桂枝茯苓丸の飲み合わせで注意するものは?飲み方や他の漢方薬との併用も解説

肩こり 女性

桂枝茯苓丸は血行を改善して、月経不順や更年期障害、頭痛、肩こり、めまいなどの改善に使用される漢方薬です。婦人科系の疾患でよく用いられるので女性三大漢方薬のひとつとしても知られています。

桂枝茯苓丸の飲み合わせでは以下の点に注意が必要です。

・桂枝茯苓丸は他の薬との飲み合わせで禁忌となる医薬品はありません。

・ただし、桂枝茯苓丸に含まれる生薬と他の漢方薬に含まれる生薬が重複しないよう注意する必要があります。

具体的な漢方薬や鎮痛薬などとの飲み合わせについては、以下の記事で薬剤師が詳しく解説していきます。

月経不順や月経痛、更年期障害、頭痛、肩こり、ホットフラッシュ、冷えのぼせなどの症状でお悩みの方は、ぜひYOJOの薬剤師にご相談ください。

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Contents

桂枝茯苓丸との飲み合わせで注意するものはある?併用禁忌は?

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桂枝茯苓丸と他の医薬品との飲み合わせで併用禁忌はありません。ただし、他の漢方薬と併用する場合には、構成生薬である「桂皮(けいひ)」、「芍薬(しゃくやく)」、「桃仁(とうにん)」、「茯苓(ぶくりょう)」、「牡丹皮(ぼたんぴ)」の重複がないように注意が必要です。
西洋薬との飲み合わせで注意するものもありません。
具体的な医薬品との飲み合わせについて、詳しくは以下で解説していきます。

桂枝茯苓丸とは?月経不順、更年期障害、冷え性に使用される漢方薬

漢方生薬

桂枝茯苓丸とは、血の巡りを改善する漢方薬です。そのため、月経不順、更年期障害、冷えのぼせなどの婦人科系の症状で用いられることが多く、女性三大処方のひとつとして知られています。

血の巡りが悪い状態である「瘀血(おけつ)」は女性だけでなく男性にもみられるので、男女問わず全般的な血行不良を原因とする症状の改善に使用されます。

瘀血とは・・・漢方の概念のひとつで、血の巡りが悪く、停滞している状態のことです。西洋医学的には主として婦人科疾患、出血性疾患などに起こり、静脈系のうっ血、出血などに関連した症候群をいいます。(日本医師会発行、医薬品カードより)[1]

配合生薬
桂皮(けいひ)、芍薬(しゃくやく)、桃仁(とうにん)、茯苓(ぶくりょう)、牡丹皮(ぼたんぴ)

服用がおすすめの人
体力が中くらいかそれ以上の人で、のぼせて赤ら顔の人に向いています。血行不良を原因とする頭痛、肩こり、めまい、のぼせ、足の冷え、無月経、過多月経、月経困難などの月経異常、更年期障害、子宮内膜炎などに用いられます。その他にも、打撲傷、痔疾患、睾丸炎などにも使用されます。

桂枝茯苓丸の飲み合わせに関してよくある質問

質問に答える薬剤師

以下では、具体的な漢方薬や医薬品との飲み合わせについて詳しく解説いたします。

桂枝茯苓丸加ヨクイニンとの違いは?飲み合わせは?

桂枝茯苓丸加ヨクイニンという漢方薬は、「桂枝茯苓丸」に「ヨクイニン」という生薬が加わった漢方薬です。効能効果としては、月経不順、にきび、しみ、手足の荒れに効果が期待できます。皮膚症状や炎症が強い場合は、桂枝茯苓丸加ヨクイニンが選ばれる傾向があります。桂枝茯苓丸加ヨクイニンと桂枝茯苓丸を一緒に服用すると、大部分の生薬が重複しているため肝機能障害、過敏症、消化器症状などの副作用が出る可能性があります。通常は併用することはないので、症状や体質によってどちらかを服用しましょう。
詳しくは医師、薬剤師または登録販売者にご相談ください。

五苓散(ごれいさん)との飲み合わせは?

五苓散は体内の水分バランスを整え、むくみ、頭痛、めまいなどを改善する漢方薬です。桂枝茯苓丸と五苓散の中には、「茯苓」「桂皮」という共通の生薬が含まれています。したがってこれらを同時に服用すると、尿量の増加などの効果が高まる可能性や過敏症による皮膚の湿疹などが現れる可能性があるため注意が必要です。
併用する場合には、医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

五苓散についての詳しい飲み合わせに関しては、こちら▼の記事でも紹介しています。

五苓散の飲み合わせで禁忌のものは?他薬との併用やおすすめの飲み方も解説

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)との飲み合わせは?

防已黄耆湯は、水分代謝が悪く、水太り傾向がある人のための漢方薬です。この漢方薬は、肥満、むくみ、多汗症などに対処するために使われます。一方で、桂枝茯苓丸と防已黄耆湯には共通の生薬が含まれていないので、基本的に同時に服用しても問題はありません。

ただし、防已黄耆湯は主に体力が不足している人(虚証)に向いており、桂枝茯苓丸は体力が中程度から十分にある人(実証)に向いています。そのため、個人の体力状態に応じて、どちらの漢方薬を選択するかを検討することが重要です。同時に服用することはあまり一般的ではありません。

葛根湯(かっこんとう)との飲み合わせは?

葛根湯は風邪のひき始め、乳腺炎、肩こりなどで使用される漢方薬です。桂枝茯苓丸と葛根湯の中には、「芍薬」「桂皮」という共通の生薬が含まれています。したがってこれらを同時に服用すると、過敏症による皮膚の湿疹などが現れる可能性があるため注意が必要です。場合によっては短期間で併用することもあるので、詳しくは医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

葛根湯の飲み合わせについては、こちら▼の記事で詳しく解説しています。

葛根湯と他の薬との飲み合わせを解説/ロキソニン・アレグラなどとの併用はOK?

抑肝散(よくかんさん)との飲み合わせは?

抑肝散は神経症、不眠症、小児の夜泣きなどで使用される漢方薬です。桂枝茯苓丸と抑肝散の中には、「茯苓」という共通の生薬が含まれています。したがってこれらを同時に服用すると、尿量の増加などの効果が高まる可能性や過敏症による皮膚の湿疹などが現れることがあるため注意が必要です。茯苓は一般的には副作用が起こりにくい生薬ではありますが、併用する場合には、医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

加味逍遙散(かみしょうようさん)との飲み合わせは?

加味逍遙散も女性三大漢方薬のひとつで、精神不安がある人の月経不順や更年期障害などに使用されます。桂枝茯苓丸と加味逍遙散の中には、「茯苓」「牡丹皮」という共通の生薬が含まれています。したがってこれらを同時に服用すると、尿量の増加などの効果が高まる可能性や過敏症が現れることがあるため注意が必要です。併用する場合は、医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)との飲み合わせは?

半夏厚朴湯は喉のつまり感がある人の不安神経症や不眠症などに使用される漢方薬です。桂枝茯苓丸と半夏厚朴湯の中には、「茯苓」という共通の生薬が含まれています。したがってこれらを同時に服用すると、尿量の増加などの効果が高まる可能性や過敏症が現れることがあるため注意が必要です。茯苓は一般的には副作用の起きにくい生薬ではありますが、併用する場合は、医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

半夏厚朴湯飲み合わせについては、こちら▼の記事で詳しく解説しています。

半夏厚朴湯の飲み合わせで禁忌のものはある?他の薬やサプリとの飲み合わせも解説

大柴胡湯(だいさいことう)との飲み合わせは?

大柴胡湯は便秘がちな人の消化器の不調に使用される漢方薬で、肥満症の治療にも用いられます。桂枝茯苓丸と大柴胡湯の中には、共通する生薬は含まれないため同時に服用しても飲み合わせは問題ありません。

六君子湯(りっくんしとう)との飲み合わせは?

六君子湯は胃腸が弱い人の食欲不振、胃もたれなどの胃腸の不調に使用される漢方薬です。桂枝茯苓丸と六君子湯の中には、「茯苓」という共通の生薬が含まれています。したがってこれらを同時に服用すると、尿量の増加などの効果が高まる可能性や過敏症が現れることがあるため注意が必要です。茯苓は一般的には副作用の起きにくい生薬ではありますが、併用する場合は医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)との飲み合わせは?

小青竜湯はサラサラした水のような鼻水が出るアレルギー性鼻炎や風邪症状に使用される漢方薬です。桂枝茯苓丸と小青竜湯の中には、「桂皮」「芍薬」という共通の生薬が含まれています。したがってこれらを同時に服用すると、過敏症による皮膚の湿疹が起こる可能性があるため注意が必要です。併用する場合は、医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

小青竜湯の飲み合わせについては、こちら▼の記事で詳しく解説しています。

小青竜湯の飲み合わせで禁忌のものは?他の漢方薬や風邪薬との併用も解説

温経湯(うんけいとう)との飲み合わせは?

温経湯は、月経不順や更年期障害などの婦人科系の不調によく使用される漢方薬です。桂枝茯苓丸と温経湯の中には、「桂皮」「芍薬」「牡丹皮」という共通の生薬が含まれています。したがってこれらを同時に服用すると、過敏症による皮膚の湿疹が起こる可能性があるため注意が必要です。併用する場合は、医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)との飲み合わせは?

苓桂朮甘湯はめまい、立ちくらみ、ふらつき、頭痛、神経症などに使用される漢方薬です。桂枝茯苓丸と苓桂朮甘湯の中には、「茯苓」「桂皮」という共通の生薬が含まれています。したがってこれらを同時に服用すると、過敏症による皮膚の湿疹が起こる可能性があるため注意が必要です。併用する場合は、医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)との飲み合わせは?

防風通聖散は、お腹に脂肪が多く便秘がちな人の肥満症に使用される漢方薬です。桂枝茯苓丸と防風通聖散の中には、「芍薬」という共通の生薬が含まれています。「芍薬」で過敏症の既往がなければ同時に服用しても問題ないと考えられますが、一緒に服用することで配合生薬が多くなり、副作用が出た際にどの生薬が原因かがわかりにくくなるという問題点もあります。
そのため、併用する場合は念のため医師や薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

肥満の治療に用いられる漢方薬については、こちら▼の記事で詳しく解説しています。

肥満に漢方薬は効果的?体質別の選び方や正しい使用方法を解説

鎮痛剤(ロキソニン、カロナールなど)との飲み合わせは?

ロキソニンやカロナールなどの鎮痛剤と桂枝茯苓丸を同時に服用することは一般的に問題ありません。月経困難症などで腹痛がある場合、通常は桂枝茯苓丸を体質改善のために日常的に服用し、腹痛が発生した際には鎮痛剤も使用することがあります。
ただし、桂枝茯苓丸を処方されている際に、自分で鎮痛剤を服用する場合は、その旨を主治医や薬剤師に必ず伝えるようにしましょう。

風邪薬との飲み合わせは?

桂枝茯苓丸と病院で処方される風邪薬との飲み合わせは、基本的には問題ありません。ただし、市販の風邪薬の中には、葛根湯の成分を含むものや生薬成分を含む商品も存在します。そのため、市販の風邪薬を購入する際には、桂枝茯苓丸の配合生薬と共通する成分がないかしっかり確認する必要があります。心配な方は、薬剤師や登録販売者に相談しましょう。

サプリメントとの飲み合わせは?

桂枝茯苓丸とビタミン剤などのサプリメントとの飲み合わせは、基本的には問題ありません。しかし、サプリメントの中にも、生薬成分を含むものが存在するので飲み合わせには注意が必要です。サプリメントを購入の際には、桂枝茯苓丸の配合生薬と共通する成分がないかしっかり確認しましょう。心配な方は、薬剤師や登録販売者に相談しましょう。

ピルとの飲み合わせは?

桂枝茯苓丸とピルとの飲み合わせは基本的には問題ありません。ただし、一緒に服用する際は主治医に必ず伝えるようにしましょう。

桂枝茯苓丸を飲む時の注意点

注意点

こちらでは、桂枝茯苓丸の副作用、妊娠中・授乳中の服用などの注意点をご紹介します。

桂枝茯苓丸のおすすめの飲み方(タイミング・温めて服用)

桂枝茯苓丸は血行不良を改善する漢方薬であるため、基本的には温かい状態で服用するのがおすすめです。顆粒剤などの粉薬であれば、そのままぬるま湯で服用するか、熱湯に溶かして人肌程度に冷ましてから服用しましょう。

桂枝茯苓丸は桂皮が含まれているため、シナモンの香り・風味がします。シナモンが苦手な方はお湯に溶かすと香りが強調されるので、冷たい水で服用するのが良いでしょう。

漢方薬を服用するのが苦手な方は、こちら▼の記事で漢方薬の飲み方の工夫についてご紹介しています。

漢方薬の正しい飲み方は?上手に飲むコツや飲むときの注意点も解説

桂枝茯苓丸の副作用は?

重大な副作用として、肝機能障害が報告されています。具体的には、AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、γ-GTPの上昇などを伴う肝機能障害、黄疸が現れることがあります。このような異常が現れた際には、すぐに服用を中止し医療機関を受診しましょう。

その他の副作用は、皮膚の発疹や発赤、かゆみなどの過敏症、食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢などの消化器症状が報告されています。このような症状が現れた場合にも、すぐに服用を中止し医療機関を受診しましょう。

桂枝茯苓丸が合わない人は?合わなかった場合どうすればよい?

桂枝茯苓丸が合わない人は、胃腸が弱く、体力が低下している虚証の方です。このタイプの方が桂枝茯苓丸を服用すると、食欲不振、悪心、下痢などの消化器症状の副作用が出やすくなります。
もし桂枝茯苓丸を飲んでから消化器症状が現れた場合、食事の後に服用することを試してみるのが一つの解決策になる場合があります。しかし、それでも改善しない場合は、桂枝茯苓丸が体質に合っていない可能性があります。その際は、すぐに服用を中止し、主治医や薬剤師に相談しましょう。
再び体質を診てもらい、より適した漢方薬の提案を受けることも重要です。自身に合った漢方薬を見つけるためには、専門家のアドバイスを受けることが大切です。

YOJOでは漢方に詳しい薬剤師が体質チェックをもとに、あなたに合った漢方薬をご提案いたします。お気軽にご相談くださいね。

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桃アレルギー・シナモンがある人は過敏症を起こす可能性も

桂枝茯苓丸には「桂皮」「桃仁」という生薬が含まれています。桂皮はシナモンのことで、桃仁は桃の種を乾燥させたものです。実際に漢方薬を服用して食物アレルギーを発症することはまれですが、桃アレルギー・シナモンアレルギーをお持ちの方は過敏症を起こす可能性があるので、注意が必要です。[2]

妊娠中・授乳中は服用してもよい?

桂枝茯苓丸は「桃仁(とうにん)」「牡丹皮(ぼたんぴ)」を含むため、流早産の危険性があるため、原則として妊娠中には服用してはいけません。[3] また桂枝茯苓丸は別名「催生湯」ともいい、分娩促進にも使われることもあります。しかし、子宮筋腫の人が妊娠して出血がある場合には医師の指示のもと服用する場合もあります。
授乳中は特に問題なく服用できますが、母乳への移行が心配な場合は授乳直後に服用するようにタイミングに気を付けましょう。

桂枝茯苓丸に関するQ&A

疑問をもつ女性

桂枝茯苓丸に関するよくある質問にお答えします。

桂枝茯苓丸は効果が出るまでどのくらいかかる?

基本的には2週間頃から効果を感じ始め、1ヶ月服用して効果が出ているか確認することが多いです。1ヶ月以上服用しても、症状の改善を感じられない場合は体質に合っていない可能性もあるので、主治医や薬剤師又は登録販売者に相談しましょう。

桂枝茯苓丸はホルモンバランスを整える働きがありますか?

桂枝茯苓丸についての研究はまだ初期段階ですが、既にホルモンに対する調節作用が示唆されています。

幼若雌ラットに桂枝茯苓丸を経口投与したところ、血症LH、FSHおよびエストラジオールが減少した。また、子宮湿重量および子宮チミジンキナーゼ活性上昇が抑制した。Sakamoto,S.et al.,J. Ethnopharmacol.,1988,23,151-158[1]

桂枝茯苓丸は瘀血(おけつ)を改善しますか?

桂枝茯苓丸は瘀血を改善する代表的な漢方薬です。瘀血とは体内を流れる血(けつ)の流れが滞って病的状態にあることをいいます。漢方の「血(けつ)」とは、血液、血液循環、血液の機能を総合した概念です。

瘀血の具体的な症状としては以下が挙げられます。

頭痛、めまい、ホットフラッシュ、口乾、腹部膨満感、手足の先の冷え、月経異常、排卵異常、不妊、更年期障害、痔、静脈瘤、舌の裏の血管が青紫色、皮膚がどす黒いなど

桂枝茯苓丸はむくみに効きますか?

桂枝茯苓丸は、瘀血によるうっ血を取り去る作用があり、特に「茯苓(ぶくりょう)」という成分が含まれています。この生薬には気や水の滞りを改善する効果もあります。ですので、桂枝茯苓丸を継続して服用することで、むくみの改善が期待できます。

桂枝茯苓丸は子宮筋腫に効きますか?

以下のようなエビデンスから子宮筋腫の縮小効果が報告されています。しかし、効き目は証(漢方での体質)との関わりが深いとされ、全ての子宮筋腫に効果があるわけではありません。

桂枝茯苓丸の子宮筋腫に対する縮小効果を検討した非ランダム化比較試験があります。56例の子宮筋腫のうち、22例に桂枝茯苓丸を連日投与し、無治療経過観察群34例と比較しました。子宮筋腫重量は腹部超音波検査にて測定し、開始時、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月の子宮重量の比較により効果を測定しました。その結果、桂枝茯苓丸群は3ヶ月後から有意差をもって筋腫が縮小し始め、観察した24ヶ月まで有意差をもって縮小しました。推定子宮重量でみると、12ヶ月後には無治療経過観察群が117.9%に増大したのに比べ、桂枝茯苓丸は76.8%に縮小しました。井上滋夫 他,産婦漢方研のあゆみ、1997,14,59-62 [1]

桂枝茯苓丸でシミは消えますか?

桂枝茯苓丸には血の巡りを改善する働きがあるため、シミの改善効果も期待できます。しかし、桂枝茯苓丸だけの内服でシミが消えるのは難しい場合があります。シミの治療には、桂枝茯苓丸にヨクイニンを加えた桂枝茯苓丸加ヨクイニンが処方されることも多いです。詳しくは、シミの状態にもよりますので皮膚科専門医に相談することをおすすめいたします。

桂枝茯苓丸は痩せる効果はあるの?

桂枝茯苓丸には直接的に痩せる効果はありませんが、血行を改善することによりむくみや冷え性が改善され痩せやすくなる可能性はあります。実際に、のぼせや肩こりなどの不定愁訴が改善されることにより痩せやすくなった人もいます。大切なのは、自分の体質に合った漢方薬を服用して不定愁訴や不調を改善することです。
肥満症の治療として使用される代表的な漢方薬には、防風通聖散、防已黄耆湯、大柴胡湯などがあります。

ダイエットの効果が期待できる漢方薬については、こちら▼の記事で詳しく解説しています。

漢方はダイエットに効果的?おすすめ漢方薬や体質別の選び方を紹介

桂枝茯苓丸は太る副作用がありますか?

桂枝茯苓丸の服用による体重増加の副作用は報告されていません。

桂枝茯苓丸は男性でも服用できますか?

男性でももちろん服用できます。桂枝茯苓丸は、近年の研究で末梢の血流を改善する作用が確かめられ、高血圧の随伴症状(頭痛、のぼせなど)や糖尿病の合併症の改善に用いられたり、脳血管障害の慢性期に用いられることもあります。動脈硬化の進行抑制につながる作用も知られています。これは、構成生薬の「牡丹皮」の抗血小板作用が関与していると考えられています。[4] また、男性では痔疾患や睾丸炎の治療にも使用されることがあります。

桂枝茯苓丸はどんな時に使われる?効果・効能

腹痛女性

桂枝茯苓丸は具体的にはどのような症状の時に使用されるのでしょうか。症状別に詳しく解説いたします。

月経不順・月経困難症

腹痛の女性

月経困難症とは月経に伴い起こる病的な症状のことで、具体的な症状としては月経時あるいは月経直前から始まる強い下腹部痛や腰痛を主症状として、吐き気、頭痛、疲労感、イライラ、下痢、憂鬱などの症状が見られます。[5]
桂枝茯苓丸は月経困難症の症状の中でも、下腹部痛がある女性に適しています。また、20代後半から増えてくる傾向のある子宮内膜症・子宮筋腫などの疾患に伴う月経困難症の治療に選ばれることが多い漢方薬です。
桂枝茯苓丸は長期間服用することにより、「瘀血」体質を改善し月経困難症の症状を起こりにくくしていくのが一般的ですが、月経時の短期間の服用でも効果があることが報告されています。[6] 

更年期障害(頭痛、めまい、ホットフラッシュ、肩こりなど)

更年期障害とは閉経前後の約10年間に起こる心身の不調が日常生活に支障をきたす状態のことをいいます。具体的な症状としては、頭痛、めまい、ホットフラッシュ、肩こり、気分の落ち込み、イライラなどさまざまな症状が挙げられます。

桂枝茯苓丸は更年期障害の症状の中でも特に、上半身はのぼせるのに下半身は冷える「冷えのぼせ」の症状や、肩こり、頭痛、めまいがある人に効果が期待できます。

更年期の症状に用いられる漢方薬について詳しく知りたい方にはこちら▼の記事がおすすめです。

更年期障害におすすめの漢方薬とは?症状や体質別の選び方も解説

冷え性

桂枝茯苓丸は、冷え性の中でも血行不良型に用いられる漢方薬です。特に、上半身はのぼせるのに下半身は冷える「冷えのぼせ」の症状がある人に向いています。

冷え性に効果的な漢方薬については、こちら▼の記事で詳しくご紹介しています。

冷え性の漢方薬の選び方は?タイプ別のおすすめ漢方薬・養生法を解説

子宮内膜症

子宮内膜症とは、子宮内膜の組織が本来あるべき子宮の内側以外の場所で増えていく疾患です。月経時の血液が排出されることなく溜まってしまったり、周囲の組織とくっついてさまざまな痛みを伴います。

桂枝茯苓丸だけで子宮内膜症を治療することは難しいですが、子宮内膜症に伴う月経痛の軽減や症状の悪化防止のために役立ちます。また、挙児希望でホルモン剤での治療が難しい場合の選択肢のひとつとして使用されることもあります。

皮膚トラブル(ニキビ、クマ、しみ、湿疹、皮膚炎など)

皮膚は内臓の鏡と言われるように、血行不良は皮膚の新陳代謝を遅らせ、くすみやクマ、しみ、にきびなどの原因になることがあります。桂枝茯苓丸を服用することで、血液の循環が良くなり、皮膚トラブルの改善に寄与することが期待されます。ニキビに対して使用する場合、桂枝茯苓丸が適しているかどうかは月経不順があるかが一つの目安になります。
一方で、アトピー性皮膚炎や慢性湿疹に見られる苔癬化(皮膚が厚くなり硬くなり、凹凸が生じる状態)は、漢方医学では「瘀血」の状態と見なされます。従って、桂枝茯苓丸を服用することで瘀血を改善し、皮膚炎による苔癬化した状態を改善させる可能性があります。

実際、臨床試験でもアトピー性皮膚炎の患者さんに使用している薬剤に加えて桂枝茯苓丸を9〜67週間投与したところ、高い苔癬化スコアの患者さんは顕著に改善し、抗ヒスタミン薬が不要になった例もあるとの報告があります。[7]

アトピー性皮膚炎と漢方についてはこちら▼の記事で詳しく解説しています。

アトピー性皮膚炎の漢方治療とは?漢方薬の選び方やおすすめ養生法も解説

打撲傷

打撲とは、転倒などで体に強い衝撃を受け、皮下組織や筋肉が損傷することを指します。内出血が生じ、次第に痛みが現れることがあります。
内出血が凝固したものを血腫と呼びますが、漢方医学ではこれを「瘀血」と考えています。したがって、桂枝茯苓丸には瘀血を改善する作用があり、それによって打撲による内出血の早期回復が期待できます。

痔疾患

痔の中でも、いぼ痔とは肛門の静脈叢と呼ばれる血管の集まりがうっ血することにより起こります。そのため、塗り薬などの外用薬と桂枝茯苓丸を一緒に使うと効果的である場合があります。

桂枝茯苓丸のおすすめ市販薬

ドラッグストア薬剤師と患者

病院に行く時間がない方、まずは市販薬で気軽に試してみたい方向けに、薬局やドラッグストアで購入できる市販薬をご紹介します。

ツムラ漢方桂枝茯苓丸料エキス顆粒A

引用元:ツムラHP

お昼に服用なし:1日2回服用の顆粒タイプ

桂枝茯苓丸エキスを有効成分とした商品です。1日量として医療用漢方薬の1/2量の桂枝茯苓丸エキスを配合しています。2歳以上から服用できます。

分類 第2類医薬品
効能効果 比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症: 月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症注)、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび
形状 顆粒剤
用法・用量 1日2回食前に服用。
成人(15歳以上):1回1包
15歳未満7歳以上:1回2/3包
7歳未満4歳以上:1回1/2包
4歳未満2歳以上:1回1/3包
内容量 20包/48包

「クラシエ」漢方桂枝茯苓丸料エキス錠

引用元:クラシエHP

粉薬が苦手な方へ:1日3回服用の錠剤タイプ

桂枝茯苓丸エキスを有効成分とした商品です。1日量として医療用漢方薬の1/2量の桂枝茯苓丸エキスを配合しています。7歳以上から服用できます。

分類 第2類医薬品
効能効果 比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび
形状 錠剤
用法・用量 1日3回食前又は食間に水又は白湯にて服用。
成人(15歳以上):1回2錠
7歳以上15歳未満:1回1錠
内容量 48錠

桂枝茯苓丸を服用する際の生活上のアドバイス

伸びをする女性

ここでは、桂枝茯苓丸の効果をより高めるためにできる生活上のポイントをご紹介いたします。

瘀血を改善する食材を摂る

桂枝茯苓丸を服用する方は瘀血体質であるため、漢方薬の服用と同時に血行を良くする食材を摂るように心がけましょう。

具体的には以下のようなものがあります。

血行を良くする食材

黒豆、クレソン、玉ねぎ、チンゲンサイ、にら、バジル、みょうが、ブルーベリー、カカオ、いわし、鮭、さんま、酢、甘酒など

ストレスをためないようにリフレッシュ方法を見つける

ストレスは血行不良の悪化につながります。毎日の時間の中で少しでも良いのでリフレッシュする時間を設けましょう。瘀血体質の人は特に骨盤内の血行が滞りやすいので、ストレッチや軽い運動で骨盤内の血行を良くするのも効果的です。

体を冷やさないようにする

体が冷えると血行が悪くなります。だからこそ、適切な服装で体温を保ち、暖房を上手に利用することが重要です。特に首、手首、足首を温かく保つことは大切です。お風呂に入る際には、湯船に浸かるように心がけましょう。

YOJOでは、漢方薬の相談だけでなく生活習慣や食事のアドバイスも行っております。ぜひお気軽にご相談くださいね。

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【参考文献】

[1]伊藤美千穂 編著 エビデンス・ベース漢方薬活用ガイド第2版
[2]日本漢方生薬製剤協会 漢方服薬指導Q&A
[3]公益社団法人福岡県薬剤師会 妊婦への投与に注意が必要な漢方薬
[4]漢方スクエア
[5]公益社団法人 日本産婦人科医会 月経困難症
[6]漢方スクエア 月経困難症に使ってみよう
[7]Qlife漢方 アトピー性皮膚炎に知っておきたい桂枝茯苓丸~アトピー性皮膚炎による慢性期苔蘚化に対する桂枝茯苓丸の有効性~