の巡りを整える代表的な漢方薬です。血行不良からくるホルモンバランスの乱れや、のぼせると同時に足が冷える“冷えのぼせ”などの不調を改善します。
配合生薬の「桂皮(けいひ)」は、からだを温めて冷えを改善し、発汗を促して解熱効果を示します。さらに「桃仁(とうにん)・牡丹皮(ぼたんぴ)」といった生薬が血の巡りを改善し、更年期症状を緩和してくれます。

服用がおすすめな人
比較的体力があ
る、血行不良タイプの人におすすめの漢方薬です。冷えのぼせ、肩こり、めまいなどの更年期症状に効果的です。

服用に注意が必要な人
虚証タイプの人は注意しましょう
胃腸が弱い人、疲れやすい人、からだの抵抗力が弱っている人は効果が強くでて合わない場合があります。

服用上の注意
妊娠中の人は服用を避けましょう
「桃仁・牡丹皮」が血行を強く促進するため、妊娠中に服用すると流早産のリスクが高まります。

桂枝茯苓丸と他の薬との飲み合わせや効果について、さらに詳しく知りたい方はこちら▼の記事もお読みください。

【虚弱体質で冷えのぼせや立ちくらみがある方に】当帰芍薬散 (とうきしゃくやくさん)

冷え性の女性

当帰芍薬散は、加味逍遙散・桂枝茯苓丸とともに婦人科の三大漢方薬の一つです。血の不足を補い、水の巡りを良くすることで、からだに必要な栄養分を行き渡らせ、全身を温めて冷えを改善します。

配合生薬である「当帰(とうき)・川芎(せんきゅう)」に血を補って血行を良くする作用があるほか、「芍薬(しゃくやく)」が筋肉のけいれんを和らげ、血管の状態を良くします。さらに「茯苓(ぶくりょう)・白朮(びゃくじゅつ)」など水の代謝を整える生薬も配合されています。

服用がおすすめな人
虚証タイプで、全身の冷えや冷えのぼせがある人
におすすめの漢方です。[2]特に腹部の冷えや肩こり、立ちくらみなどの症状に効果的です。

服用に注意が必要な人
胃腸が弱い人は注意しましょう
副作用で食欲不振、吐き気などの消化器症状が起こる場合があります。

当帰芍薬散の他の薬との併用や効果について、さらに詳しく知りたい方はこちら▼の記事もお読みください。

市販で購入できるホットフラッシュにおすすめの漢方薬とは

ドラッグストア薬剤師と患者

まずは手軽に漢方薬を試してみたいという方向けに、薬局やドラッグストアなどで購入できる漢方薬をご紹介します。

命の母メグリビa

命の母メグリビa
引用元:小林製薬HP

更年期のほてりや肌の乾燥が気になる人に

血の不足を補う漢方薬「四物湯」と気の巡りを良くする「加味逍遙散」が配合され、からだ全体の巡りを良くして栄養と水分を届けます。

分類 第2類医薬品
適応する人 体力中等度またはやや虚弱で、ときにのぼせ、ふらつきの訴えがある人
形状 錠剤
用法・用量 1日3回食前または食間に服用
成人(15歳以上):1回4錠
服用対象年齢 15歳以上(15歳未満は服用しないこと)
効能効果 湿疹・皮膚炎、しみ、冷え性、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症
内容量 168錠

「クラシエ」漢方 知柏地黄丸 エキス錠

「クラシエ」漢方 知柏地黄丸 エキス錠

 

引用元:クラシエHP

ホットフラッシュで顔や手足が汗ばむ人に

知柏地黄丸エキスを有効成分とした商品です。更年期の強いほてりや発汗に適した漢方薬です。

分類 第2類医薬品
適応する人 体力中等度以下で、疲れやすく胃腸障害がなく、口渇がある人
形状 錠剤
用法・用量 1日3回食前又は食間に水又はお湯にて服用してください。
成人(15歳以上):1回5錠
服用対象年齢 15歳以上(15歳未満は服用しないこと)
効能効果 顔や四肢のほてり、排尿困難、頻尿、むくみ
内容量 120錠

女神散エキス細粒G「コタロー」

女伸散

 

引用元:小太郎漢方製薬HP

更年期障害ののぼぜ、イライラ、発汗が気になる人に

女神散エキスを有効成分とした商品です。更年期ののぼせや発汗に適した漢方薬です。

分類 第2類医薬品
適応する人 体力中等度以上で、のぼせとめまいのある人
形状 顆粒剤
用法・用量 1日3回食前又は食間に水又はお湯にて服用してください。
成人(15歳以上):1回1包
7歳以上15歳未満:1回2/3包
4歳以上7歳未満:1回1/2包
4歳未満2歳以上:1/3包
服用対象年齢 2歳以上(2歳未満は服用しないこと)
効能効果 更年期障害、血の道症、神経症、月経不順、産前産後の神経症
内容量 18包

JPS黄連解毒湯エキス錠

JPS黄連解毒湯エキス錠

 

引用元:ジェーピーエス製薬HP

のぼせてイライラする人に

黄連解毒湯エキスを有効成分とした商品です。のぼせとともに、イライラや不眠、動悸などの更年期症状がある人に良いでしょう。

分類 第2類医薬品
適応する人 体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらして落ち着かない傾向のある人
形状 錠剤
用法・用量 1日3回食前又は食間に水又はお湯にて服用してください。
成人(15歳以上):1回3錠
7歳以上15歳未満:1回2錠
5歳以上7歳未満:1回1錠
服用対象年齢 5歳以上(5歳未満は服用しないこと)
効能効果 鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔、血の道症、めまい、動悸、
更年期障害、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎
内容量 200錠

ツムラ漢方桂枝茯苓丸料エキス顆粒A

ツムラ桂枝茯苓丸

 

引用元:ツムラHP

更年期のほてりと下半身の冷えが気になる人に

桂枝茯苓丸エキスを有効成分とした商品です。冷えのぼせや肩こり、イライラがある人に適しています。

分類 第2類医薬品
適応する人 比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭痛、めまい、のぼせて足冷えなどの訴えがある人
形状 顆粒剤
用法・用量 1日2回食前または食間に服用
成人(15歳以上):1回1包
15歳未満7歳以上:1回2/3包
7歳未満4歳以上:1回1/2包
4歳未満2歳以上:1回1/3包
服用対象年齢 2歳以上(2歳未満は服用しないこと)
効能効果 月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭痛、打ち身、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび
内容量 20包/48包

ルビーナめぐり®

ルビーナめぐり

 

引用元:アリナミン製薬株式会社HP

冷えや疲れが気になる人に

当帰芍薬散エキスに、胃腸を元気にしてからだを温める「人参」が配合されている商品です。下半身が強く冷える冷えのぼせの人に良いでしょう。

分類 第2類医薬品
適応する人 体力虚弱で胃腸が弱く、冷え症で貧血の傾向があり、疲労しやすく、ときに 下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などの訴えがある人
形状 錠剤
用法・用量 1日3回食前または食間に服用
成人(15歳以上):1回3錠
15歳未満7歳以上:1回2錠
服用対象年齢 7歳以上(7歳未満は服用しないこと)
効能効果 むくみ、月経痛、頭重、足腰の冷え症、月経不順、月経異常、産前産後 あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、更年期障害、 めまい・立ちくらみ、肩こり、腰痛、しみ、耳鳴り、しもやけ
内容量 60錠/120錠

ホットフラッシュ・のぼせに漢方薬が効かないときは?

医師

ホットフラッシュやのぼせに対して漢方薬を服用しても効果がないと感じられる方もなかにはいらっしゃいます。
ここでは、漢方で効果を感じられない場合の原因や対策についてお伝えします。

漢方薬が体質に合っていない可能性がある

漢方薬を1か月ほど継続して服用しても効果がない場合は、体質に合っていない可能性があります。漫然と使用すると、効果が出ないだけでなく副作用などを引き起こす場合もあるため注意しましょう。
基本的には、1か月程度服用しても効果が見られなければ、服用を中止して医療機関や薬局で相談するようにしましょう。

婦人科を受診し、ホルモン補充療法(HRT)を受ける

ホルモン補充療法とは、減少したエストロゲン(女性ホルモン)を補充する治療法のことで、飲み薬や貼り薬、塗り薬などがあります。

更年期障害の症状の中でも、ホットフラッシュのような血管運動神経症状の場合はホルモン補充療法の有効性が高いことが明らかとなっています。[1]
ただし、肝臓が悪い方や、血栓ができやすい方、がんの増殖にホルモンが関連するタイプのがん(乳がんの一部など)を発症されている方は、状態を悪化させる可能性もあるため、医師と相談して慎重に検討することが大切です。[3]

薬に頼りすぎずに生活習慣も見直す

ホットフラッシュは卵巣機能の低下が主な原因ですが、加齢に伴う身体の変化やストレス、周りの環境が複合的に絡み合って影響していると考えられています。[1]そのため、ご自身の今までの生活習慣を見直し、規則正しい生活に改善することでも、更年期症状を緩和する効果が期待できるでしょう。
また、更年期には以下のようなポイントを意識することも大切です。

更年期に必要な栄養素を積極的に摂取する

たとえば大豆イソフラボンは、エストロゲンに似た働きをするために積極的に摂取すると良いとされています。大豆イソフラボンは豆腐や納豆、豆乳、油揚げなどの大豆製品に多いため、意識的に取るようにするようにしましょう。
また、更年期になるとエストロゲンの急激な減少で、筋肉量や骨密度も急激に低下します。そのため、筋肉や骨を作る材料となるタンパク質やカルシウムも今まで以上に積極的に摂取することが大切です。

適度な運動や筋トレをする

エストロゲンが減少すると、内蔵脂肪は増えて、逆に筋肉量は減りやすくなります。体重が増えて筋肉量が減ることで、ひざや腰の関節痛につながったり新陳代謝が落ちて体力の低下につながったりします。
そのため、週に2~3回程度は適度な運動やストレッチ、筋トレなどを取り入れるようにしましょう。適度な有酸素運動は、ストレス解消や冷え対策にも効果的です。

着衣や環境を工夫する

外出時には、カーディガンなど脱ぎ着しやすい洋服を選ぶようにすると、突然のホットフラッシュにも対応しやすくなります。汗を拭くためのタオルや冷却シートを持ち歩くのも良いでしょう。
綿や麻のような吸湿性の良い素材で出来たゆったりした服を着たり、室内の換気をしてからだに熱がこもらないような工夫をすることも大切です。

YOJOでは、漢方薬の相談だけでなく、食事や運動などの生活習慣の改善ポイントについても相談することができます。
更年期によるからだの不調に悩まれている方はYOJOで無料相談できるので気軽に利用してみてくださいね。

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【参考文献】
[1]一般社団法人 日本女性心身医学会 女性の病気について
[2]木村容子ら(2013)当帰芍薬散およみ加味逍遥散が有効な冷えについての検討,日東医誌Vol64.No4,205-211
[3]国立研究開発法人国立がん研究センター ほてり・のぼせ・発汗