八味地黄丸の飲み合わせで禁忌はある?服用の注意点や飲みやすくするコツも解説

トイレと高齢者

八味地黄丸(はちみじおうがん)は、頻尿や尿トラブルに対してよく用いられる漢方薬です。
漢方では、発育や生殖に関わる泌尿器・生殖器・腎臓などの機能を「腎」と呼びますが、加齢などで腎の働きが低下することで起こる症状に八味地黄丸は多く用いられます。

八味地黄丸と他の薬を併用する場合は、以下の点に注意が必要です。

・八味地黄丸は他の薬との飲み合わせで禁忌となる医薬品はありません。

・ただし、八味地黄丸に含まれる生薬と他の漢方薬に含まれる生薬が重複しないよう注意する必要があります。

具体的な漢方薬や医薬品のベタニス、サプリメントのノコギリヤシなどとの併用については、以下の記事で薬剤師が詳しく解説いたします。

八味地黄丸の服用についてお悩みの方は、ぜひ一度YOJOの薬剤師にご相談ください。

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Contents

八味地黄丸と他の医薬品との飲み合わせで禁忌はある?

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八味地黄丸の飲み合わせで禁忌の医薬品はありません。しかし、他の漢方薬と併用する場合は、飲み合わせに注意が必要です。飲み合わせの注意点については、以下で詳しく解説いたします。

禁忌のものはありませんが、八味地黄丸と他の医薬品やサプリメントなどを一緒に服用する際には、必ず主治医や薬剤師に伝えましょう。

八味地黄丸とは?腎の機能を高める漢方薬

漢方生薬

八味地黄丸とは、頻尿や尿量減少などの排尿障害の他、下半身の冷えや疲労感に使用される漢方薬です。[1]

漢方医学では、「気・血・水」が不足なく、滞りなく巡ることで健康を保つと考えますが、八味地黄丸は、加齢に伴う「気・血・水」の不足を補い、「腎」の働きを高めることにより下半身の機能低下を改善する効果が期待できます。

構成生薬
地黄(じおう)、山茱萸(さんしゅゆ)、山薬(さんやく)、茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)、牡丹皮(ぼたんぴ)、桂皮(けいひ)、附子(ぶし)

効能・効果
体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ

漢方の気血水の考え方や腎の働きについてさらに詳しく知りたい方はこちら▼の記事もお読みください。

【漢方の基礎知識】漢方の気血水と五臓とは?

八味地黄丸が向いている人、向いていない人は?

八味地黄丸が向いている人の特徴としては、以下のような点があげられます。

・排尿異常や夜間頻尿などの尿トラブルがある人
・足腰が弱く、下半身や全身の冷え性がある人

・疲労倦怠感が著しいが、食欲不振はない人

一方で、八味地黄丸が向いていない人は、胃腸が弱く、下痢や嘔吐を起こしやすい人です。配合生薬の「地黄」が胃腸に負担をかける場合があるため、注意しましょう。

漢方薬の効果をきちんと引き出すためには、ご自身の体質や症状に合った漢方薬を選択することが大切です。漢方薬の選び方に不安がある場合は、YOJOの薬剤師に相談することもできます。

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八味地黄丸の飲み合わせの注意点~生薬の重複に注意~

注意事項

八味地黄丸には禁忌となる医薬品はありませんが、他の漢方薬を一緒に服用する場合には、構成生薬で共通のものが含まれないか注意する必要があります。

具体的には、附子(ぶし)や地黄(じおう)、桂皮(けいひ)が重複していないか確認しましょう。[2]

特に、「附子(ぶし)」は、過剰に摂取すると中毒症状(ほてり・熱感・悪心嘔吐・しびれ・不整脈・めまい)を起こす可能性があるため、注意が必要です。

八味地黄丸の飲み合わせに関してよくある質問

Q&A

以下では、具体的な漢方薬との飲み合わせについて詳しく解説いたします。

牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)との飲み合わせは?

牛車腎気丸は、八味地黄丸と同様に高齢者の夜間頻尿や脚弱、冷えなどに使用されます。牛車腎気丸は八味地黄丸に2生薬を足した処方であるため、ほとんどの配合生薬が重複します。効能・効果も大きく変わりはないため併用はせず、どちらか一方の服用にしましょう。

麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)との飲み合わせは?

麻黄附子細辛湯は、体を温めて風邪のひき始めや花粉症、アレルギー鼻炎などに使用されます。八味地黄丸と麻黄附子細辛湯には「附子」という共通の生薬が含まれています。附子は過剰に摂取するとほてりや吐き気、しびれ、不整脈などの中毒症状を引き起こす可能性があるため、併用には注意が必要です。
併用する前に一度、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)との飲み合わせは?

当帰芍薬散は女性の三大漢方薬の一つとして知られ、貧血や月経不順、不妊症、更年期障害などの婦人科系疾患によく使用されます。八味地黄丸と当帰芍薬散には「茯苓」という共通の生薬が含まれています。茯苓で過敏症を起こしたことがなければ併用しても問題ないと考えられますが、生薬の量が増えるため効果が強まって尿量が増加するなどの症状が起こる可能性があります。併用する場合は、念のため医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

当帰芍薬散と他の医薬品との飲み合わせについては、こちら▼の記事で詳しく解説しています。

関連記事:当帰芍薬散との飲み合わせに禁忌はある?ロキソニンやビタミン剤との併用も解説

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)との飲み合わせは?

半夏厚朴湯は不安神経症やのどの詰まり(ヒステリー球)などに使用されます。八味地黄丸と半夏厚朴湯には「茯苓」という共通の生薬が含まれています。茯苓で過敏症を起こしたことがなければ併用しても問題ないと考えられますが、生薬の量が増えるため効果が強まり、尿量が増加するなどの症状を起こす可能性があります。併用する場合は、念のため医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

半夏厚朴湯と他の医薬品との飲み合わせについては、こちら▼の記事で詳しく解説しています。
関連記事:半夏厚朴湯の飲み合わせで禁忌のものはある?他の薬やサプリとの飲み合わせも解説

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)との飲み合わせは?

桂枝茯苓丸は女性三大漢方薬の一つで、月経不順や冷えのぼせ、更年期障害などに使用される漢方薬です。八味地黄丸と桂枝茯苓丸には「茯苓」「牡丹皮」「桂皮」という共通の生薬が含まれています。併用しても基本的には問題ありませんが、生薬の量が増えることで尿量増加や皮疹などの症状が強く出る可能性があります。併用する場合は、念のため医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

桂枝茯苓丸と他の医薬品との飲み合わせについては、こちら▼の記事で詳しく解説しています。
関連記事:桂枝茯苓丸の飲み合わせで注意するものは?飲み方や他の漢方薬との併用も解説

五苓散(ごれいさん)との飲み合わせは?

五苓散は体内の水分バランスを整え、むくみ、頭痛、めまいなどを改善する漢方薬です。八味地黄丸と五苓散の中には「茯苓」「沢瀉」「桂皮」といった共通の生薬が含まれています。併用しても基本的には問題ありませんが、これらを同時に服用すると尿量が増加するなどの症状が出る可能性があります。併用する場合は、念のため医師や薬剤師、または登録販売者に相談してください。

五苓散と他の医薬品との飲み合わせについては、こちら▼の記事で詳しく解説しています。
関連記事:五苓散の飲み合わせで禁忌のものは?他薬との併用やおすすめの飲み方も解説

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)との飲み合わせは?

防風通聖散は肥満症や便秘、むくみなどに用いられる漢方薬です。八味地黄丸と防風痛聖散には共通する生薬は含まれていないので、飲み合わせは問題ありません。しかし、八味地黄丸は体力がなく冷え性で虚証タイプの人に向く漢方薬で、防風痛聖散は体力がありのぼせやすい実証タイプの人に向く漢方薬です。
そのため、虚証のタイプの人が実証向きの漢方薬を服用すると下痢をしたり食欲が低下したりすることがあるので注意が必要です。

防風通聖散と他の医薬品との飲み合わせについては、こちら▼の記事で詳しく解説しています。

関連記事:防風通聖散の飲み合わせで禁忌や注意点は?リベルサスや7つの漢方薬との併用も解説

葛根湯(かっこんとう)との飲み合わせは?

葛根湯は、風邪のひき始めや肩こりなどに用いられる漢方薬です。八味地黄丸と葛根湯の中には「桂皮」という共通の生薬が含まれています。桂皮で過敏症を起こしたことがなければ併用しても基本的には問題ありません。ただし併用する場合は、念のため医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

葛根湯と他の薬との飲み合わせについては、こちら▼の記事で詳しく解説しています。
関連記事:葛根湯と他の薬との飲み合わせを解説/ロキソニン・アレグラなどとの併用はOK?

抑肝散(よくかんさん)との飲み合わせは?

抑肝散は、神経の高ぶりやイライラ、不眠症などに用いられる漢方薬です。八味地黄丸と抑肝散の中には「茯苓」という共通の生薬が含まれています。茯苓で過敏症を起こしたことがなければ併用しても問題ないと考えられますが、生薬の量が増えるため効果が強まり、尿量が増加するなどの症状を起こす可能性があります。併用する場合は、念のため医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)との飲み合わせは?

柴胡加竜骨牡蛎湯は、精神不安や不眠、更年期神経症などに使用される漢方薬です。八味地黄丸と柴胡加竜骨牡蛎湯には「茯苓」「桂皮」という共通の生薬が含まれています。併用しても基本的には問題ありませんが、生薬の量が増えることで尿量増加や皮疹などの症状が出る可能性はあります。併用する場合は、念のため医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

ベタニスとの飲み合わせは?

ベタニスは過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿および切迫性尿失禁を治療する医療用医薬品です。ベタニスと八味地黄丸の相互作用についての報告は特になく、一緒に服用しても問題ありません。

ノコギリヤシとの飲み合わせは?

ノコギリヤシは北米の湿地帯に生育するヤシ科の植物で、前立腺肥大に関連する排尿症状や、骨盤痛、片頭痛、脱毛などの症状改善のサポートに用いられるサプリメントです。[3]
ノコギリヤシは経口避妊薬やホルモン治療薬、抗血液凝固薬、抗血小板薬との相互作用が報告されていますが[4]、八味地黄丸との相互作用についての報告は特になく、一緒に服用しても問題ありません。

その他にも、八味地黄丸と薬・サプリメントとの飲み合わせについて悩まれている方はYOJOの薬剤師にも相談することができます。

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八味地黄丸を服用する際のポイント・注意点

ポイントを伝える看護師

ここでは、八味地黄丸に報告されている副作用、服用回数や飲むタイミング、おすすめの飲み方などを解説いたします。

八味地黄丸の一般的な副作用とその対処法

八味地黄丸の副作用には、以下のものが報告されています。全て頻度不明なので、起こりにくい副作用と考えられます。[1]

過敏症:発疹、掻痒(皮膚のかゆみ)など

肝機能異常:AST、ALTなどの上昇

消化器症状:食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢など

その他:心悸亢進、のぼせ、舌のしびれなど

過敏症の副作用が出た場合には、すぐに漢方薬の服用を中止し医療機関を受診しましょう。

消化器症状が出た場合には、食前に服用していた場合は食後に変更して様子を見る、それでも症状が変わらない場合は合っていない可能性が考えられるので、服用を中止し医療機関を受診しましょう。

八味地黄丸は1日の服用回数や飲むタイミングとは?

八味地黄丸は通常、成人1日7.5gを2~3回に分けて服用します。[1]

ただし、商品や服用者の症状、年齢・体重などによっても異なるため、必ず医師の指示や添付文書をよく読んで服用しましょう。

また服用するタイミングは食前または食間です。食前とは食事の20~30分前、食間とは食事と食事の間2時間くらいの空腹時を指します。ただし、上述のとおり八味地黄丸には胃腸に負担のかかる生薬である「地黄」が含まれているため、食前に服用して胃もたれや吐き気を感じる方は、食後に服用することで副作用の軽減につながります。

八味地黄丸のおすすめの飲み方は?

添付文書でも示されているとおり、八味地黄丸は苦みのある処方です。そのため、漢方薬が苦手な方の中には飲み続けるのがツライと感じる方もいるかもしれません。漢方薬は以下のような工夫をすることでぐんと飲みやすくなるため、試してみましょう。

①水または白湯を先に口の中に含んでから服用する

漢方薬の顆粒を摂取する前に一口の水または白湯を含み、その上で漢方薬を服用します。これにより、漢方薬が舌に直接触れないため苦みを感じにくくする効果が期待できます。

②オブラートに包んで服用する

オブラートで漢方薬を包んだ後、少量の水の入ったコップに入れて溶かします。数分後オブラートが徐々に溶け始めたあたりで水と一緒に飲み込むと、つるっとのどを通って漢方薬の味を感じずに服用しやすくなります。

漢方薬の上手な飲み方についてさらに詳しく知りたい方はこちら▼の記事もお読みください。

漢方薬の正しい飲み方は?上手に飲むコツや飲むときの注意点も解説

八味地黄丸の市販薬について

ドラッグストアの薬剤師

ここでは、病院に行く時間がない方や、まずは市販薬で気軽に試してみたい方向けに、薬局やドラッグストアで購入できる八味地黄丸の市販薬をご紹介します。

ツムラ漢方八味地黄丸料エキス顆粒A

ツムラ漢方八味地黄丸料エキス顆粒A
引用元:ツムラHP

お昼に服用なし:1日2回服用の顆粒タイプ

八味地黄丸エキスを有効成分とした漢方商品です。1日量として医療用漢方薬の1/2量の八味地黄丸エキスを配合しています。2歳以上から服用できます。

分類 第2類医薬品
効能効果 体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で、ときに 口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、 排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、 頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ
形状 顆粒剤
用法・用量 1日2回食前または食間に水またはお湯にて服用。
成人(15歳以上):1回1包
15歳未満7歳以上:1回2/3包
7歳未満4歳以上:1回1/2包
4歳未満2歳以上:1回1/3包
内容量 20包/48包

「クラシエ」漢方八味地黄丸料エキス錠

「クラシエ」漢方八味地黄丸料エキス錠
引用元:クラシエHP

顆粒剤が苦手な方へ:1日3回服用の錠剤タイプ

八味地黄丸エキスを有効成分とした漢方商品です。1日量として医療用漢方薬の約1/3量の八味地黄丸エキスを配合しています。7歳以上から服用できます。

分類 第2類医薬品
効能効果 体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で、ときに 口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、 排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、 頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ
形状 錠剤
用法・用量 1日3回食前または食間に水または白湯にて服用。
成人(15歳以上):1回4錠
15歳未満7歳以上:1回3錠
内容量 180錠/360錠/540錠

八味地黄丸に関するQ&A

FAQ

ここでは八味地黄丸に関するよくある質問にお答えします。

八味地黄丸は効果が出るまでどれくらいかかる?

個人差もありますが、一般に1ヶ月程度服用してから効果が出ているか確認することが多いです。1ヶ月以上服用しても、症状の改善を感じられない場合は体質や症状に合っていない可能性もあるので、主治医や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

八味地黄丸の市販薬と医療用医薬品の違いは?

八味地黄丸に配合されている生薬成分の種類は、「市販薬」と「医療用医薬品」で基本的に違いはありません。
しかし、市販薬は不特定多数の方が服用することから、安全性が考慮されて生薬エキスの配合量が医療用医薬品よりも少ない場合があります。
また、市販薬と医療用医薬品の八味地黄丸では、添付文書に記載されている効能・効果が多少異なります。

市販薬での八味地黄丸の効能・効果
体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ

医療用医薬品での八味地黄丸の効能・効果
疲労、倦怠感著しく、尿利減少または頻数、口渇し、手足に交互的に冷感と熱感のあるものの次の諸症: 腎炎、糖尿病、陰萎、坐骨神経痛、腰痛、脚気、膀胱カタル、前立腺肥大、高血圧

その他、漢方薬の服用や選び方について悩まれている方は、YOJOの薬剤師にも相談することができます。

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【参考文献】
[1]ツムラ八味地黄丸エキス顆粒
[2]松本薬剤師会 漢方薬の注意すべき副作用
[3]厚生労働省 ノコギリヤシ
[4]公益社団法人 福岡県薬剤師会 ノコギリヤシと相互作用がある医薬品は何か?