小青竜湯(しょうせいりゅうとう)は、水のような鼻水が出る風邪症状、アレルギー性鼻炎、花粉症などに効果がある漢方薬です。眠気の副作用がないため、鼻炎でお悩みの方にとって選択肢の一つとして役立ちます。
小青竜湯を服用する際、他の風邪薬や漢方薬との併用について気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、
・小青竜湯との飲み合わせで禁忌のもの
・小青竜湯と他の医薬品との飲み合わせ
・小青竜湯を飲む時の注意点
などについて薬剤師が解説いたします。
アレルギー性鼻炎や花粉症でお悩みの方はぜひ一度YOJOの薬剤師にご相談ください。今服用中の薬との飲み合わせについてもお答えしています。
Contents
小青竜湯とは?風邪やアレルギー性鼻炎に用いられる漢方薬
小青竜湯は、アレルギー性鼻炎による鼻水・鼻詰まりや、くしゃみや鼻水が主な症状である風邪の時に用いられる漢方薬です。特に、水のようにサラサラとした鼻水や痰に効果があります。この漢方薬は眠気の副作用がなく、アレルギー症状を和らげる働きがあります。
構成生薬
半夏(はんげ)、甘草(かんぞう)、桂皮(けいひ)、五味子(ごみし)、細辛(さいしん)、芍薬(しゃくやく)、麻黄(まおう)、乾姜(かんきょう)
服用がおすすめの人
体力が中くらいの人に向いていて、喘鳴(呼吸をする時にヒューヒュー、ゼーゼーと音がする)、咳、呼吸困難、鼻症状などを訴える人の、ネバネバしていない水っぽい痰や鼻水、くしゃみなどの症状に用いられます。
小青竜湯の飲み合わせで禁忌のものはある?
小青竜湯には、他の漢方薬や医薬品との飲み合わせで禁忌(服用してはいけない)はありません。ただし、次の疾患や症状がある場合、小青竜湯の服用により症状が悪化する可能性があるため禁忌とされています。
禁忌①アルドステロン症の患者
アルドステロン症とは副腎からアルドステロンというホルモンが自律的に過剰分泌される病気です。高血圧患者の5%程度にアルドステロン症の人がいると言われています。[1]
禁忌②ミオパチーのある患者
ミオパチーとは、筋肉の病気のことです。筋肉自体がやられて、筋力が低下する症状が現れます。[2]
禁忌③低カリウム血症のある患者
低カリウム血症とは、血液中のカリウムが低下する病気で、手足のだるさ、こわばり、力が抜ける感じ、筋肉痛などが現れます。
小青竜湯の飲み合わせの注意点
小青竜湯には「麻黄(まおう)」と「甘草(かんぞう)」が含まれています。そのため以下の医薬品との飲み合わせは禁忌ではありませんが、注意する必要があります。
麻黄の重複に注意
麻黄にはエフェドリンが含まれており、交感神経刺激作用があります。そのため、大量に摂取すると不眠、精神興奮、動悸、頻脈、全身脱力感、血圧上昇などの副作用が生じる可能性があります。以下の医薬品と併用する際には、投与量を減らすなどの対処が必要です。医師や薬剤師に相談してから併用するようにしましょう。
飲み合わせに注意が必要な医薬品
麻黄含有製剤、エフェドリン類含有製剤、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤、甲状腺製剤(チロキシン、リオチロニン)、カテコールアミン製剤(アドレナリン、イソプレナリン)、キサンチン系製剤(テオフィリン、ジプロフィリン)
その他、風邪薬や市販薬の成分にも注意が必要です。
また、以下の疾患をお持ちの方は小青竜湯を服用する際には医師や薬剤師に相談することが大切です。症状が悪化する可能性があります。
胃腸障害、排尿障害(前立腺肥大の人は特に注意)、重度高血圧、甲状腺機能亢進症、狭心症・心筋梗塞等の循環器系の疾患、高度の腎障害
甘草の重複に注意
甘草の主成分はグリチルリチンで、大量に摂取するとむくみ、高血圧、低カリウム血症(偽アルドステロン症)などが起こる可能性があります。以下の医薬品を併用する際には、医師や薬剤師に相談する必要があります。
飲み合わせに注意が必要な医薬品
甘草含有製剤、グリチルリチン酸及びその塩類を含有する製剤、ループ系利尿剤(フロセミド、エタクリン酸)、チアジド系利尿剤(トリクロルメチアジド)
その他、インスリン製剤、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)とチアジド系利尿薬の合剤
漢方薬の飲み合わせについてはこちら▼の記事で詳しく解説しています。
小青竜湯の飲み合わせに関してよくある質問
小青竜湯と併用する可能性のある医薬品について、よく寄せられる質問にお答えいたします。
小青竜湯と麻黄湯の飲み合わせは?
麻黄湯(まおうとう)は、風邪の初期段階やインフルエンザの治療に用いられる漢方薬です。この漢方薬には、名前からもわかるように麻黄という生薬が含まれています。麻黄を大量に摂取すると、交感神経を刺激する効果が強まり、不眠、精神興奮、動悸、頻脈、全身脱力感、血圧上昇などの副作用が現れる可能性があるため、小青竜湯との併用には注意が必要です。特に高齢者や持病がある方は、医師や薬剤師又は登録販売者に相談してから服用することをおすすめします。
麻黄湯の関連記事はこちら▼
関連記事:インフルエンザは麻黄湯で治る?飲み方の注意点や他の漢方薬も紹介
小青竜湯と葛根湯の飲み合わせは?
葛根湯(かっこんとう)は風邪の初期症状や肩こりなどに用いられる漢方薬です。この漢方薬には麻黄と甘草という成分が含まれており、小青竜湯と成分が重複しています。したがって、小青竜湯と葛根湯を同時に使う際には注意が必要です。両方の漢方薬が鼻風邪に効果があるため、個人の判断では小青竜湯か葛根湯のどちらか一方を選んで服用することをおすすめします。
葛根湯の関連記事はこちら▼
関連記事:葛根湯と他の薬との飲み合わせを解説/ロキソニン・アレグラなどとの併用はOK?
関連記事:肩こりに漢方は効く?葛根湯以外のおすすめ漢方薬や養生法も解説
小青竜湯と防風通聖散の飲み合わせは?
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は、肥満症や便秘の治療に用いられる漢方薬です。この漢方薬には、麻黄と甘草という成分が含まれており、小青竜湯と成分が重複しています。したがって、小青竜湯と防風通聖散を同時に使用する際には注意が必要です。両方を併用する場合は、短期間の服用や用量の調整が必要になります。特に高齢者や持病のある方は、医師や薬剤師又は登録販売者に相談してから服用することが大切です。
防風通聖散の関連記事はこちら▼
関連記事:防風通聖散を飲み続けるとどんな変化がある?副作用や注意点についても解説
関連記事:防風通聖散を1ヶ月飲んで痩せる?効果や副作用、服用が合わない人についても解説
関連記事:防風通聖散の飲み合わせで禁忌や注意点は?リベルサスや7つの漢方薬との併用も解説
関連記事:防已黄耆湯と防風通聖散のどっちがダイエットに効く?効果の違いや副作用などを解説
小青竜湯と麦門冬湯の飲み合わせは?
麦門冬湯(ばくもんどうとう)は、喉や口が乾燥し、乾いた咳や痰が少なくコンコンと続くような症状、または切れにくい痰を伴う咳の治療に使われる漢方薬です。この漢方薬には甘草が含まれており、小青竜湯と成分が重なるため、併用する際には注意が必要です。
ただし、小青竜湯は水様の痰や喘鳴(呼吸時にヒューヒュー、ゼーゼーと音がする症状)に効果がある漢方薬であり、麦門冬湯とは異なるタイプの咳に適しています。そのため、麦門冬湯と小青竜湯を同時に併用することは通常考慮されません。
麦門冬湯の関連記事はこちら▼
関連記事:麦門冬湯の飲み合わせで禁忌のものは?ロキソニン・ムコダインとの併用も解説
関連記事:咳止めや痰に効く漢方とは?麦門冬湯以外の漢方薬や使い分けも解説
小青竜湯と補中益気湯の飲み合わせは?
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は、疲労感や夏バテ、食欲不振などに使われる漢方薬です。小青竜湯と補中益気湯には共通の生薬として「甘草」が含まれています。この「甘草」が重複すると、むくみや高血圧、低カリウム血症などの副作用が出る可能性があるため、併用には注意が必要です。
自己判断での併用は避け、必ず医師や薬剤師又は登録販売者に相談してから服用するようにしましょう。
補中益気湯の関連記事はこちら▼
関連記事:補中益気湯の飲み合わせで禁忌は?6つの医薬品との飲み合わせや効果についても解説
関連記事:補中益気湯はすごい漢方薬?効果や副作用、服用が合う人についても解説
小青竜湯と抗ヒスタミン薬(アレグラ、ビラノア、クラリチン)の飲み合わせは?
小青竜湯は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬(例: アレグラ、ビラノア、クラリチンなど)との相互作用がないため併用できます。これらの抗ヒスタミン薬は第2世代に分類され、眠気の副作用は軽減されていますが、集中力、判断力、作業効率の低下が認められることがあります。[3] 一方、小青竜湯は眠気の副作用がないため、運転や危険な作業時などにも適しています。
小青竜湯と解熱鎮痛薬(カロナール、ロキソニン、イブ)の飲み合わせは?
小青竜湯と頭痛や発熱の際に使用するカロナール(成分名:アセトアミノフェン)、ロキソニン、(成分名:ロキソプロフェンナトリウム)、市販薬のイブ(成分名:イブプロフェン)などの解熱鎮痛薬は、相互作用がないため、併用できます。ただし、市販の解熱鎮痛薬にはカフェインが配合されているものがあり、これは鎮痛効果を高める役割を果たします。小青竜湯に含まれる麻黄とカフェインを同時に摂取すると、交感神経が刺激され、不眠、精神興奮、動悸、頻脈、全身脱力感、血圧上昇などの副作用が現れる可能性があるため、併用時には慎重に注意が必要です。市販の解熱鎮痛薬を選ぶ際には、成分を確認するか、薬剤師や登録販売者に相談することをおすすめします。
小青竜湯と去痰薬(カルボシステイン)の飲み合わせは?
小青竜湯と風邪の際に処方される去痰薬であるカルボシステイン(成分名:L-カルボシステイン)は、相互作用がないため併用できます。ただし、市販の咳止めにはカルボシステインと一緒に気管支拡張成分(例: dl-メチルエフェドリンなど)が含まれているものもあり、これらと小青竜湯の麻黄との併用には注意が必要です。市販の咳止めを選ぶ際には、薬剤師や登録販売者に相談することをおすすめします。
小青竜湯とトランサミンの飲み合わせは?
トランサミン(成分名:トラネキサム酸)は、抗出血、抗アレルギー、抗炎症作用を持つ医薬品で、風邪の際には喉の炎症を抑えるために処方されることがあります。また、皮膚科では肝斑の治療にも使用されます。小青竜湯との相互作用はないため、両者を併用することができます。
小青竜湯と咳止め(メジコン)の飲み合わせは?
小青竜湯と病院で処方される咳止めのメジコン(成分名:デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物)の相互作用はないため、飲み合わせは問題ありません。ただし、市販の咳止めの中には気管支拡張成分(例: dl-メチルエフェドリンなど)が含まれているものもあり、これらと小青竜湯に含まれる麻黄との併用には注意が必要です。市販の咳止めを選ぶ際には、薬剤師や登録販売者に相談することをおすすめします。
小青竜湯と市販の風邪薬(パブロン)の飲み合わせは?
市販の総合風邪薬には、解熱鎮痛成分としてアセトアミノフェンやイブプロフェンが一般的に含まれています。また、咳を抑える効果があるdl-メチルエフェドリン塩酸塩が含まれていることもあります。さらに、頭の重い感じを緩和する無水カフェインや炎症を抑えるグリチルリチン酸などの成分も含まれている製剤も存在します。小青竜湯に含まれる麻黄や甘草と作用が重複することから、副作用が出る可能性があるため、併用をする際には医師や薬剤師又は登録販売者に必ず相談してからにしましょう。
YOJOではあなたの体質に合う漢方薬だけでなく、他の医薬品との飲み合わせや生活上のアドバイスなども行っております。お気軽にご相談ください。
小青竜湯を飲む時の注意点
小青竜湯を服用する際に気を付けたいこととして、副作用、妊娠中の服用、子どもの服用について解説します。
小青竜湯の副作用は?
重大な副作用として、間質性肺炎、偽アルドステロン症、ミオパチー、肝機能障害・黄疸などがあります。その他の副作用としては、過敏症、不眠、発汗過多、頻脈、動悸、全身脱力感、精神興奮などの自律神経系の症状、食欲不振、胃部不快感、悪心・嘔吐、下痢などの消化器系の症状、排尿障害などの泌尿器系の症状があります。
妊娠中は服用しても良い?
小青竜湯には、乾姜(かんきょう)、五味子(ごみし)、半夏(はんげ)など、妊娠中に慎重に使用すべき生薬が含まれています。また、発汗作用のある麻黄も含まれているので、妊娠中に服用する場合は、短期間かつ必要最低限の使用が原則です。妊娠週数によって薬の影響が異なるため、自己判断での服用は避け、必ず主治医に相談してから服用するようにしましょう。
子どもは服用できる?
漢方薬は、子どもの場合は通常大人の服用量を減らして使用することが一般的です。医療用漢方薬は病院で医師の指示に基づき、2歳未満の子供にも処方されることがあります。ただし、市販の漢方薬はメーカーや商品によって対象年齢が異なるため、購入時に十分な注意が必要です。また、小青竜湯はわずかに酸味がある甘辛い味がしますが、子供に飲ませる際には砂糖を加えてお湯に溶かすか、アイスやヨーグルトに混ぜて与える方法などがあります。
【小児服薬目安量】
15歳未満7歳以上 | 成人量の2/3 |
---|---|
7歳未満4歳以上 | 成人量の1/2 |
4歳未満2歳以上 | 成人量の1/3 |
2歳未満 | 成人量の1/4 |
小青竜湯に関するQ&A
ここでは、小青竜湯に関するよくある質問についてお答えします。
小青竜湯は効果が出るまでどのくらいかかる?
小青竜湯の主要な薬効成分はエフェドリンで、これは漢方薬の中でも低分子成分に分類されます。低分子成分はそのままの形で短時間で吸収されるため効果が早く現れ、血中濃度は10分ほどで上昇し始め、1時間以内にピークに達します。[4]
ただし、漢方薬の効果は個人の症状や体質に依存するため、効果が現れるまでの時間も人によって異なります。一般的に言えば、小青竜湯の場合、早い人では数時間から4日以内に変化が見られることがあり、通常は2週間以内に効果を感じることが多いです。[5]
小青竜湯は飲み続けても大丈夫?
小青竜湯には麻黄が含まれているため、長期間の服用により胃もたれや胃痛などの胃腸障害が起こる可能性があります。胃腸が強い人や持病のない人は、花粉症の季節などに月単位で服用することもあるかもしれませんが、基本的には長期間にわたって継続的に服用することは避けるべきです。自己判断で漫然に長期間服用しないようにしましょう。
小青竜湯が飲みにくい場合はどうしたらいい?
小青竜湯は、わずかな酸味がある甘辛味を持つ漢方薬です。時には辛味や苦味を感じることもあります。もし飲みにくい場合は、お湯に溶かしてからはちみつや砂糖を加えて甘くするのがおすすめです。それでも難しい場合は、オブラートで包んだり、服薬ゼリーに混ぜたり、アイスやヨーグルトなどに混ぜて摂る方法もあります。小青竜湯には体を温める効果がある生薬が含まれているため、お湯に溶かして飲むことで効果が一層高まります。
漢方薬の飲み方の工夫については、こちら▼の記事で詳しく解説しています。
小青竜湯は喉の痛みや頭痛に効きますか?
小青竜湯は、風邪初期に現れるくしゃみや、透明で水のような鼻水、または痰など、主に鼻に関連した症状に効果があります。しかし、喉の痛みや頭痛には直接的な効果はありません。
小青竜湯を飲むと痩せますか?
小青竜湯には、体内の水分バランスを整え、「水滞(水毒)」体質を改善する作用があることから、むくみを軽減する可能性は考えられます。また、麻黄や桂皮などが含まれているため、発汗作用があり、体温を上昇させる細辛や乾姜も含まれていますが、小青竜湯を摂取して痩せるという科学的な根拠は存在しません。
小青竜湯はどんな時に使われる?
小青竜湯は、どのような症状がある時に効果があるのでしょうか。小青竜湯が用いられる症状について説明いたします。
気管支炎・気管支喘息
気管支炎は、ウイルスや細菌による気管支の感染に起因する疾患で、通常風邪の症状の後に現れ、熱や痰を伴う強い咳が特徴です。一方、気管支喘息は、気道の持続的な炎症により、刺激に対して敏感な気道が狭くなり、発作的な呼吸困難を引き起こす疾患です。発作には咳や痰、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという音)が伴います。
軽度の気管支炎に対しては、小青竜湯が有効であるという報告があり[6]、また気管支喘息に対しても、小青竜湯を気管支拡張剤と併用することで、痰の量、切れ、日常生活の点数、夜間睡眠の点数、くしゃみ、鼻水などの症状が改善することが報告されています。[7]
喘息に関する関連記事はこちら▼
関連記事:喘息の漢方治療とは?漢方薬の選び方や服用の注意点を解説
鼻炎・アレルギー性鼻炎、花粉症
鼻アレルギー診療ガイドラインによれば、「小青竜湯は通年性アレルギー患者のくしゃみ、鼻水、鼻閉を有意に改善する」[8] とされ、Bランクの推奨度が与えられています。[3] そのため、花粉症の鼻炎症状にも使用されています。小青竜湯だけで治療を行うこともできますが、この漢方薬には麻黄(まおう)という成分が含まれており、通常は長期間にわたって使用するべきではないため、鼻噴霧用のステロイド剤などと併用して治療するのが一般的です。また、抗アレルギー薬と異なり眠気の副作用がないのも特徴です。
花粉症・アレルギー性鼻炎に効く漢方薬や鼻水・鼻詰まりに効く漢方薬についてはこちら▼
関連記事:花粉症・アレルギー性鼻炎に効く漢方薬とは?
関連記事:鼻水・鼻づまりに効果の期待できる漢方薬とは?
関連記事:後鼻漏の漢方治療とは?症状・体質別の選び方を解説
アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎は主に目のかゆみが特徴で、充血、涙目、目やになどの症状が現れます。小青竜湯には抗アレルギー・抗炎症の効果があるため、点眼薬と併用することで、角膜と結膜の症状を改善するのに役立ちます。
風邪(鼻水がある時)
咳、水のような鼻水や痰、くしゃみが続く風邪の初期症状に対して、小青竜湯は効果的です。この漢方薬には麻黄が含まれており、麻黄剤に分類されるため、身体の発熱を助け発汗を促進する作用があり、ウイルスの不活化に役立ちます。
風邪についての関連記事はこちら▼
関連記事:風邪に効く漢方薬の選び方とは?咳のど鼻の症状に合わせた使い分けも解説
小青竜湯は体質によっても効果の出方が異なります。胃腸が弱い方には別の漢方薬をご提案する場合がございます。ぜひ一度体質チェックをお試しください。
小青竜湯を服用する際の生活上のアドバイス
小青竜湯を服用する際に、効果を最大限に引き出し、症状を改善するために役立つ生活上のアドバイスを紹介します。
水滞(水毒)体質を改善する
花粉症やアレルギー性鼻炎に伴う鼻粘膜の肥厚は、漢方の観点では「水滞(水毒)」体質と考えられます。したがって、体内に余分な水分を蓄積することが症状を悪化させる可能性があります。水滞(水毒)体質を改善するためには、以下のポイントに気を付けましょう。
避けたいこと
アルコールの摂取、冷たい飲み物・食べ物
おすすめの生活習慣
温かい飲み物・食べ物を摂る、お風呂に浸かる、軽い運動
おすすめの食材
気を巡らす食材(薬味類、青菜類、柑橘系の果物など)、水はけを良くする食材(しょうが、小豆、なす、とうがん、味噌、プーアール茶、烏龍茶、ぶどう、あさりなど)
五臓の肺をいたわる生活を
水分の代謝には五臓の肺も関係しており、肺の働きが弱まると喘息、息切れ、咳、痰などの症状が現れやすくなると考えられています。
そのため、肺を健やかに保つことが大切です。喫煙している人は禁煙をしましょう。
おすすめの生活習慣
部屋の換気、深呼吸、乾燥する時期は加湿をする(加湿器、マスクの着用、うがいをする)
おすすめの食材
肺を潤す白い食材(豆腐、豆乳、大根、ゆり根、白きくらげ、やまいも、など)、柿、梨、気血を巡らせ肺の機能を高める食材(バジル、わさび、しそ、みょうが、パクチーなど)
【参考文献】
[1]一般社団法人 日本内分泌学会 原発性アルドステロン症
[2]一般社団法人 日本神経学会 ミオパチー
[3]鼻アレルギー診療ガイドラインー通年性鼻炎と花粉症-2023年度版(改定第10版)
[4]渡辺賢治著 マトリックスでわかる!漢方薬使い分けの極意
[5]通年性鼻過敏症に対する小青竜湯の臨床効果 荻野敏他(1991),耳展34:補:1〜7
[6]日本東洋医学会EBM委員会エビデンスレポートタスクフォース 呼吸器系の疾患
[7]江頭洋佑他(1995)気管支喘息に対する小青竜湯の臨床効果,日本東洋医学会雑誌 第45巻 第4号 859-876,
[8]馬場駿吉ら(1995) 小青竜湯の通年性鼻アレルギーに対する効果 二重盲検比較試験. 耳鼻咽喉科臨床 88(3): 389-405