当帰芍薬散は、血行を良くして体を温める漢方薬です。更年期障害、月経不順、不妊症、妊娠中の症状など婦人科系の疾患でよく用いられるため、女性三大漢方薬のひとつとして知られています。
当帰芍薬散と他の薬を併用する場合は、以下の点に注意が必要です。
・当帰芍薬散は他の薬との飲み合わせで禁忌となる医薬品はありません。
・ただし、当帰芍薬散に含まれる生薬と他の漢方薬に含まれる生薬が重複しないよう注意する必要があります。
具体的な漢方薬やロキソニンやビタミン剤などとの併用については、以下の記事で薬剤師が詳しく解説いたします。
冷え性体質で、むくみや月経不順、更年期障害などでお悩みの方は、ぜひ一度YOJOの薬剤師にご相談ください。
Contents
- 1 当帰芍薬散と他の医薬品との飲み合わせで禁忌はある?
- 2 当帰芍薬散とは?体を温め、月経不順、更年期、冷え性に使用される漢方薬
- 3 当帰芍薬散の飲み合わせの注意点(生薬の重複に注意)
- 4 当帰芍薬散の飲み合わせに関してよくある質問
- 4.1 当帰芍薬散と麻黄湯の飲み合わせは?
- 4.2 当帰芍薬散と葛根湯の飲み合わせは?
- 4.3 当帰芍薬散と解熱鎮痛薬(ロキソニン)との飲み合わせは?
- 4.4 当帰芍薬散と苓桂朮甘湯の飲み合わせは?
- 4.5 当帰芍薬散と八味地黄丸の飲み合わせは?
- 4.6 当帰芍薬散と半夏厚朴湯の飲み合わせは?
- 4.7 当帰芍薬散と補中益気湯の飲み合わせは?
- 4.8 当帰芍薬散と人参養栄湯の飲み合わせは?
- 4.9 当帰芍薬散と六君子湯の飲み合わせは?
- 4.10 当帰芍薬散と桂枝茯苓丸の飲み合わせは?
- 4.11 当帰芍薬散と麦門冬湯の飲み合わせは?
- 4.12 当帰芍薬散とアレグラの飲み合わせは?
- 4.13 当帰芍薬散とビタミン剤やサプリメントの飲み合わせは?
- 4.14 当帰芍薬散と降圧剤、抗血小板薬、抗凝固剤などの飲み合わせ
- 5 当帰芍薬散を服用する際の注意点
- 6 当帰芍薬散に関するQ&A
- 7 当帰芍薬散はどんな症状に効果がある?
- 8 当帰芍薬散を服用する際の生活上のアドバイス
当帰芍薬散と他の医薬品との飲み合わせで禁忌はある?
当帰芍薬散の飲み合わせで禁忌の医薬品はありません。しかし、他の漢方薬と併用する場合は、飲み合わせに注意が必要です。飲み合わせの注意点については、以下で詳しく解説いたします。
禁忌のものはありませんが、当帰芍薬散と他の医薬品やサプリメントなどを一緒に服用する際には、必ず主治医や薬剤師に伝えましょう。
当帰芍薬散とは?体を温め、月経不順、更年期、冷え性に使用される漢方薬
当帰芍薬散とは、貧血、更年期障害、月経不順、不妊症、妊娠中の不調などに使用される漢方薬です。婦人科系の疾患でよく用いられるので、女性三大漢方薬のひとつとして知られています。
漢方医学では、「気・血・水」が不足なく、滞りなく巡ることで健康を保つと考えますが、当帰芍薬散は、「血(けつ)」の不足を補い、「水(すい)」の巡りも良くすることにより体を温める漢方薬です。
構成生薬
芍薬(しゃくやく)、沢瀉(たくしゃ)、蒼朮(そうじゅつ)または白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、川芎(せんきゅう)、当帰(とうき)
効能・効果
筋肉が軟弱で疲労しやすく、足腰が冷えやすい人の次の諸症:貧血、倦怠感、更年期障害(頭重、頭痛、めまい、肩こりなど)、月経不順、月経困難、不妊症、動悸、慢性腎炎、妊娠中の諸病(むくみ、習慣性流産、痔、腹痛)、脚気、半身不随、心臓弁膜症
当帰芍薬散が向いている人、向いていない人は?(加味逍遙散、桂枝茯苓丸との使い分け)
当帰芍薬散が向いている人の特徴は、色白で痩せ型、冷え性のタイプの人です。具体的には、痩せて体力のない虚証の人で、寒がりで冷え、貧血、むくみ、肩こり、脱力感がある人に向いています。
一方、向いていない人の特徴としては、がっちりとした体格で体力がある人です。
また、胃腸が弱い人が当帰芍薬散を服用すると、吐き気や腹痛、下痢などの消化器症状が現れる場合があります。
当帰芍薬散が合わない場合、
・比較的体力がある、貧血傾向は少ない、下腹部の痛みが強い→桂枝茯苓丸の方が向いている場合があります。
・精神不安・不眠などの神経症状が強い、さまざまな不定愁訴がある→加味逍遙散の方が向いている場合があります
漢方薬の効果を最大限に引き出すには、自分の体質に合ったものを選ぶことが重要です。漢方薬の選び方や体質改善のアドバイスが欲しい方は、YOJOの薬剤師に気軽に相談してください。
当帰芍薬散の飲み合わせの注意点(生薬の重複に注意)
当帰芍薬散には禁忌となる医薬品はありませんが、他の漢方薬を一緒に服用する場合には、構成生薬で共通のものが含まれないか注意する必要があります。
具体的には、芍薬(しゃくやく)、沢瀉(たくしゃ)、蒼朮(そうじゅつ)または白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、川芎(せんきゅう)、当帰(とうき)が重複していないか確認しましょう。
特に、当帰、川芎は胃腸障害の副作用が出やすい生薬で、さらに当帰は薬疹の副作用も報告されているので、注意が必要です。
当帰芍薬散の飲み合わせに関してよくある質問
以下では、具体的な漢方薬との飲み合わせについて詳しく解説いたします。
当帰芍薬散と麻黄湯の飲み合わせは?
麻黄湯(まおうとう)は風邪の初期症状やインフルエンザの治療に使用される漢方薬です。当帰芍薬散と麻黄湯では、重複する生薬がないため飲み合わせは問題ありません。
インフルエンザと麻黄湯に関する詳しい内容はこちら▼の記事で紹介しています。
当帰芍薬散と葛根湯の飲み合わせは?
葛根湯(かっこんとう)は風邪の初期症状や肩こりなどに使用される漢方薬です。当帰芍薬散と葛根湯では「芍薬」という共通の生薬が含まれています。芍薬で過敏症を起こしたことがなければ併用しても問題ないと考えられますが、生薬の量が増えることに注意し、念のため医師や薬剤師または登録販売者に相談してから服用しましょう。
葛根湯と他の医薬品との詳しい飲み合わせに関しては、こちら▼の記事で解説しています。
当帰芍薬散と解熱鎮痛薬(ロキソニン)との飲み合わせは?
当帰芍薬散とロキソニンなどの解熱鎮痛剤との飲み合わせは問題ありません。
当帰芍薬散と苓桂朮甘湯の飲み合わせは?
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)はめまい、ふらつき、立ちくらみやそうした症状のある神経症に用いられる漢方薬です。当帰芍薬散と苓桂朮甘湯には「茯苓」「蒼朮または白朮」という共通の生薬が含まれています。これらの生薬は水分代謝を整えて余分な水分を尿として排出させる働きがあるため、一緒に服用すると効果が高まり尿量が増加する可能性が考えられます。その他にも過敏症が起こる可能性もあります。
併用する場合は、医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。
めまいやふらつきの治療で使用される漢方薬は苓桂朮甘湯以外にもあります。詳しくはこちら▼の記事で紹介しています。
当帰芍薬散と八味地黄丸の飲み合わせは?
八味地黄丸(はちみじおうがん)は高齢者に用いられることが多い漢方薬で、寒がりで下半身の冷えや疲れ、腰痛、排尿困難などに使用されます。当帰芍薬散と八味地黄丸には「茯苓」という共通の生薬が含まれています。茯苓で過敏症を起こしたことがなければ併用しても問題ないと考えられますが、生薬の量が増えるため効果が強まり、尿量が増加したり過敏症を起こす可能性があります。併用する場合は、念のため医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。
当帰芍薬散と半夏厚朴湯の飲み合わせは?
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は精神的な不安を取り除いて心を落ち着かせる漢方薬です。不眠症やのどの違和感などに使用されます。当帰芍薬散と半夏厚朴湯には「茯苓」という共通の生薬が含まれています。茯苓で過敏症を起こしたことがなければ併用しても問題ないと考えられますが、生薬の量が増えるため効果が強まり尿量の増加や過敏症を起こす可能性があります。併用する場合は、念のため医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。
半夏厚朴湯の詳しい飲み合わせについては、こちら▼の記事で解説しています。
当帰芍薬散と補中益気湯の飲み合わせは?
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は元気を補う代表的な漢方薬で、病後の全身倦怠感、食欲不振などに使用されます。当帰芍薬散と補中益気湯には「当帰」「蒼朮または白朮」という共通の生薬が含まれています。そのため、一緒に服用すると胃もたれなどの胃腸障害や過敏症が起こる可能性があります。併用する場合は、医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。
当帰芍薬散と人参養栄湯の飲み合わせは?
人参養栄湯(にんじんようえいとう)は病後や産後の体力低下、食欲不振、咳などの症状がある人に用いられる漢方薬です。当帰芍薬散と人参養栄湯には、「当帰」「白朮」「茯苓」「芍薬」という共通の生薬が含まれています。重複している生薬が多いので、胃腸障害などの副作用が現れやすくなるため一緒に服用することはおすすめできません。
当帰芍薬散と六君子湯の飲み合わせは?
六君子湯(りっくんしとう)は体力がない人の胃腸の不調に用いられる漢方薬です。当帰芍薬散と六君子湯には「茯苓」「蒼朮または白朮」という共通の生薬が含まれています。茯苓や蒼朮または白朮で過敏症を起こしたことがなければ併用しても問題ないと考えられますが、生薬の量が増えるため効果が強まり尿量の増加や過敏症を起こす可能性があります。併用する場合は、念のため医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。
当帰芍薬散と桂枝茯苓丸の飲み合わせは?
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は当帰芍薬散と同様、女性三大漢方薬のひとつで、月経不順や月経困難症、更年期障害などに使用される漢方薬です。当帰芍薬散と桂枝茯苓丸には「芍薬」「茯苓」という共通の生薬が含まれています。芍薬や茯苓で過敏症を起こしたことがなければ併用しても問題ないと考えられますが、生薬の量が増えるため効果が強まり尿量の増加や過敏症を起こす可能性があります。併用する場合は、念のため医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。
桂枝茯苓丸とその他の医薬品との飲み合わせについては、こちら▼の記事で詳しく解説しています。
当帰芍薬散と麦門冬湯の飲み合わせは?
麦門冬湯(ばくもんどうとう)は体を内側から潤して咳を鎮める漢方薬です。当帰芍薬散と麦門冬湯には共通する生薬は含まれていないため、一緒に服用しても飲み合わせは問題ありません。
麦門冬湯とその他の医薬品との飲み合わせについては、こちら▼の記事で詳しく解説しています。
当帰芍薬散とアレグラの飲み合わせは?
アレグラなどの抗アレルギー薬と当帰芍薬散は相互作用は特にないので、一緒に服用しても問題ありません。
当帰芍薬散とビタミン剤やサプリメントの飲み合わせは?
ビタミン剤やサプリメントの中には、生薬成分を含む商品も存在します。当帰芍薬散と一緒に服用する場合には、当帰芍薬散に含まれる生薬と重複しないか成分表示をよく確認しましょう。不安な場合は、医師や薬剤師または登録販売者にご相談ください。
当帰芍薬散と降圧剤、抗血小板薬、抗凝固剤などの飲み合わせ
当帰芍薬散は、降圧剤、抗血小板薬、抗凝固薬などとの相互作用は報告されておらず、飲み合わせは問題ありません。
当帰芍薬散を服用する際の注意点
ここでは、当帰芍薬散に報告されている副作用、妊娠中・授乳中の服用について、おすすめの飲み方などを解説いたします。
一般的な副作用とその対処方法
当帰芍薬散の副作用には、以下のものが報告されています。全て頻度不明なので、起こりにくい副作用と考えられます。
過敏症:発疹、掻痒(皮膚のかゆみ)など
肝機能異常:AST、ALTなどの上昇
消化器症状:食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢など
過敏症の副作用が出た場合には、すぐに漢方薬の服用を中止し医療機関を受診しましょう。
消化器症状が出た場合には、食前に服用していた場合は食後に変更して様子を見る、それでも症状が変わらない場合は合っていない可能性が考えられるので、服用を中止し医療機関を受診しましょう。
妊娠中・授乳中でも服用できる?
安胎薬は、妊娠中のさまざまな病気を防いだり治療したりし、母体と胎児の健康な妊娠を支援する漢方薬の総称です。その中でも、当帰芍薬散は安胎薬として知られており、妊娠中に使用することができます。[1] ただし、使用する際には服用量や期間に注意し、症状の変化などを観察しながら、個々の健康状態や妊娠経過に合わせて主治医に相談することが重要です。
授乳中でも特に問題なく服用できますが、母乳への移行が気になる場合は授乳直後に服用するようにタイミングに気を付けましょう。
当帰芍薬散はいつまで飲むべき?長期間飲み続けても大丈夫?
服薬期間は症状と目的によりますが、一般的に服用し始めて1〜2週間位で効果が現れ始め、症状の改善は1〜3ヶ月で現れ始めます。
ただし、1ヶ月位服用しても症状が良くならない場合は服用を中止し、医師や薬剤師または登録販売者に相談してください。[2]
当帰芍薬散のおすすめの飲み方は?
当帰芍薬散は体を温める漢方薬なので、基本的には温かいお湯に溶かして服用するのがおすすめです。具体的には、顆粒剤や細粒剤などの粉薬は100ccくらいの熱湯に溶かして人肌程度の温度に冷めてから服用しましょう。
つわり中の方や漢方の匂いや味が苦手な方は、冷たい水で服用する方が飲みやすい場合があります。
飲むタイミングは、吸収を良くするために食前または食間(食事と食事の間2時間位)の空腹時に服用しましょう。ただし、当帰芍薬散には胃腸に負担のかかる生薬である「当帰」「川芎」が含まれているため、食前に服用して胃もたれや吐き気を感じる方は、食後に服用することで胃腸障害の副作用を軽減させることができます。
漢方薬を飲むのが苦手な方は、こちら▼の記事も参考になさってください。
当帰芍薬散に関するQ&A
ここでは、よく寄せられる当帰芍薬散に関する質問にお答えします。
ツムラとクラシエの当帰芍薬散の違いは?
医療用漢方薬のツムラとクラシエの製品の違いは、以下の表のようになります。
ツムラ当帰芍薬散エキス顆粒 | クラシエ当帰芍薬散エキス細粒 | |
成分 | (1日量7.5g中)シャクヤク4.0g、ブクリョウ4.0g、ソウジュツ4.0g、センキュウ3.0g、タクシャ4.0g、トウキ3.0g | (1日量6.0g中)シャクヤク6.0g、ブクリョウ4.0g、ビャクジュツ4.0g、センキュウ3.0g、タクシャ4.0g、トウキ3.0g |
剤形 | 顆粒剤 | 細粒剤 |
効能効果 | 筋肉が一体に軟弱で疲労しやすく、腰脚の冷えやすいものの次の諸症: 貧血、倦怠感、更年期障害(頭重、頭痛、めまい、肩こり等)、月経 不順、月経困難、不妊症、動悸、慢性腎炎、妊娠中の諸病(浮腫、 習慣性流産、痔、腹痛)、脚気、半身不随、心臓弁膜症 | 比較的体力が乏しく、冷え症で貧血の傾向があり、疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴える次の諸症: 月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ |
値段(薬価)1日量あたり | 約74円 | 約62円 |
両者の違いをまとめると、
・ツムラは「ソウジュツ」、クラシエは「ビャクジュツ」を使用
・ツムラは顆粒剤でクラシエは細粒剤なので、クラシエの方が粒が細かい
・効能効果にも少し違いがある
という点が挙げられます。
当帰芍薬散は痩せる効果がありますか?
当帰芍薬散は、血の不足を補い血行を良くして体を温め、余分な水を体外に排出させる働きがある漢方薬です。直接的には痩せる効果は報告されていませんが、冷え性やむくみが改善されることで痩せやすくなることが考えられます。
ダイエットにおすすめの漢方薬や体質別の選び方について、こちら▼の記事で詳しく解説しています。
当帰芍薬散は嗅覚障害に効果がありますか?
嗅覚障害のうち特に、風邪に罹った後の嗅覚障害に対して当帰芍薬散の効果が期待されています。感冒後嗅覚障害とは感冒が治った後でも嗅覚障害が続く状態のことで、嗅細胞の変性、脱落が原因によるものと推測されています。ただし、嗅細胞は再生することができるため、当帰芍薬散の神経栄養因子を増加させる作用が関与しているものと考えられています。[3]
嗅覚障害診療ガイドラインでも感冒後嗅覚障害に対する当帰芍薬散の投与が提案されています(エビデンスの強さ=C「弱」)。
風邪に罹った後の嗅覚障害に対して、このような臨床研究が報告されています。
「ステロイド点鼻を行っていた嗅覚障害患者の治療成績85例と当帰芍薬散投与症例46例との治療成績を比較した。治癒率では、当帰芍薬散投与症例で54%と有意に高い効果を示したのに対し、ステロイド点鼻群では治癒にまで至った症例は24%であった。(p<0.001)」志賀英明 他, 日鼻誌, 2010,49,72-73.
また、以下のような症例報告もされています。
「ステロイド点鼻薬に抵抗し漢方治療を行った97例(男性:32例、女性:65例)を対象とした。当帰芍薬散群31例、人参養栄湯群66例で、当帰芍薬散群は43%の症例が治癒または軽快し、人参養栄湯群は薬26%が治癒または軽快した。原因別に評価すると風邪罹患後症例では約36%の症例が治癒または軽快、原因不明症例では約25%の症例が軽快した。」内田淳 他, 頭頸部自律神経,2009,23,20-21.
当帰芍薬散は男性も服用できる?
当帰芍薬散は男性も服用することができます。冷え性があり貧血の症状がある人には男性でも有効性が得られることが多い漢方薬です。[4]
当帰芍薬散はどんな症状に効果がある?
当帰芍薬散は以下のような症状の改善に効果が期待できます。
- 貧血や倦怠感
- 更年期障害(頭痛、めまい、肩こり、ホットフラッシュなど)
- 月経不順、月経困難症
- 不妊症
- 冷え性
詳しくはこちら▼の記事で詳しく解説しています。
妊活や漢方に関して、詳しくはこちら▼の記事でご紹介しています。
妊活においては、自分の体質や症状に合った漢方薬を選ぶことで、健康な体づくりに寄与し、妊娠のための基盤を作るのに役立ちます。
YOJOでは、体質チェックを基に漢方薬の提案や生活習慣のアドバイスなどを行っています。ご質問やご相談がありましたら、お気軽にお知らせください。
当帰芍薬散を服用する際の生活上のアドバイス
ここでは、当帰芍薬散の効果をより高めるために気を付けたい生活上のポイントをご紹介します。
血を補い血行を良くする食材、利尿作用のある食材がおすすめ
当帰芍薬散が適しているのは、血が不足している「血虚」体質、血の巡りが悪い「瘀血」体質、そして体内の水分バランスが乱れている「水毒」体質の人です。そのため、血を補う食材や血行を良くする食材、さらに利尿作用のある食材を摂ることがおすすめです。
血を補う食材
れんこん、山芋、ほうれん草、大豆、うなぎ、イカ、タコ、牡蠣、鶏肉、卵、牛乳、豆乳など
血行を良くする食材
栗、桃、里芋、こんにゃく、チンゲン菜、セロリ、黒豆、アサリ、米酢、シナモン、日本酒など
利尿作用のある食材
とうもろこしのひげ、いちご、スイカ、マンゴー、キウイ、ぶどう、パイナップル、アスパラガス、きゅうり、昆布、海苔、コーヒー、ココア、緑茶、紅茶など
体を冷やさないようにする
当帰芍薬散を服用する人は冷え性の人が多いので、体を冷やさないように心掛けることが大切です。食べ物や飲み物も温かい状態で摂るようにしましょう。湯船に浸かることも効果的です。ただし、血虚の体質の人は熱いお湯での長風呂は立ちくらみの原因にもなるので注意しましょう。
過剰な水分摂取を控える
水毒を悪化させないようにするためには、過剰な水分摂取を控えることが大切です。のどが渇いたら、一気にたくさん飲むのではなく、口を湿らせるために一口ずつ含んで、ゆっくりと飲むように心がけましょう。
【参考文献】
[1]公益社団法人福岡県薬剤師会 妊婦への投与に注意が必要な漢方薬
[2]当帰芍薬散の確認票
[3]嗅覚障害診療ガイドライン 日本鼻科学会会誌 56 巻第 4 号 2017 年発行
[4]漢方スクエア No.9血液疾患 貧血
[5]産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編2020
[6]日本東洋医学会EBM委員会エビデンスレポートタスクフォース 安井敏之, 苛原稔, 青野敏博, ほか. 排卵障害患者に対するクロミフェン・当帰芍薬散併用
療法の有用性の検討. 日本不妊学会雑誌 1995; 40: 83-91.